Lin Pinchun|台湾出身の台湾茶研究家

台湾出身、台湾在住の台湾料理研究家・台湾茶研究家Linが、皆の知らない台湾食文化を発信。

Lin Pinchun|台湾出身の台湾茶研究家

台湾出身、台湾在住の台湾料理研究家・台湾茶研究家Linが、皆の知らない台湾食文化を発信。

最近の記事

早春の四季春。いつでも春。

4月は、台湾烏龍茶の最も重要な季節です。台湾では、4月5日清明の日に御墓参りをして、その後は春茶の忙しい季節になります。いつも、清明の日に一気に暖かくなり、「万物に清新の気がみなぎる時節」とよく言われるように、植物の成長も一気に進みます。そのため、春茶の生産量は、他の生産時期よりも多いとのことです。 しかしながら、台湾では「四季春」という、季節を問わず、いつでも成長が早い茶の木の品種があります。四季春という品種は、1946年に張文輝という茶農家さんにより、台北近郊の「木柵」

    • 将来、飲めなくなる明前三峽龍井茶を今のうちに、飲もう。

      台湾北部の三峡(旧称:三角湧)という所は、台湾緑茶の第一産地として有名です。ここでは、主に炒青綠茶「碧螺春」が作られるが、少し珍しい「龍井茶」も作られています。三峡は、清の時代以来茶の木が栽培され、日清戦争後の日本植民地時代(1895-1945)では輸出用の紅茶や香港で多く消費される「香片(シャンピエン:ジャスミンや金木犀で着香させる用の加工用緑茶)」が生産され、当時東アジアの最大の製茶工場が建てられた歴史がありました。 日本植民地時代にて三井合名会社が三峽で設立された製茶工

      • 冬の薬膳茶と旧正月の定番お菓子。

        台湾では特に冬に薬膳料理を沢山食べます。薬膳鍋や漢方食材を入れた鶏スープ、当帰やクコの実などを入れたおこわや麺類、さらにデザートにも桂圓(乾燥龍眼)やナツメが多く使われます。薬膳茶もこの時期に人気が高く、ナツメとクコの実と黃耆(おうぎ)で煮詰められた免疫力を高める薬膳茶や黒糖生姜茶も、年寄りや冷え性の方に勧められます。 黒糖生姜茶は、黒糖のブロックに生姜おろしやスライスでお湯や弱火で煮詰められ、特に冷え性や生理期間の女性に人気があります。また、寒い日には男女問わず飲むことが

        • 正月という特別な時期だけには、大切な人と数量限定プレミアム台湾高山老茶をご褒美でいただこう。

          あっという間に一年がまた過ぎました。 今年もお疲れ様でした。 この一年を振り返ってみると、また様々な台湾茶を紹介してきました。 南投名間冬片、文山包種茶、柚花紅茶、貴妃蜜香烏龍、仙草茶、紅玉紅茶、桂花烏龍、玉山高山烏龍、鐵觀音茶など、そして台湾伝統的な茶菓子も、宜蘭伝統花生糖、紅豆丸、台南杏仁荖、三星蔥ヌガークラッカー、宜蘭金棗膏、新竹福源花生醬のウエハース、澎湖花生酥、薬膳菓子桂圓核桃糕などを紹介してきました。台湾茶はやっぱり、無限な可能性が、毎日生まれているのだな、とい

        早春の四季春。いつでも春。

          忙しい師走の時期、身体も心も温かくしてくれる正欉鉄観音茶と燻製龍眼とクルミのタフィー

          11月に入って、気温がグッと下がり、紅葉も少しずつ見えてきて、これからはいよいよ本番の冬に入ります。 北台湾は、日本ほど寒くないが、気温もだんだん下がって、雨の日が続いており、冬の気分になりました。 冬の台湾茶を言うと、鉄観音茶は絶対外せません。 強い焙煎の香りが特徴的だが、その特殊な作り方に原因があるのです。。 台湾でも有名な「鉄観音茶」は、元々中国の福建安溪で成長していた、品種の名前が鉄観音と呼ばれている茶の木が、1895年より台北近郊の猫空エリアで栽培が開始される

