秋華賞回顧

 結果から言えば軸とした馬が二桁着順という散々(自嘲)の結果だったが、先週とは逆に調教診断はそこそこ結果出せたと思う。取り敢えず心情的には回顧もしたくない気分だが、しないとお話にならないのでしておこう。

まず馬場状態だが、予想の段階で考えたよりは若干良かったものの、回復しても多少タイムは掛かる馬場という予想は概ね当たったように思う。ただ、想定外だったのは、内がまだ伸びる馬場だったということ。この点も予想にやや影響してしまった。

 ラップは以下の通り。
12.3 - 10.7 - 11.6 - 11.8 - 11.9 - 12.7 - 12.5 - 12.0 - 12.3 - 12.1(1分59秒9)
丁度同日同じ距離でレースがあったが、2歳の新馬戦と500万(1勝)クラスなのでかなり微妙だが、両方とも勝ちタイムは2分3秒台なので、まあそこはさすがに牝馬とは言え、成長後のGIと言ったところか。
 前半のラップタイムが58秒3だが、逃げたビーチサンバと一緒に行ったコントラチェックが後続を離したわけではない。長い隊列ではあったが、馬群は全体としてタイトだったので、馬場状態考慮しても間違いなくレース全体がハイペースだったと言って良い。無論道中若干緩んだ箇所もあったが、少なくとも否定的な見方をする緩みではあるまい。
 そういう意味で各馬の上がりが軒並み36秒~37秒台(35秒台は3着のシゲルピンクダイヤのみ)という、昨今のレースとしては稍重とは言えガチの消耗戦になったことも言うまでもない。馬場も高速馬場の中では程よくタイムも掛かり、本当の意味で海外で活躍するためには、こういう条件で強い馬を作っていく必要があるだろうと思う。

 勝ったのはクロノジェネシス。春クラシック路線は桜花賞もオークスも3着と安定はしていたが煮え切らない結果が続いていたのを、秋初戦から払拭した形。ただ、春先の時点で追い込みから先行と、脚質の幅も広く、レース巧者的な片鱗は見せていたと思う。
 秋の真の狙いはエリザベス女王杯という話(8割仕上げと調教師談)もあり、馬体も成長分こそあれ、やや(あくまで稍)緩めではあったが、最低限の力を発揮出来る出来にあったということを証明した。
 今回はオークス同様、ハイペースを先行した形になったが、同じ形で前回は話されたカレンブーケドールに雪辱を期した。元々軽い馬場の糞スロー(クイーンC時)でも戦える瞬発力もあったが、持久力戦の方が紛れも少なく、オークスと秋華賞共に結果を出せたことは、この馬の実力が紛れもなくトップクラスであることを証明したと言えよう。そして何より瞬発力勝負でも劣らないというのはいいことだ。馬場適性や遠征適性の問題こそあれ、持久力と瞬発力を兼ね備えていることは、海外でもやれるだけの基礎能力は高いことは間違いあるまい。

 2着にはカレンブーケドール。この馬にしては、今回やや後ろから行く形になったが、津村が慌てず騒がず、直線まで冷静に乗った。ただ、ビーチサンバ含め直線でごちゃついて、お互いやりあった挙げ句にダノンファンタジーを邪魔してしまったことは残念だった。とは言え、ダノンも既に脚を無くし気味で、アレが無かったとしても結果は同じだったと思う。ひょっとすると外人に乗り替わりになってしまうかもしれないが、そうだとすればやや気の毒ではある。いずれにせよ、この馬の場合、厳しい流れでも前に行った方が、他の馬と相対的に比較して有利ではないかと、オークスと今回を見て思っている次第。

 3着にはシゲルピンクダイヤが入った。直線入り口でサトノダムゼルを弾き飛ばすラフプレーはあったが、レース結果に影響したようなものではあるまい。オークスも今回も展開的には厳しかったので、やはりオークスが距離的に限界を超えていたというのが、大敗の要因だろう。今回の結果で、牝馬同士なら2000mまでは何とかこなせることを証明したと言えそうだ。とは言え、マイルを超える場合には高速馬場では厳しいとも思う。

 4着のシャドウディーヴァは調教の動きがかなり良かったので、追い切り診断でビーチサンバと共にA評価しておいたが、その期待に見事応えてくれた。若干右回りに不安があったものの、特にそういう問題ではなかったことを今回証明したと思う。最後は実力差を見せつけられたが、この消耗戦での僅差4着は誇っていい。ただ、勝ち味に遅い印象もあり、勝てそうなレースでの取りこぼしは結構ありそうなタイプだ。

 5着のビーチサンバは、逃げると思われたコントラチェックを制してハイペースでハナを主張した。結果的に見ると、58秒3は逃げなくても良いこの馬にしては明らかにやり過ぎたなという印象。59秒台前半なら、もっと際どい勝負に持ち込めたと思う。
 鞍上の福永はスタートこそ上手いものの、あまり積極的に乗らない傾向が強いが、時に暴走する時があり、今回がそれだったと言えそう。その点はちょっと残念でもあるが、逆に厳しいレースを作り出した貢献者と人馬ともに言えるかもしれない。ローズSといい、馬体の充実と共に実力は上がってきているように見え、マイルから中距離戦で、牝馬限定レースならこれからも活躍してくれそう。

 8着のダノンファンタジーは、不利こそあったとは言え、やはり力勝負になると馬脚を現すところがある。高速馬場のスロー上がり勝負が向いているということだろうか。

 期待したコントラチェックは逃げられなかったこともあるが、消耗戦では弱い部分があるという方が正確と見る。今回は力負け。

 もう一頭期待したフェアリーポルカも、4角前で手応えが悪くなっており、完全に力負けだった。

 とは言え、馬券的には散々だったが、レース自体は見るべきもののある内容だっただけに、個人的にはその点は救いだった。

 

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