木犀の香りで、うっとり癒されましょう。
秋から冬は、日本では金木犀の季節で、台湾はどうでしょう?
台湾では金木犀がほとんど見なく、白いお花の木犀が道端でよく見かけます。しかも、秋と冬だけではありません。
調べてみると、正式には四季咲きモクセイと呼ぶそうです。学名はOsmanthus fragrans var. semperflorens、中国語では桂花と呼び、銀木犀も金木犀も四季咲きモクセイも木犀(モクセイ)の変種であるようです。文字通り、金木犀はオレンジ色のお花、銀木犀はより白いお花を咲きますが、台湾で一番よく見かける四季咲モクセイの特徴は、開花期が長いとのことです。実際の開花期は大げさの四季ではないのですが、夏を除き、秋から翌年の春まで不定期的に咲くそうです。夏は唯一の不開花期なので、秋に咲くモクセイの香りが特に濃く感じます。秋の涼しい風とともに吹いてくるモクセイの香りを、烏龍茶と一緒にいただくと癒しの一服になります。
お茶用のモクセイの産地は、台北の坪林や南港が有名です。100年前から栽培されるモクセイの森は今も守られていて、南港の里山のトレッキングルートや登山マップを見ると「桂花歩道」もあります。秋にモクセイの森に潜ると、アロマが身体に沁みます。
モクセイの花の咲く時間は、わずか4日間しかありません。初日は小さな蕾で、2日目は咲き始め、3日目は一番時めき、4日目に散るので、2日目と3日目に咲く花しか使えません。そのため、全て手作業でしなければなりません。
繊細な手作業なので、今月もまた地元の宜蘭にある花間茶語の若女将さんにお願いしました。前回5月の時に、彼女の柚花烏龍茶を紹介し、多くの方々がファンになり、その後も大量購入の依頼が沢山来ました。柚花烏龍茶も、桂花烏龍茶も、他の茶農家の物と比べて飲んでみましたが、やはり彼女が作った物に、繊細さが感じます。結婚するまで茶農家ではなかった彼女は、外から消費者の目線で需要を見つけ、若い女性に人気なフローラルティーのシリーズに没頭しています。自家農園の柚花(台湾では文旦のことを柚子と呼び、その花を柚花と呼ぶ)から始め、坪林の桂花(モクセイ)、苗栗の杭菊、南投のバラ…など、色んな可能性を探りながら商品開発をしています。お葉っぱを採るお茶と比べ、量が本当に少ないお花を使うのは、なんて贅沢なことだな、と思いますが、おそらく、貴重なお花の一番美しい時をいただくことで、幸せな一瞬がより強く感じるのでしょう。気のせいかもしれませんが、女性の製茶師だから他の所とちょっと違った、繊細な味ができたのかな…。
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