韓国人もよく間違う韓国語①「謹む」한국인도 자주 틀리는 한국어①"삼가다"
訃報に接した際の決まり文句で、これまた日韓共に使う言葉も文章の構図も全く同じで直訳できる一文である。
この最初に出てくる「삼가」は「謹んで」という意味の副詞で、動詞形の「謹む、控える、遠慮する」は「삼가다」である。
上のような決まり文句で「삼가」と言う時(=副詞として使う時)は間違う人はいないのだが、なぜか動詞「삼가다」を使うと実に多くの人が以下のような間違いをする。
かれこれ10年も前にSBSの知人を訪ねた際に立ち寄った韓国最大の書店チェーン「교보문고(教保文庫)」のトイレ(同じ建物内にはキリスト教系のテレビ局CBSも入っている)で見つけた張り紙で、
と書いてあるのだが、最後の「ご遠慮ください」の部分が間違っている。
最初に述べた通り、「謹む、控える、遠慮する」の動詞形は「삼가다」なので、これに「~して下さい」の「아/어 주시기 바랍니다」を付けると「삼가 주시기 바랍니다」となる。
ここでの「삼가」は見た目は冒頭に出てきた副詞の「삼가」と同じだが副詞ではなく、「삼가다」の語幹「삼가」に「아」が付いて「삼가아」となり「아」が「가」の「ㅏ」に吸収されたものだ。
仮に「삼가해주시기」なら動詞の原形が「*삼가하다」になるが、そんな単語は存在しない。(因みに上の張り紙は띄어쓰기(分かち書き)も間違っているが、今回は触れないでおく。)
日本のみならず韓国も最近では禁煙の場所が多く、色んな所でこういう掲示を目にするが、自分の経験ではその半分以上が「*삼가해주시기 바랍니다」「*삼가해주세요」という風に間違って「해(~する)」を付けている。
教保文庫のようなちゃんとした場所でもこんな間違いをするのだなぁと意外に思って写真を撮ったのであった。
なぜこうも間違うのかはっきりした理由はわからないが、おそらく「삼가」という単語が「참가(参加)、추가(追加)」のようにどこか「漢字語」っぽく聞こえるので、原形が「*삼가하다」だと捉えてしまうからだろうか?
しかし「삼가다」はれっきとした韓国語の固有語で、中国から来た言葉ではない。
「*삼가 해 주시기 바랍니다」を無理やり訳すと「謹んでして下さい」となり、禁止しているのではなく「遠慮しながらタバコ吸っていいですよ」という意味になってしまう(笑)
日本人が日本語を間違うように、韓国人が韓国語を間違っても不思議ではないが、外国語として言葉を学ぶ立場からは、正しい単語や文法を覚えておきたいものだ。
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