人工乳の強調表示の多くが根拠薄弱
乳児用調製粉乳製品のほとんどの健康と栄養に関する強調表示(主張)は、高品質の科学的証拠にほとんど、またはまったく裏付けられていないように見える、という研究報告。
幼い乳児の脳の発達、免疫、成長に利益をもたらす、というのがこれらの製品の一般的な強調表示だが、研究者らは「透明性が依然として不足しており」、「消費者をより保護し、そのような製品の積極的なマーケティングに伴う害を回避するために、規制の改定が必要である」と述べている。
研究者らは、高所得国、中所得国、および低所得国のグループにおける乳児用調製粉乳製品の健康と栄養に関する強調表示を見直し、これらの強調表示を裏付けるために使用された証拠の有効性を評価した。
2020-22 年に15か国(オーストラリア、カナダ、ドイツ、インド、イタリア、日本、ナイジェリア、ノルウェー、パキスタン、 ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、スペイン、英国、米国)の乳児用調製粉乳会社のウェブサイトを検索し、調製粉乳製品のパッケージを調査した。
各製品および成分についてなされた強調表示の数と種類を記録し、広く使用されている 2 つのバイアスのリスク ツールを使用して、これらの強調表示を支持するために引用された証拠のレベルと質を評価した。
757 の乳児用調合乳製品が同定された。それぞれが平均 2 つの強調表示 (オーストラリアの 1 つから米国の 4 つまでの範囲) に関連付けられており、 全部で31 種類の強調表示がみられた。
1 つ以上の強調表示がある 608 製品のうち、最も一般的な強調表示の種類は、「脳および/または目および/または神経系の発達を助ける/サポートする」(製品の 53%、13 の成分)、「健康な免疫システムを強化する/サポートする」 (製品の 39%、12 成分)、および「成長と発達を助ける/サポートする」 (製品の 37%、20 成分)だった。
全部で 41 の成分グループが同定され、1 つまたは複数の強調表示が関連付けられていたが、多くの強調表示は特定の成分に言及せずに行われていた (307、または製品の 50%)。
強調表示に記載されている成分の最も一般的なグループは、長鎖多価不飽和脂肪酸 (製品の 46%、9 つの異なる強調表示)、プレバイオティクス、プロバイオティクスまたはシンバイオティクス (製品の 37%、19 の強調表示); および加水分解たんぱく質 (製品の 20%、9 の強調表示)。
すべての国で、少なくとも 1 つの表示がある製品の 608 のうち 161 (26%) が、その表示を裏付ける科学的参考文献を提供していた。特定の健康強調表示を行っている多くの製品(74%) が、科学的参考文献を提供していなかった。
参考文献が提供されている場合、56%が臨床試験の結果を報告し、残りはレビュー、オピニオン(意見書)、または動物研究を含む他の種類の研究だった。臨床試験に言及した引用のうち、前向きに登録されたものはわずか 14% であり、登録済みの臨床試験を引用した強調表示の 90% は、バイアスのリスクが高いものだった。
さらに、登録された試験の 88% には、調製粉乳業界の資金提供を受けているか、業界と直接提携している著者が含まれていた。
これらは観察結果であり、研究者らは、データ収集の不一致や製品の欠落など、結果に影響を与えた可能性のあるいくつかの制限を指摘している。
「本調査結果は、消費者をよりよく保護し、そのような製品の積極的なマーケティングに伴う害を回避するために、母乳代用品の規制枠組みを改定する必要があることを裏付けている」と研究者らは結論付けた。
出典は『英国医学雑誌(BMJ)』
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