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メンズの服装で大切なこと

男性のスタイルで重要なことは、それによっていかにその人自身が知性があり、信頼できる存在に見えるか、ということです。間違っても、頭が悪くて、信頼できない人というようには見えてはいけないわけです。ですから、重要なのは知性と信頼をどうやって表現するかです。

賢いということは、世界について広く知見があり、賢くお金を使うことができる人であるということ。しかしその賢さとは自分の利益のことだけを考える賢さではありません。メンズのスーツに多大な影響を与えたのが英国のカントリージェントルマン(田舎紳士)であるなら、ジェントルマンたるもの、ノブレスオブリージュ、つまり高貴な地位にあるものはそれなりの義務を伴うということを実践しなくてはなりません(ジェントルマンとは、イギリスの貴族階級です)。

その結果、質実剛健が選ばれることになります。簡単に言うと、いいものを長く手入れと修理をしながら着ていくということ。

そこで思い出してもらいたいのは、ツイードのジャケットやウールのセーターの肘の部分に縫い付けられた革製のパッチ。あれはデザインではなく、肘が擦り切れても補修して着続ける、ということを意味します。セーターの肘が抜けてしまっても、パッチで補修して着るわけです。

トルストイ伯爵夫人によると、ダンディであるためには、新しい服ばかりを着るな、とのこと。最上なのは、流行に影響されず、自分に似合うものを選び、質のいいものを何着か買って、擦り切れるまで着るということ。これが、知性があり、信頼するに値する男性のスタイル、となるわけです。

では、流行のものにすぐに飛びついて、新しいものをとっかえひっかえするのがなぜだめなのか。これでは自分のスタイルがなく、かついいものを大事にするという姿勢も見られないから。そんなふわふわして、自分がないスタイルをしていたのでは、賢く、信頼するに値する人には見えません。信頼できない人に見えていいことはありません。

具体的には、まず自分のスタイルを見つけること。チェックのシャツが好きだったら、いつもチェックでも構わないし、ストライプならストライプでもよし。一度決めたら浮気しない。そして長く着られるものを選び、少しずつ買い足していく。そのほうが結果的にお金はかかりません。

自分のスタイルに即したものだけをワードローブに選び、関係ないものは買わない。決めてしまったら、服のことで時間と頭を使いすぎない。もし考えていたとしても、そんなことおくびにも出さない(理由は格好悪いから)。

それでもまだ余裕があるのなら、最後は香りを。それは自分のためだけではなく、他者への気配りで。他者への気配りこそが、最も知的に人を見せますゆえ。

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