          忙しい師走の時期、身体も心も温かくしてくれる正欉鉄観音茶と燻製龍眼とクルミのタフィー

          肌寒い時期に、身体も心も温めてくれる高山茶。

          前回10月号の続きに、11月号は包種茶ver.3を紹介いたします。 復習:【包種茶、ver.1 ~ver.3まであるの?】 包種茶ver.1: ジャスミンの他に、台北の近郊にモクセイが沢山栽培されました。特に「南港」と「石碇」という二つの場所で一番多く栽培されています。この地のフレーバーティーは「包種茶」と呼ばれるようになり(青心烏龍種のお茶を紙で包む、という意味で包種茶)、中では「南港包種茶」が一番有名です。この時期の包種茶は、実は現在私たちが飲む包種茶と違い、桂花(モ

          肌寒い時期に、身体も心も温めてくれる高山茶。

          8月に紹介するのは、夏バテに効く先人の知恵、仙草茶。

          台湾も日本も、本場の夏に入ったことを、肌で実感しています。 家の前の田んぼ。米が美味しそうに育てられています。 夏の長い台湾では、熱中症予防のために、古くから「青草茶」が飲まれています。 「青草」とは、ハーブと薬草の間にあるものです。 薬草だと、薬用植物で漢方や中医の病院で薬として使われたりする物が多いが、青草はそれよりも気軽に、お茶のように毎日飲んで良い物で、つまり医薬品ではなく食品扱いです。 ハーブティーだと、香りや味を楽しんだり、ノンカフェインで身体を癒したり

          8月に紹介するのは、夏バテに効く先人の知恵、仙草茶。

          真夏に作られた紅玉紅茶で、残暑を楽しみましょう。

          台湾の紅茶を代表する紅玉紅茶を是非皆さんに紹介したいと思って、再び南投の茶農家、小茶米の連さんに連絡しました。 👧「去年のコンテストで優良賞を取った紅玉紅茶、美味しかったですね。今年はどんな感じですか?」 👨「今年はまだコンテストが始まってないのだが、ちょうど先週夏の製茶作業が終わって作りたての夏茶があるよ。夏と真夏のどっちが良い?」 👧「え、夏と真夏、何が違うの?😅」 👨「夏は5月下旬に作られて、真夏は7月の下旬に作られたのだよ」 なるほど!夏にも1回目と2回目の

          真夏に作られた紅玉紅茶で、残暑を楽しみましょう。

          【レシピ】紅玉紅茶でチャイを作ろう

          こんにちは。 9月に入ってすっかりと秋の気分になりました。 ちょっと台湾9月号で紹介した日月潭の紅玉紅茶をチャイにしてみましたので、レシピを皆様にシェアしますね。 紅玉という品種は元々、ミントとシナモンなどの味がする台湾特有の茶の木であります。 この品種は、緑茶や烏龍茶に向いていなく、紅茶にしたら一番良い味が引き出されるとよく言われます(近年は、紅玉で作られた白茶ブームもあったが、あまり人気が出なかったようです)。 「シナモン味を持っているから、チャイにすれば絶対美味

          【レシピ】紅玉紅茶でチャイを作ろう

          あの有名な凍頂烏龍茶が、蜜香バージョンもあります。

          台湾茶の生産時期は、冬と春のみならず、夏にもお茶を生産しています。気温や湿度の高い夏には、酸化によるカテキンの発酵が早く進み、東方美人や紅茶のような発酵レベルが高いお茶を生産するのに最適な時期である。また、「蜜香茶」もこの時期だけ生産できます。 寒い冬を越え、夏は虫の繁殖期であり、蜜香茶に必要なウンカというコバエも沢山います。東方美人茶、蜜香紅茶などの「蜜香茶」は、上等なダージリンのセカンドフラッシュと同じように、夏のウンカに力を借りています。梅雨の時期より、害虫だったウン

          あの有名な凍頂烏龍茶が、蜜香バージョンもあります。

          毎年待望の柚花茶、今回は紅茶バージョンが楽しめます。

          去年のちょっと台湾5月号に、初めて宜蘭冬山の柚花烏龍茶を紹介し、とても人気になり、その後は沢山の方から茶葉を追加で購入したいと連絡が来ました。 今年は同じく花間茶語さんが作った紅茶と4月に咲く文旦の花をブレンドした紅茶をご紹介していきたいと思います。 台湾の文旦は、甘いグレープフルーツのような味ですが、そのお花の香りは柑橘類の花の香りだけでなく、ほんのりクリーミーな香りもして、とても上品な味わいです。また、お湯で入れる時と水出しにする時とは違った味がするので、様々な入れ方

          毎年待望の柚花茶、今回は紅茶バージョンが楽しめます。

          紅烏龍でチャイ?

