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君に届かない|#青ブラ文学部

還暦を過ぎて、ぼちぼち終活とかにも真剣に向き合わないと…なんて、たまに思う今日この頃。

学生時代、オフコースの歌が好きだった。片想いだけはいつもしていたが、オフコースの歌の中に出てくる愛や(交際があっての)別れとかいまいちピンと来ず、大人になればいつかわかるんだろうな…と思いながら聴いていた。

『老人のつぶやき』という歌がある。


もうすぐ人生が終わる時のそんな心境を歌にしたみたいですが… 小田和正さんだってまだ若かったでしょうけれど、なんでこのような歌が生まれたのか。でも、少なくとも当時二十歳そこそこな私よりは歳上でしたから… いろんな恋愛も経験なさっていらして書けたのでしょうか。

初めてこの歌を耳にしてから数年経って私にも初彼ができ、彼の部屋でオフコースの歌を聴きながら過ごすこともできたりして…

「この『老人のつぶやき』っていう歌さ、ちょっと好きなんだよね。でさ、俺、この歌のようにならなくて良かったって思っている」

「意味がよくわからないんだけど…」

「♪ただ あの人に私の愛が伝えられなかった
  それが心残りです♪
 のところがさ、俺は心残り無いっていうか」

なんて小っ恥ずかしいセリフを言っているんだろう…と思いながらも、あの時はしあわせをたくさん感じていたかな。

けれど、私にとって人生初の彼との恋愛は一年しか続かなかった。もしかしたら一緒に人生を歩むはずだったかもしれないけれど… 糸がプツンと切れるように終わってしまった。


「俺さ、故郷に帰って仕事頑張るからさ。で、いつか君のイメージカラーの砂時計みつけたら送るよ。きっと贈るから」

「ありがとう。待ってる」

別れる前にそんな約束したこともあったけど… 
届いていないよ。砂時計、みつからなかったのかな。まぁ、別れた恋人との約束なんて守らなくても良いだろうしね。

もし見つけたとしても、きっと送れないだろうし。だから届かないんだろうね。私も待ってないよ。


あの人から私(君)へは、もう永遠に何も届かない。それでいい。私も何も送らない。ただ、安寧を祈るだけ。


[約850字]

だいたい自叙伝…

#青ブラ文学部
#君に届かない

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