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持続可能な二次創作活動

人生で初めて『同人誌』を出したのは高校三年生に上がる前の三月のことだった。
世の多くの腐女子同様、某こころの授業である種の天啓を得てしまった私は、本を読むに飽き足らず市●崑監督の映画もツタヤで借りて見て、受験生に進級するのを前に遂に一冊の本(中綴じコピー本)を書き上げたのである。


あれから十数年の時が経った。その間に受験だの大学の方のサークル活動だの就活だので、同人活動自体薄らな時期もあったが、就職してからもチマチマと本を作ったり頒布したりを繰り返している。
ピクシブでは反応があったりなかったりだけれども、それでも多少なりとも自分の書いたものを求めてくれる人がいることは嬉しいことであり、やっていることは二次創作でも、稀有な経験をさせていただいているなあと思うこともある。


そう、これは二次創作での話である。

二次創作って、……なんだ?

二次創作とは、言わずもがな既に世に流通している創作作品を題材に、二次的に創作することを指す。

当然完全オリジナルではなく、読む人も、少なからず元作品を愛している人たち、であるはずである。

そこに集う人々は、皆その作品に旗を立ててやってきたのであり、その作品の世界やキャラクターを愛し、物語の行間に夢を見てそこを訪れているのである。少なくとも私はそういう認識である。


物語の行間に見る夢は様々である。

人の見る夢にケチをつけるのは無粋だけれども、他人の見た夢と自分の見た夢が似通うことに感動を覚えることはある。その人が見た夢の話をもっと聞きたいし、意見を交わしてその夢の解像度を高めたくもなるだろう。
神様(原作及び原作者)には多くを語る人もいるし、敢えて語らない人もいる。
聖書だってなんだって、ずっとずっと読み込まれ続けては、今もなお大人たちがその解釈に頭を抱えるように、私たちの「聖書」もそういう扱いだったりする。すると、これまで存在した多くの「教え」がそうであるように、聖書を読み込んだ人たちが、それぞれの理解をその他の人々に伝えて行脚することも多々ある。
不敬だと思うが、それが二次創作だと思っている。


つまり何が言いたいのかというと、
二次創作者に神様はいないってことである。


二次創作って…なんだ?(2回目)

同人女の感情というマンガが流行った。
私自身共感することも多々あった。
と、同時に、なんでそれほど苦しい思いをしてまで、他人の二次創作を読まなければならないんだろう?とも思ってしまったのも事実で。


きっと、「綾城さん」に神性を求めるから、苦しくなっている。そしてそれを求める自分も他者も、なんだかそれが間違っているような気がするから、つらくなる。
もちろん神様にされる側も、敬意だけ集めているうちはいいかもしれない。
だけど要らぬ嫉妬だのなんだのを受け始めるとやっぱり普通につらくなると思う。
二次創作者は、神様になるべきじゃない。


そんなこんなで持続可能なオタクであるために、なんとなく下記のことを自分にルールづけた。
(下記のことが全て正しいのではなく、そう思った方が個人的には精神衛生上良いって話である)

心穏やかに同人活動をするために

下記、自戒を込めて書き連ねておく。

・二次創作で自己実現をしてはならない
結果として自己実現するのは構わないが、それが目的になると死ぬ
余程の実力者でない限り、二次創作で得られる「評価」は大体元になっている作品の人口次第

・同人作家に神はいない
神は原作のみ
同じジャンルのオタクはあくまで同志 すごい人は神ではなく、表現力と発信力のすごい人間

・感想はないものと思え
あるように見えたらそれは基本的にコミュニケーションツールとしてのものが多い
感想が欲しいのなら自らも誰かに感想を送っているか振り返るといい
基本あるもんじゃない
だけど、いいね👍の向こうには身悶えている人がいる と思う 多分

・書くのがつらいのに書く必要はない
思うように書けないのか、書くことが思いつかないのかで解決方法は異なる
後者なら書かないほうがいい、別の作品も気軽に手を出してみよう
前者は、原作を摂取すると書けるかもしれない
いずれにしてもプロだってアウトプットばかりじゃ死ぬんだから、いま無理に書く必要はない

・ウケるものを書こうとするな
なぜならそれはウケないから
読みたいものを書くほうが楽しいし、そのほうが自分と気の合う仲間が見つかるかもしれない
自分にリクエストを出すつもりで書いた方が楽しい

・でも無理に交流しなくていい
別に義務ではない

・エロに逃げるな
自戒
エロは賞味期限が短い 自分にとっても
書きたくて書くならいいけど、ウケ狙いならやめておけ
自戒

・ネタ被りを気にするな
大体互いに素人だ
同じものを読んで二次創作したらそりゃ被る

・本を出さなくてもえらい
本を出した人もえらい

さいごに

原作及び原作者が自分にとって神様じゃない、表現を変えるなら、原作に敬意を覚えられない二次創作はするべきじゃないとも思う。
いずれつらくなるし、流行っているように見えてそれは、いわゆる『大手』の解釈が幅を利かせている、っていうジャンルだ。


年々よくわかんなくなってくるけれど、これが2022年時点の私の現在地なんだと思う。



最近なんだかつらそうな二次創作オタクをあっちこっちで散見したのでぼやいてみた。以上。おわり。

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