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LIMEXが石灰石を主原料とする理由①【少量の石灰石でプラスチックや紙を代替できる】

自社で石灰石を採掘しているわけではない


LIMEXは石灰石(炭酸カルシウム:CaCO3)を主原料としています。

しばしば誤解されることなのですが、LIMEXの原料となる石灰石は、TBM自体が採掘を行なっているわけではありません。

日本における石灰石の用途は、2021年の国内出荷量1億2623万トンのうち45%に当たる5719万トンがセメント向けです。次に2848万トン(22%)がコンクリート骨材用。続いて1869万トン(14%)が製鋼プロセスで不純物を取り除くために鉄鋼で使用されています。これら3分野だけで8割を超えています(*1)。

その他、製紙の原料のひとつにもなっているし、化学工業、肥料、工業製品に添加される充填材から食品製造まで、じつに幅広く使われています。まさに、私たちの暮らしになくてはならない資源といえます。

TBMは、これらの企業と同様に、セメントや鉄鋼製造向けに供給しているサプライヤーから「炭酸カルシウムパウダー」のかたちで購入しています。

さすがに、自社で石灰石鉱山を保有して採掘しているわけではありません。というのも、TBMが自社工場でのLIMEX製造に使用している石灰石の量は最大でも年間2万トン未満で、国内石灰石出荷量のわずか0.01%にすぎないんです。

極めて少量の石灰石でプラスチックや紙を代替できる


今後、LIMEXが普及するにつれて石灰石の使用量は増えると見込まれます。でも、仮に日本で生産される印刷・情報用紙(年間約631万トン *2)をすべてLIMEX Sheetで置き換えたとしても、必要な石灰石は約379万トンで事足ります。国内石灰石出荷量のわずか3.0%程度です。

同じく仮に国内のプラスチック生産量全体の約46%を占めるポリエチレンとポリプロピレン(年間450万トン *3)をすべてLIMEX Pelletで置き換えたとしても、必要な石灰石は約442万トン(*4)となり、国内全体の約3.5%程度にとどまります。

要するに、極めて少量の石灰石でプラスチックや紙を代替できるわけです。

もちろん、あらゆる素材、あらゆる製品は何らかのかたちで環境に負荷をかけています。その意味では石灰石という天然資源を主原料とするLIMEXも同様です。

しかし、だからこそ、採掘や使用に係る環境負荷や社会的影響を最小限に抑え、リサイクルの取り組みも積極的に推進しながら、いかにサステナビリティ(持続可能性)を高めるかを事業の念頭に置いています。

TBMでは各サプライヤーの環境・社会配慮状況の把握に努め、高度な管理を促していて、取引しているサプライヤーは、環境マネジメントシステムを有するなど、当社の環境・社会配慮の方針についても協力いただいています。また、調達する石灰石は地元産を重視して選定していて、例えば当社の白石工場(宮城県白石市)では東北地方の石灰石を使用しています。

紙にも石灰石は使われている


ところで、石灰石(炭酸カルシウム)を使用している業界として製紙業を挙げました。

製紙業でも、紙の強度、質感、光沢、白度などの特性を向上させるためのフィラー(填料)として石灰石が広く活用されています。フィラーとしては炭酸カルシウム(石灰石)の他にも、タルク(滑石)、クレー(白土)が主に用いられるのですが、紙が酸性化するのを防げて、安価である炭酸カルシウムが使われることが多いようです。

普通のコピー用紙や上質紙の場合、10〜15%含まれていることが多く、辞典用紙のように薄い紙でも裏の文字が透けたりしないようにするためには約25%の填料が使用されることもあるそうです(*5)。

一般的には紙の重量の10 〜30%程度が使用されており、世界中で製紙業者が使用する石灰石などの鉱物は年間約3,200万トンに及ぶとの試算もあります(*6)。

また、紙の表面に塗工する顔料としても使用されるほか、パルプの漂白剤や印刷用のインクにも石灰石は用いられています。

その他、石灰石は人体に対して安全であり、カルシウム分そのものが栄養素であることから、食品用にも広く使用されています。石灰石鉱業協会のホームページには食品用の使用例が詳しく書かれていました。そのくらい身近で便利な原料なんですね。

出典
*1 石灰石鉱業協会
*2 日本製紙連合会
*3 一般社団法人プラスチック循環利用協会「2020年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」
*4 石油化学鉱業協会「石油化学と合成樹脂」を参考に試算
*5 『わかりやすい紙の知識』(公益財団法人紙の博物館 2014年)
*6 "Fillers for papermaking: A review of their properties, usage practices, and their mechanistic role." BioResources, vol. 11, no. 2, 2016,