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二次創作で人は殴れるか

以前、なかなかイベントの売り子が見つからなくて、やむを得ず妹(パンピー)(腐女子とBLは知っているが同人は全く知らない)(まあ順応能力高いしタリーズバイトで時間帯責任者やらされていたし大丈夫でしょ)に頼んだことがあった。結果、よくやってくれた。必死な女がホールに溢れかえっていた点には恐怖していたが。

そんな妹に、とりあえずこの場が何なのかを私は端的に説明した。
まず作中における自カプの位置付け、それぞれのキャラクターの背景。愛し合っていたのに(自カプは紛れもなく公式的に公式です(これは腐女子の鳴き声だと思ってほしい))、結果としてあまりにも切ないラストを迎えたふたり。この人たちは、この二人を幸せにしたくてここに居る……と。

この説明で妹が理解してくれたかは謎だが、変なところで私たち姉妹は感性が似ているので分かってくれたと思いたい。そうか……と表面上納得してくれた。こんなお姉ちゃんでごめん。

全員が全員そうかは分からないが、少なくともお姉ちゃんは、この二人を幸せにしたくて話を書いている。お姉ちゃんは基本的にハッピーエンドしか書かない。しかし同時に、お姉ちゃんは大変暴力的な、非常に猟奇的な意図から二次創作をしている。

私は、二次創作で人を殴りたい。


ところで、二次創作で人は殴れるだろうか?

答えはノー。二次創作は永遠にシャドーボクシングを続ける作業である。
創作で人を殴れるのは、原作、ただひとつ。二次創作がどんなにジャブを打ってみようと、原作にアッパーをかけられたら即ノックアウトだ。

それではなぜ、私は虚空に向かって拳を振り続けるのか。

……分からない。分かっていたら、「もう腐女子とか辞めとく?」と友人と笑い合った中学三年生の冬で、私はもう腐女子を辞められているはずなのだ。残念ながらそれから十五回以上、この世界は春を迎えている。

分からないなりに考えてみる。これは仮説だが、私はこの二人が幸せになる方法を探し続けているのだ。幸せになる根拠が欲しい。その根拠は常に原作からしか得られず、原作のキャラクターや物語からしか生成できない。
私はずっと、この根拠を求め続けている。どうすればこの諸問題が片付くのか考えながら、必死にパンチを繰り出し続けるのだ。

私が振り翳しているのは二次創作というか、私なりのキャラクター解釈、なのかもしれない。
このキャラはこういう人だから、浮かばれるにはこうさせるしかないのだ…!みたいな。多分こうしたら、この人は幸せになれるのだ…!!待って幸せってなんだ…?幸せの要件定義は、、、

というわけで私では推したちを幸せにできないので、幸せの形を追い求めつつ、とりあえず結ばれたらきっと幸せになるであろうふたりを結びつけているのかもしれない。この業の深い行動こそが私の二次創作であり、だからこそ、最終的には原作こそ至上、原作で成仏したらもうやることないなってなって、私も無事に召されてしまう。終わり。この場合の終わりはそのカプに飽きるとかじゃなくて、もう原作が一番美味しいので自分が二次創作しなくなるってことなんですけども。

こういうスタンスで生きているので、ジャンルが性癖偏重になると、ちょっと離れる傾向がある。
こういうスタンスで生きているので、自分の筆力が不足して説明できない解釈を説明したくなることがある。ていうか今度話していい?自分が書いた話をしたいというよりは、自分が書いた推しカプの話をしたいんだけど……もくりがサ終する前にひっそりやるね。

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