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絶対に飲んだことのない、激レアな鳳凰水仙の文山包種茶を見つけました。

4月の台湾は、茶農家の一番忙しい時期。

東方美人や紅茶などの夏茶(いわゆるセカンドフラッシュ)を除き、3月の緑茶を始め、4月5日の「清明」を過ぎると、阿里山茶や梨山茶を含めた高山烏龍茶、そして台湾北部限定の文山包種茶などの春茶の忙しい時期が始まります。春の茶葉は、日本の一番茶やインドのファーストフラッシュと同じく、冬を越した生命力、そして冬眠時に貯蓄した栄養素が気温の上昇と共に新芽に生まれ変わります。

台湾茶の80%を占める烏龍茶(半発酵茶)の中の70%が台湾の中部地方に集中しているが、「北包種、南凍頂」という台湾茶業界では有名なことわざがあるほど、台湾北部を代表する包種茶を軽く見るわけにはいけません。

文山包種とは?
昔の文山地域とは現在台北市の文山区、南港区、および昔の台北県、現在は新北市の新店、坪林、石碇、深坑、汐止などの地域を示しています。一部が台北市の中にあり、都心部より一番近いお茶の産地であります。特に南港の駅(普通電車、新幹線、地下鉄などのあるターミナル駅)から出て車やバスで20分ほどには茶畑に着くことができます。また、文山区の動物園駅よりロープウェイに乗ると、有名な猫空があり、鉄観音の有名な産地であります。

何故、都心部よりこんな近い距離で茶畑があるのって、思ったりしますか?

台北は実は山に囲まれた盆地であります。元々の都市部は淡水川に沿って発展されてきて(200年前は電車もなかったので船で貨物を輸送し、川沿いに人が集まります)、下町の萬華や迪化街、大稻埕など、昔の繁華街は全て川沿いにあり、山からは実は近くなかったのです。戦後は電車の建設で人々の生活地域も広がり、川沿いに限らなくなりました。この30年間は特に東台北の開発、再開発が進み、山の麓までマンションが建てられ、都市が山にだんだん近づいてきました。上の地図の淡水川を都心部として考えてみると、南港などは実は都心から離れていました。今は再開発で新しいタワーマンションが沢山建てられ、ターミナル駅までできたとは、昔なら絶対に考えられませんでした。

次は、「包種」という名前の由来です。

200年前の時代は、鉄の缶さえなかったです。お茶は紙で包んで店で販売していました(輸出の物は木の箱で輸送)。「種」とは、青心烏龍品種の通称、台湾語で種仔(チョンアー)と呼びます。「種(仔)」を「包む」お茶は、「包種茶」と呼びます。今はこのようなレトロな包装を「紙包茶」と呼んでいます(現在は真空包装のできるビニール袋や缶などに換えてレトロ風のデコレーションだけに使用されます)。

文山包種茶の中では、一番山の奥にある坪林という産地の包種茶が有名です。

標高400メートルの茶畑は、太平洋側から湿気の強い風が吹いてきます。通年湿気が高く、品質の高い茶葉が生産されます。

文山包種茶の1番の特徴は、お花が入っていないのに、花の香りがすることです。


これは、茶葉が摘まれて、萎凋(半分くらいの水分がなくなるまでしばらく置いておく)の段階に、均等に空気に触れるように茶葉を混ぜることにより、お花の香りが出るのです。毎日の天気やその時の茶葉の状況により、混ぜる頻度と強さ、回数なども違って、職人の判断により混ぜる工程が決められ、一定の公式がないのです。お花の香りが非常に繊細で、作業を細かくしてちょうど良い香りができることを目標しています。一番花の強い包種茶は、その年の優勝賞を取り、1キロ1万元を超えて販売することができます。

毎年の春は坪林の老舗「祥泰茶莊」で宝探し。ここは、文山包種茶のミュージアムを呼んでも言い過ぎではないと思っています。昔ながらの手作業製茶工場を運営し、そして文山包種茶への強い執念を元に、同じ農園の茶葉をランク付けし、そして様々な品種の特徴に基づいた製茶方法の微調整などで、常に20種類以上の文山包種茶が提供できるという、文山包種茶のマニアである。

