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2020年、Gincoの向かう先

2020年、遅ればせながら新年明けましておめでとうございます。

2017年の12月に創業したGincoも早2年が過ぎようとしています。特に2019年はブロックチェーン元年とも呼ばれ、大企業を含む新規参入や既存事業者の統合や撤退など業界のプレイヤーも大きく変化し、それぞれの企業が事業成長のため様々工夫を凝らした年だったのではないかと思います。弊社も、2019年は大きな意思決定を繰り返してきましたが、それが実を結んできたと実感しています。

このnoteでは、株式会社Gincoとしての2019年の振り返りと2020年に向けた抱負を書いておこうと思います。

エンタープライズ事業の本格化

まず2019年の大きな出来事として、Gincoは事業の主軸を、ウォレットアプリケーション「Ginco」からエンタープライズ事業へ大きくシフトしました。

2018年4月にメジャーリリースした「Ginco」は、複数の仮想通貨(暗号資産)をまとめて管理できる国内初のウォレットアプリケーションとして、多くの方にご利用いただき、2019年末時点で累計250億円以上が入金されるサービスとなりました。ユーザーの皆様はじめ、これまで「Ginco」を応援してくださった方々には感謝してもしきれません。

ブロックチェーン技術の普及のため、まずは仮想通貨の安全な管理が実現されることを至上命題として市場への提供を始めたこのプロダクトですが、国内の仮想通貨保有者の多くが取引所サービス内で仮想通貨の管理を行っていること、その取引所もまた仮想通貨の管理を行う上でセキュリティの課題や内部管理コスト増大に頭を悩ませていることから、「Ginco」の運営を継続しつつ取引所向けの事業展開を進めました。

その中で市場への投入を行ったのが、これまで「Ginco」の開発と運営を行ってきたノウハウを全て注ぎ込んで開発したGincoEnterpriseWallet、通称「GEW」です。

業務用ウォレットソリューション「GEW」

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GEWとは、仮想通貨を安全に管理・運用するための業務用ウォレットシステムです。

取引所での仮想通貨の管理というとコールドウォレットやホットウォレットといった言葉を聞かれたことがあるかと思いますが、GEWはその両方を提供しており、複数のウォレットが業務上効率的に運用できることを目指して設計されたオペレーションシステムとなっています。

特にGEWの開発にあたり、モバイルウォレットのサービス提供で培った鍵管理技術を応用することで、「セキュリティ向上」と「業務効率向上」の両立を実現することができました。既に国内で実際に事業を行う仮想通貨取引所交換業者様への導入も完了し、セキュリティ向上・業務効率化に貢献しております。製品の詳細にご関心のある方は、ぜひこちらからお問い合わせください。

現在は、こちらのサービスを仮想通貨のみならず幅広い暗号資産・電子記録移転権利(セキュリティトークン)の管理にも活用できるように展開を予定しており、近日中に発表を行います。

(2020/02/12 追記)上記についてのプレスリリースを行いました。
Ginco、改正資金決済法・改正金商法に対応したカストディシステムを開発。安全管理コストを削減する。

ブロックチェーンアプリケーション開発支援「GincoNodes」

さらに、ウォレットシステムを開発する上で、重要になってくるのがブロックチェーンノードの保守・運用ですが、Gincoでは、これらを外部に依存せず全て自社開発し運営を行ってきました。

2019年はブロックチェーンゲームを始めとするアプリケーション開発事業者が増加した一年でもあり、これらの事業者も同様にノードの保守・運用を行う必要が生じておりました。

こういった背景のもと、車輪の再発明を避け、各事業者がよりアプリケーションの開発に専念できるように、日本マイクロソフト様とパートナーシップを組みGincoの持つインフラ環境を外部に提供する「GincoNodes」を開始しました。

こちらも、「My Crypto Heroes」や「miime」といったトップレベルのブロックチェーンアプリケーションに微力ながら協力させていただいております。

著作権管理BC基盤と音楽著作権登録サービス「HashTune」

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また、弊社のブロックチェーンアプリケーションの開発および運用実績による経験を活かしたPoCも進めています。

