ワイシャツのエリ洗いはクリーニングの要
クリーニング店にとって、ワイシャツは欠かすことのできないメニューです。
単価は安いのだけれど、いちばん需要のある商品なので、侮れません。
したがってほとんどすべてのクリーニング店に於いて、この商品は取り扱っています。
ホワイトシャツがなまってワイシャツ となったのは有名な話ですが、カッターシャツはどうなんでしょう。
もともとは、ミズノが作ったスポーツシャツをカッターシャツと呼んだらしいです。
ミズノの本社が大阪にあったことから、関西を中心にカッターシャツという呼び名が流行ったそうです。
ただそれだけの事。
昔の名残で、ワイシャツともカッターシャツとも呼びますが、同じものと考えてよいでしょう。
クリーニング店でも、ワイシャツとカッターシャツの区別は付けておりません。
まあ、語源がホワイトシャツなだけに基本的には白色なのでしょうが、今はとてもファッショナブルになっています。
色もいろいろ、シルエットもいろいろ。ボタンの色を替えてみたり、ボタンホールの色も変えたり。
選択肢が広がっていいんぢゃないでしょうか。
社会的にも許容範囲が広がって、ついさいきんは黒のワイシャツに黒のネクタイとか、シルバーのネクタイといったものも、よほど場違いなところでない限り許される。
こういう色使いも市民権を得たなと私は考えています。
シルエットも立体形状になっていて、アイロン仕上げの難しいシャツもあったりします。
これは業界人としては、嬉しい事ではありません。
このような蛮行を許してはいけません。
(と、身勝手な私は、突然のように主張したりもする)
ワイシャツのファッション性について考えると、色の次に目立つのが、襟(えり)の形。
色(カラー)。そして襟(カラー)。
カラーと書くと紛らわしいんで、漢字で書いてみます。
私は若い頃、流行った雑誌の『メンズクラブ』でワイシャツの襟の形を勉強しました。
(今でもメンズクラブは頑張っていて、ロングセラーになっています)
ワイドカラー。レギュラーカラー。ショートポイントカラー。ラウンドカラー ……
そして、ボタンダウン。
ちょっとカジュアルで、木綿のオックスフォードという生地を使ったシャツはジーンズなんかでも合わせることができます。私は好きですよ。
タブカラーってのもあります。エリ先とエリ先をタブで繋ぎます。ネクタイのノットをはっきりさせて、クラシックに、エレガントに見せる効果が有りますねえ。
もっとお洒落だと思うのが、ピンカラー。
襟元をタブでなくてピンで押さえるタイプです。これには襟に穴を開けるものと、クリップで止めるものとあります。
クレリックカラーという襟もあります。身ごろを水色やストライプにして、エリとカフスだけを白にしたもの。
クレリックでピンカラーの襟となるともうお洒落の極みです。
2階級特進ものですが、お洒落が際立つだけに着こなすシーンを選びますね。
ビジネスシーンでは浮いてしまいます。
ここからはクリーニング店のお話。
ワイシャツのクリーニングは、洗って、糊付けをして、プレスするという工程に分かれます。
多くのクリーニング店ではプレス加工にロボットを使います。
昔はずらりと職人さんが並んでいて、ワイシャツ仕上げをしていたそうですが、今はロボットが一台あれば事足ります。
意外に思われるかもしれませんが、機械でプレスしたほうが均一な圧力でしっかり押さえることができます。したがって、襟やカフスなどは、はっきり綺麗に仕上げることができるのです。
糊付けは、お店の主張が出るところです。
柔らかく、肩の凝らないようにするお店や、かっちりと硬糊をいれて仕上げるお店などいろいろです。
当店では、基本ミディアムにしていますが、お客様のご希望に応じて、硬くも柔らかくもします。
まるで、ステーキ店のオーダーのようです。
ワイシャツのクリーニングは襟まわりを綺麗にすることが何より大事です。
ワイシャツは生地が綿であることが多いので、染み抜きもしやすいです。
胸ポケットにボールペンのシミがあるというのはよくあるお話。
最近は水性耐水性の、染み抜きが難しいゲルペンもあるので、胸に付けないようにご注意ください。
襟もとに口紅を付けるのは、クリーニングのお話し以前に、家庭崩壊の危機をはらんだ危険な行為ですので、厳禁です。
要らぬお世話でございました。
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