病熱
空っぽの僕に急に届いた愛しくて触れもしないそれは
何年もの月日を経て空っぽの僕を満たして満たして挙句僕に芽生えたのは優しさと
なかったことにするには難しいほどの独占欲と寂しさ。
それと過ごした時間は僕の人生の半分をゆうに超えるほどのもので
なのにその時間は瞬きの間ほどあっという間で邪険にする暇も仲直りのキスもくれなかった。
いつだって真っ直ぐな瞳で、ひねくれたりうじうじしてる僕を 子供をあやす様に宥めてくれた
僕がひとりの間育てた孤独と硬い強い鎧はそのぬくもりも知った途端跡形もなく、まるで存在すら幻だったかのように消えた。
少し寂しくもあったけどこれからの僕には必要のないものだと教わったから手放せた。
愛しいそれに触れた瞬間から僕の時間軸や思考軸はすべてそれが中心で
いつも僕のせわしない心のど真ん中に居て、
僕が心の隅を走り回ってどったんばったんしてる時にもそれは1ミリも動くことなく悠然とあって。
だからなくならないと思っていたんだ。
ねぇ、こんな傲慢な気持ちのついでに最後の我侭を言ってもいいかな。
サヨナラの仕方も、教えてから居なくなってほしかった。
それがダメなら僕を先に殺してほしかった。
今からでも間に合うよ、僕はいつだって。
君がいないこの世界に未練なんてないんだ。
君がいるなら、灼熱の地獄も僕にとってはこの上ない楽園。
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