見出し画像

早春の四季春。いつでも春。

4月は、台湾烏龍茶の最も重要な季節です。台湾では、4月5日清明の日に御墓参りをして、その後は春茶の忙しい季節になります。いつも、清明の日に一気に暖かくなり、「万物に清新の気がみなぎる時節」とよく言われるように、植物の成長も一気に進みます。そのため、春茶の生産量は、他の生産時期よりも多いとのことです。

しかしながら、台湾では「四季春」という、季節を問わず、いつでも成長が早い茶の木の品種があります。四季春という品種は、1946年に張文輝という茶農家さんにより、台北近郊の「木柵」エリアにある自分の茶畑で一番最初にその茶の木を偶然発見しました。他の茶の木と比べて成長が早く、どの季節でも成長が進み、摘むことができます。年間およそ6〜8回ほど収穫でき、生産量の大きい品種で各地の茶農家の間で人気が集まりました。この新しい品種は、鳥や風により違う品種の花粉が混ざり、母親と父親は未だに不明でありますが、この品種を普及するのに種ではなく挿し木で繁殖すれば遺伝子はずっと同じ物で茶の木の特徴もそのまま残されてきました。挿し木で品種の特徴を保った茶の木を、木柵エリアより台湾北部、その後は中部地方、南投の凍頂と名間で一番多く栽培されることになりました。近年の研究により、この品種は自然選抜の中で変種が出現したと確信し、台湾で珍しく農林庁の研究ではなく民間の茶農家により新しい品種が確定されました。

どの季節でも春茶のように多く収穫できるため、「四季春」という名前が付けられました。また、「早春茶」や「不知春」、そして年に6回取れることで「六季春」とも呼ばれます。

四季春の特徴は、成長が速いことだけでなく、病害虫も少なく、干ばつにも強い品種特性を持っており、そして濃厚な香りを持つこともこの品種の大きな特徴であります。俗称「驚死人香(死ぬ程びっくりさせるような香り)」と言われ、クチナシやジャスミンのような白い花の香りがします。その香りは、産地や作り方により違ってきますが、今回ご紹介しているのは、産地南投名間郷、作り方は軽発酵、青茶(烏龍茶)、無焙煎。水色は黄緑色〜黄金色であり、暖かく飲んでも、水出しで頂いてもとてもリフレッシュできる美味しいお茶であります。

4月号のセットに入っている四季春は、冬と春の間に作られた冬片茶を使用しています。他の品種ではなかなか難しいが、四季春でしたらよく冬片茶が採れます。この時期は、昼間と夜の気温差が大きく、太陽の光も比較的に弱く、アミノ酸などの物質が多くなり、渋くなくなり、甘みが強く香りも高い。

香り & 味わい|クチナシ、生姜、草、ジャスミン
作り方|釜炒り(炒青)、締め揉み(團揉)
産地|南投県名間鄉
農園|小茶米農場
品種|四季春
標高|400m
発酵 ★☆☆☆☆
焙煎 ★☆☆☆☆
生産時期|冬片(12月〜2月)

4月号の台湾茶菓子は、黑糖蜜麻花を紹介。

蜜麻花とは、日本の索餅と同じルーツを持ち、中華菓子の麻花(マーホア)をさらに胡麻と水飴を絡んだレトロなお菓子であります。砂糖きびの生産大国台湾では、南国風に黒糖味の「黒糖蜜麻花」が特に人気があります。水飴がかけられツヤが出ており、見た目もより豪華になりました。小麦粉より炭水化物、そして糖分が入っており、昔から子供への栄養補給のためによく午後のおやつとして使われていました。黒糖と小麦粉の香りに、サクサクな食感。四季春青茶ともバランスの良いマリアージュとなっています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?