          紅烏龍をチャイにしていませんか? この前ふんわり糀家のなつみ先生のインスタライブで紅烏龍(ホンウーロン)を紹介して、「ストレートでも良いが、チャイにしても美味しい!」とオススメして、ライブの後もすぐに実践してくれたなつみさんのチャイが美味しそうで、多くの方々もお家で挑戦してみたようです。 紅烏龍は、高発酵&高焙煎のお茶で、カフェインがほとんど飛ばされてどなたでも気軽に楽しめる台湾茶で大人気になっています。 いつもチャイを作っている時、丸められた紅烏龍が、もう少し細かくなった

          清明の新茶:文山包種茶と包種茶雪花餅

          4月5日は清明の日。清明が過ぎたら新茶の季節に入ります。 台湾では4月1日頃〜4月5日頃が長い休みがあり(地元ではよく春休みと呼んでいて、日本のGWのような感じかな?と思います)、4月に入るといつも熱中症になるくらい急に暑くなりますが、今年はかなり寒かったのです。通常は30度くらい上がるが先週は15度くらいの寒波もありました。コロナの感染も増えて風邪を引いてしまった人も沢山いました。連続の雨で新茶の摘み作業も少し遅れているそうです。 今回は文山包種茶を紹介したいと思ってお

          清明の新茶:文山包種茶と包種茶雪花餅

          激レアな冬蜜凍頂烏龍茶、入手しました。

          皆様、台湾茶の代表、凍頂烏龍茶って聞いたことがあるでしょうか。 凍頂とは、凍頂山のことを示し、その地で作られている烏龍茶は凍頂烏龍茶と呼びます。 昔から「北包種、南凍頂」という程台湾の中南部地方の代表的なお茶であり、1960〜1980年代が最盛期でした。1987年から、初めての高山茶が現れ、製法や機械の技術が進むにつれてもっと海抜の高い地域で茶の木の栽培ができるようになり、同じ製茶方法で違うエリアの特徴を楽しむことになりました。違う山の味は「山頭気」(サントーチー)と言いま

          激レアな冬蜜凍頂烏龍茶、入手しました。

          木犀の香りで、うっとり癒されましょう。

          秋から冬は、日本では金木犀の季節で、台湾はどうでしょう? 台湾では金木犀がほとんど見なく、白いお花の木犀が道端でよく見かけます。しかも、秋と冬だけではありません。 調べてみると、正式には四季咲きモクセイと呼ぶそうです。学名はOsmanthus fragrans var. semperflorens、中国語では桂花と呼び、銀木犀も金木犀も四季咲きモクセイも木犀(モクセイ)の変種であるようです。文字通り、金木犀はオレンジ色のお花、銀木犀はより白いお花を咲きますが、台湾で一番よ

          木犀の香りで、うっとり癒されましょう。

          肌寒くなる秋は、高山茶の時期に入ります。

          台湾茶の歴史の中で、それぞれの時代に違う物が流行っていました。 18世紀から中国から鉄観音の植木が台湾に初めて持ってこられ、台湾お製茶事業が始まりました(それまでは原住民が台湾特有の山茶を飲むこともあったが製茶事業の規模に至っていませんでした。山茶のストーリーはまた別の時間でお話しします)。その後、イギリスの貿易商により、台湾茶はフォルモサウーロン、オリエンタルビューティー(東方美人)として世界に初披露されました。日清戦争の後、台湾は日本の植民地領土に入り、大日本帝国政府の

          肌寒くなる秋は、高山茶の時期に入ります。