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"春の女神"ギフチョウを求めて①

 みなさんは「ギフチョウ」って知ってますか?
 他の昆虫が姿を現すよりも少し早い3月下旬〜4月上旬、この僅かな期間にだけ姿を見せる"春の女神"とも呼ばれるアゲハチョウの仲間です。
 このチョウは昆虫好きの間ではちょっとした有名人なのですが、その理由は他のチョウとは違った生態だからです。その主な特徴は以下の通りです。

① 1年に一度しか世代交代しない。
② サナギの期間が10ヶ月以上にもなる。
③ 全国的に分布しているのにあまり見かけることがない。

 昆虫にあまり興味のない方からすると「何が特徴的なの?」と疑問に思うでしょうが、日本で一般的にみられるチョウの仲間は、その多くが春から秋にかけて数回世代交代をします。
 しかし、このチョウは他の虫たちが姿を見せ始めるよりも少し早く、私たち日本人が桜の開花に夢中になっている頃に人知れず羽化し(蛹から成虫になること。)、約2週間程度の間に次の世代に命をつなぎ、4月中旬ごろには成虫は姿を消してしまうのです。
 この様な生態がもととなり「昆虫=夏」という季節感覚をもつ私たちは、この美しいチョウの姿を目撃することはおろか、存在すら知らずに暮らしているのです。
 かく言う私自身も、子供の頃はこのような知識もなく虫網を片手に視界に入る虫たちをひたすら追いかける幼少期を過ごしてきましたが、転職を機に引越してきたこの町の近くにギフチョウが生息していることを知り「今年はギフチョウの生態を観察してみよう!」と思い立ったのです。

 導入が長くなりましたが、このような経緯で今年の春、ギフチョウの生態観察をしてみましたので、これから数回に分けて投稿していきます。多少時間はかかると思いますがお付き合いいただける方がおられると幸いです。


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