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食物アレルゲンへの感作が死亡リスクを高める可能性

乳製品やピーナッツなどの一般的な食物アレルゲンに対する感受性は、これまで認識されていなかった心臓病の重要な原因である可能性があるようだ、という米国ノースカロライナ大学などからの研究報告。 

研究チームは、2つの疫学研究データを用いて、食品に対するIgE(アレルギーの原因となる抗体)の感作と心血管死亡率の関連を調査した。 

米国国民健康・栄養調査 (NHANES) に参加した成人 4,414 名を対象としたデータでは、参加者は2005年から2006年までNHANESに登録され、最長14年間の死亡率のデータが追跡された。参加者は、総 IgE および牛乳、卵、ピーナッツ、エビ、および一連のエアロアレルゲンに対する特異的 IgE が測定された。 

「アテローム性動脈硬化症の多民族研究 (MESA)」 コホートのウェイク フォレスト会場の参加者 960 名を対象としたデータでは、参加者は 2000 年から 2002 年まで MESA に登録され、最長 19 年間追跡された。参加者は、牛乳、アルファ-ガル、落花生、イエダニ、チモシーグラスに対するIgEが測定された。 

追跡期間中に、NHANESでは、心血管疾患による死亡が229名報告され、MESAでは960名が報告された。 

データ解析の結果、牛乳に対する感作が、NHANES と MESA の両方で心血管疾患による死亡リスクに特に関連していた。研究者らはまた、エビとピーナッツに対する食物感作が心臓病のさらなるリスク因子であることも発見した。 

どちらの疫学研究データでも、参加者が臨床的に食物アレルギーを発症していたかどうかは不明であったが、特定の食品を避けることをアレルギーの指標として、その人々を除外して検討すると、むしろアレルギーと診断されていない人々に強い関連性が示唆された。ただし、これが、アレルギーがないために、アレルゲンを含む食品を食べ続けた結果かどうかは不明である。 

「一般的な食物アレルゲンへの感作が心血管疾患とどのように関係しているかについて、さらなる研究が必要です。この研究は、これらのアレルゲンへの感作と心血管疾患による死亡との関連性を示す十分な証拠を提供していますが、これが因果関係であるかどうかを理解するには多くの研究が必要です」と研究者はコメントしている。

出典は『Journal of Allergy and Clinical Immunology

https://www.jacionline.org/article/S0091-6749(23)01251-4/fulltext


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