祥泰茶莊は1921年より、製茶工場から創業。茶農家より上質で新鮮な茶葉を栽培するのは大前提で、繊細な台湾茶は実は「製茶師」が美味しいお茶の一番のキーポイントを掴んでいます。シェフの腕が料理の美味しさを左右するように、上質なお茶を求める方は、製茶師まで追究します。ワインや日本酒の醸造家やコーヒーの焙煎職人と同じ概念であります。自分で茶畑を持っていないのだが、製茶の腕で坪林の茶農家より製茶を依頼されたり、あるいは坪林地域の茶農家より生の茶葉を購入して製茶工程で茶葉の価値を上げて全国に販売。味に拘りの強い三代目ご主人馮明忠さんは、主にシングルオリジンの文山包種茶を作っています。花の香りが高い文山包種茶は、違う品種でさらに様々なお花の香りがします。4月下旬にお店に尋ねると、10種以上の文山包種茶をテイスティングができ、様々なお花の香りを楽しめる贅沢な文山包種茶パーティーのような体験。台湾では珍しい品種を坪林エリアで保育し、福建の肉桂、武夷種、広東の鳳凰水仙、白毛猴など、さらに台湾の在来種四季春や金蘭、茶業改良場が研究した台茶13号翠玉などを、全て文山包種茶にしています。文山包種茶の愛好者には、お茶の博物館よりも楽しい工房であります。

今回は、主流の金萱(台茶12号)や青心烏龍よりも早く新芽が出た「鳳凰水仙」の文山包種茶を飲み、今までにないような香りで驚き、是非皆さんに紹介したいと思っています。鳳凰水仙は、元々広東の鳳凰山で発見されたその地の在来種であり、後に台湾でも極少量で栽培されています。主流な品種ではないため、栽培と製茶している人も少ない。少量で栽培されている品種の茶葉は、よく他の品種の茶葉とブレンドされることが多いが、祥泰茶莊ではそれぞれ特徴のある文山包種茶を製作するのが得意で、このようなレアなお茶は、ここでしか手に入ることができないでしょう。

先味にはゲッキツ(月橘、シルクジャスミン)と蘭の香り、そして杏子と桃などの香りがするとても上品で繊細な味わいでした。

繊細な香りと味を味わうために、口の中には他の匂いがないようにした方が、より楽しめます。また、味よりも香り高いお茶ですので、台湾双杯のコップセットを使って、聞香杯で香りを楽しみましょう。

香り & 味わい|ゲッキツ(月橘、シルクジャスミン)、蘭、杏子、桃など
作り方|摘み→萎凋(水分を飛ばす)→浪菁(空気と触れるように混ぜる)→炒菁(加熱)→揉捻(揉む)→乾燥
産地|新北坪林
品種|鳳凰水仙
標高|500m
発酵|★☆☆☆☆
焙煎|★☆☆☆☆
生産時期|4月

・台湾茶|坪林鳳凰水仙文山包種

坪林で栽培された貴重な鳳凰水仙で文山包種茶の製茶方法でできたレアな台湾茶。先味にはゲッキツ(月橘、シルクジャスミン)の香り、そして杏子と桃などの香りがするとても上品な味わい。発酵のとても軽い包種茶は、緑茶と烏龍茶の間にあるまろやかな味わいに、華やかな香りが楽しめます。

・伝統茶菓子|黑金剛花生糖

「黑金剛花生」とは、アントシアニンが多く含まれた新しい品種の落花生。約20年前に雲林県元長郷で発見された以来、活性酸素を除去・抑制する抗酸化作用が期待されているポリフェノールが含まれた栄養素で人気が高い。香りと味が繊細な鳳凰水仙文山包種には、台湾のスナックによくあるピーナッツのバーを「黑金剛花生」で作られ、水飴で固めてあまり甘くなくピーナッツ そのままの味が楽しめる健康的な茶菓子。


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