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シュガーラッシュ: 脳におけるグルコースの重要な役割

脳内のニューロンは、それ自体がグルコースを取り込んで解糖系を通じて代謝することでエネルギーを得ているようだ、という米国グラッドストーン研究所からの研究報告。

長い間、ニューロン自体は糖を代謝せず、グリア細胞がグルコースの大部分を消費して生成した乳酸をニューロンに渡してエネルギー源としていると考えられてきたが、グリア細胞を含まないニューロンを培養することが困難であるため、証拠はほとんど存在しなかった。

今回、研究チームは、人工多能性幹細胞 (iPS 細胞) を使用してこの問題を解決し、純粋なヒト ニューロンを生成した。そしてこのニューロンを、分解されても追跡できるラベル付きのグルコースと混合した。この実験により、ニューロン自体がグルコースを取り込み、それをより小さな代謝産物に処理できることが明らかになった。

ニューロンが代謝されたグルコースの生成物をどのように使用しているかを正確に判断するために、チームは CRISPR 遺伝子編集を使用して細胞から 2 つの重要なタンパク質を除去した。タンパク質の 1 つは、ニューロンがグルコースを取り込むことを可能にし、もう 1 つは、細胞が通常グルコースを代謝する主要な経路である解糖に必要である。これらのタンパク質のいずれかを除去すると、単離されたヒトニューロンにおけるグルコースの分解が停止した。

「これは、ニューロンが解糖によってグルコースを代謝し、通常のエネルギーレベルを維持するためにこの燃料が必要であることを示す最も直接的で明確な証拠である」と研究者は述べている。

次に、研究チームは、生きた動物におけるニューロンのグルコース代謝の重要性を研究するためにマウスに目を向けた。彼らは動物のニューロンを操作して、グルコースの取り込みと解糖に必要なタンパク質を除去した。その結果、マウスは年を取るにつれて、学習と記憶に深刻な問題を引き起こした。

「これは、ニューロンがグルコースを代謝できるだけでなく、正常な機能のために解糖にも依存していることを示唆してい」と研究者は述べている。

出典は『Cell Reports


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