特に、私個人が予てより関わってきた「ブロックチェーン×コンテンツ」の領域での引き合いがあり、作詞家・作曲家様による音楽著作権の管理基盤をHyperledger Fabricを用いて構築するプロジェクト「HashTune」が佳境を迎えています。

現実に、弊社の管理基盤を通じて著作権管理団体へ公式に登録が行われた楽曲も存在し、社会実装を見据えたサービスとなっております。こちらについては、近日中に詳細をリリースできることかと考えておりますので、もう少々お待ち下さい。

Gincoがブロックチェーン業界で提供できる価値は何か

Gincoは創業時よりプロダクト開発に専念してきた組織です。そしてプロダクトとして稼働している実用レベルの技術をモジュールとして分解し再構築することで、実際に利用できるプロダクトを次から次へと開発してきました。

嬉しいことに、そのようにして生み出したプロダクトが芽を出し始めていることは前述の通りですが、あらためて、この強みを持つGincoがエンタープライズ向けの事業で提供している価値は2つあると考えています。

1つは既にブロックチェーン活用に大きく踏み出している企業を対象に「一周回って誰もやりたくないペインを解決すること」です。

例えば「鍵管理」や「ノード管理」「API等ミドルウェアの高度化」は、重要ではあるもののコストとビジネスメリットのバランスが取りづらいセグメントであり、多くの事業者が「自分たちではやりたくない」と感じる領域かと思われます。その領域に対して、「GEW」や「Ginco Nodes」などの高品質なtoBプロダクトを投入してきました。

特に、GEWのように規制への対応コストを技術的なアプローチで軽減するソリューションは、今後ブロックチェーンが当たり前に用いられる世の中を作っていく上で非常に重要な役割を担うものだと思っています。

もう1つが、新たにブロックチェーンの本格活用・プロダクト化に着手される企業に「"強くてニューゲーム"を実現すること」です。

すなわち、プロダクト開発に基づく本番環境での検証済みの技術アセットを用いることで、技術面でのつまづきを無くすことで事業化のスピードを一気に高めるソリューションです。これがHashTuneや現在公開を控えている様々なビジネス共創案件における取り組みになります。

まとめ

あらためて去年を振り返ってみれば、Facebook主導のLibraや中国のCBDCなどキャッチーなトピックが出揃い、より多くの方が肌感を持ってブロックチェーンが活用される未来の世界をイメージできた一年だったように思います。

しかしながら、そうして多くの方が抱いた「2019年版ブロックチェーンの未来像」が、今後この国で実現するかどうかは、「規制準拠」と「プロダクト実用化」という2つの壁の向こうにあるのではないか、と感じずにはいられません。

2019年が本当にブロックチェーン元年と呼べるかは、2020年にどれだけ多くのプロダクトがこの壁を乗り越えていけるかに懸かっているのではないかと思います。

だからこそ私たちGincoは、本格的に事業を運営もしくは事業化を見据える企業の皆様がぶち当たる壁を取り払っていくことで、このブロックチェーン社会実装への”ラストワンマイル”を解決し、未来の世界を具現化させていきます。(このあたりについての詳細は別途記事を書こうと思います)

長文にはなりましたが、これを2019年の振り返りと2020年の抱負とさせていただきます。本年もGincoを何卒よろしくお願いいたします。

追伸:
ブロックチェーン技術が規制準拠とプロダクト実用化の壁を越えて社会に普及していくために、今年は特に「鍵管理」「カストディ」に関する私たちの知見を業界に共有してまいります。

本ブログや会社HPはもちろん、各種イベント・業界団体と連動したパブコメ等でも発信を続けて参ります。この動きの1つとして、3月に金融庁×日経新聞主催で行われる「Blockchain Global Governance Conference -BG2C-/FIN/SUM Blockchain & Business -FIN/SUM BB-」への参加・登壇も決定いたしました。

こちらもぜひ、よろしくお願いします。

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