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指導者のあるべき姿とは?|指導者と選手のミスマッチ問題

我々はアイスホッケーの世界で活動する団体として、現在までにさまざまな指導者にお会いすることができました。

お会いしてきた多くの指導者たちから、『選手が言うことを聞かない』『言ったのに聞いていない』なんてことを聞くことが多々あります。

本当にその指導者たちの気持ちが痛いほど分かりますが、それと同時に、指導者として我々がどうあるべきかということを毎回考えさせられます。

今回は、それらもふまえて、スポーツの世界で起こる指導者と選手のミスマッチが起こる原因について記したいと思います。

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指導者の役割とは?

そもそも指導者側の大前提として、

指導者は、選手に言うことを聞かせることが役割ではない。

そして、もう一つ大切なことは、
指導者は選手の、最大の『ドリーム・サポーター』でいる必要があります。

『ドリーム・サポーター』:夢や目標達成を応援し、後押しする人
『ドリーム・キラー』:夢や目標達成を邪魔したり阻害する人

あくまで指導者は、選手の目標に対して存在しているということをどんな指導者であれ、決して忘れてはならないと思っています。

”裏の会議" を行う指導者たち

上記の役割をふまえて、昨今では叱らない指導ということも含めて、表向きは選手に優しくなっているという印象を持つことがあります。

しかし、そんな中でも、現場レベルで無意識に『ドリーム・キラー』になっている指導者たちも存在しています。

一つの例として、

試合後のロッカールームでは、指導者が試合後に選手たちに向けて一言話すシーンがあります。

『この負けを次に活かそう!』『次に試合に向けて頑張ろう!』など、
この場面では、指導者がネガティブな言葉だけを吐く、というシーンはあまり見なくなりました。最近は、特にポジティブな言葉を使う指導者が増えてきたなと感じています。

しかし、
『ドリーム・キラー』となってしまう指導者たちは、ここからの行動に問題があります。

ロッカールームを出た後に、

『選手たちが指示通りプレーしなかった』
『~選手の普段の振る舞いが試合に出た』

など、と言った発言をして、今までロッカールームで言っていたことが噓のように真逆のことを話し出します。

それを我々は ” 裏の会議 “ と表現しています。

この ” 裏の会議 “ こそが、指導者と選手のミスマッチを生み出す要因にもなってしまっているのです。これは試合だけでなく、練習などの日常から行われていることがほとんどです。

しかし、そんな指導者たちを選手たちはしっかり見ています。裏で選手の批判をしていることに対して、選手たちが気づいていないわけではないのです。

選手たちは指導者たちを良く見ているのです!!
練習中の指導だけでなく、日常の振る舞いから全てあなたたちの行動や振る舞いを選手たちは見ています。

批判されていたり、評価されていない選手たちは、批判されていることや評価されていないことを自覚していることがほとんどで、そんな選手たちにとって、指導者たちの ” 裏の会議 “ は夢や目標を潰すマイナスの機会でしかないのです。

選手は、決してあなた(指導者)たちのモノではありません。

ほんの少しのことで、選手の夢や目標を潰すこともできてしまうのが、指導者というポジションでもあります。

だからこそ、指導者たちには、

一人一人の人生を背負っているという自覚を持って行動してほしい

と心から願っています。

選手たちの声は大切な情報

それを表すものの一つとして、『群盲評象』という言葉があります。

群盲象を評す(群盲評象)とは、

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数人の盲人が象の一部だけを触って感想を語り合い、盲人たちはみな自分の感想こそが正しいと主張した。しかしながら、それらの感想はすべて象の一部についての感想であって、象そのものの感想ではなかった。象という全体を知らないがために、一部分のみを触ってそれがすべてだと思い込んでしまった人々。

スポーツでも同じように、指導者側の視点、選手側の視点、それぞれが見て・感じる視点というのは、必ず異なるはずです。

『選手側がどのように感じて、なぜそのような行動やプレーをしたのか?』

これらを選手からきちんと聞いて、理解できてこそ、はじめて指導が始まるべきであります。

さらに言えば、選手の声を含めた情報を擦り合わせることが、指導者の一番大きな仕事であります。

そのためにも、選手の声というものは一人一人、とても大切な情報です。選手の声を聞かない指導者たちは、その大切な情報を逃すことにもなり、場合によってはマイナスに導いてしまうことにもなってしまうのです。

改めて考える指導者の役割

それでは、実際に指導者はどうあるべきなのか?

我々が考える指導者としての役割は、

『選手の目標と現在地とのハシゴをかける存在』

であるということです。

ファシリテーターというと責任を負わないというイメージがあるかもしれませんが、イベント等では、ゲストのパフォーマンスと聴衆のニーズに合わせて、言葉を分かりやすく分解して伝えたり、その場に応じた適切な質問を選択して言葉を引き出すなど、とても責任ある重要な役割を担います。

指導者たちは、選手の現在地と目標地点までのファシリテーターとなり、選手の言葉に耳を傾け、一緒に歩んでいくことが最も求められる役割なのです。

指導者と選手のミスマッチが起こることで、夢や目標を断念せざる得なくなるのは選手たちです。

そうならないためにも、指導者はテクニックの勉強だけでなく、言葉の勉強や人と接するためのスキルなど、たくさんのことを学び続ける必要があります。テクニックだけの勉強をしているだけでは、決して指導者とは言えません。

夢や目標を断念する選手が一人でも生まれないためにも、この機会に、今一度、指導者のあり方を考えて頂ければ嬉しいです!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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