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TBMの企業理念体系「TBM Compass」──Mission、Vision、Valuesに込められた想い


TBMは、2020年11月に企業理念体系「TBM Compass」を策定しました。これまでの企業理念を基に、これまで以上にTBMメンバー一人ひとりの判断の拠り所になるように掲げられたものです。 TBM Compass編集チームの羽鳥さんと舟木さんに、企業理念見直しの背景や込められた想いを聞きました。※所属や業務内容は、インタビュー当時(2021年)のものです。

サステナビリティのトッププレイヤーへ──新企業理念体系策定の背景


──はじめに、2020年に新たな企業理念体系を策定することになった理由は何でしょうか?

舟木:新企業理念体系の策定に至った理由は、大きく2つあります。1つ目は、事業領域が拡張してきたタイミングだったことです。2020年は、LIMEXの事業拡大だけではなく、資源循環を促進する「CirculeX」素材の開発や資源循環型モデルの構築、更には EC「ZAIMA」を通じた一般消費者向けのコマース事業を開始するなど、サステナビリティ領域で事業を拡張してきました。それに伴って、改めてコーポレート・アイデンティティを再定義する必要性が高まっていました。

2つ目は、TBMとして大事にしていることが複数の言葉で表現されており、特に大事なことが見えづらくなっていたことです。組織が拡大する中で、一人ひとりの行動レベルに企業理念を落とし込んでいくためには、改めて整理が必要なタイミングではと考え、見直しを含めて、新たな企業理念体系の策定を決めました。

TBM Compassの内容と込められた想い


──ここからは、TBM Compassの内容について聞いていきます。まず、Missionに込められた想いや意味を教えてください。

【Mission】進みたい未来へ、橋を架ける

舟木:Missionは、私たちの使命、宿命を示しています。

何のためにこの会社は存在しているのか?何のためにこの活動をやっているのか?でいうと、「進みたい未来へ、橋を架ける」ために私たちは存在しています。サステナビリティ革命という進みたい未来を自らで創り上げていくんだ、という私たちの「未来意志」が込められています。

──元のMissionは「今までにない笑顔が、人と人を繋ぐ世界をつくる。」でしたが「進みたい未来へ、橋を架ける」に変更された意図は何だったんでしょうか?

羽鳥:元のMissionは、頭の中に言葉としては存在していたものの、なかなか口にする機会がありませんでした。そこで、以前からスローガン的に社内で浸透していた、「進みたい未来へ、橋を架けよう」という言葉が候補に挙がりました。元のMissionに込められていた想いはそのまま残しつつ、口に出しやすい言葉にしようと、いまの言葉になりました。

【Vision】過去を活かして未来を創る。100年後でも持続可能な循環型イノベーション

──続いて、 Visionに込められた想いや意味を教えてください。

舟木:TBMの創業前から、代表の山﨑の中では何よりも組織づくり、人づくりを大事にしたいという考えがありました。このVisionには何百年と挑戦し続けイノベーションを起こし続ける組織、会社になるという強い想いが込められています。

羽鳥:TBM Compassの検討を開始した当初、まず従来のVisionをしっかり理解しようと思い、全体の構造と一つひとつの言葉を噛み砕いて見直しました。一般的に、企業のVisionは「目指す社会像」か「目指す組織像」か「業界で目指すポジション」に分類されます。私たちのVisionは、そのどれにも該当せず、「どういうことだろう?」と悩みながら、いまTBM Compassに掲載されている下の図のように整理しました。「イノベーション」が「目指す社会像」と「目指す組織像」の間をつなぐ結節点であると考えると、ストンと腑に落ちて、これからも使い続けられる強いビジョンだと感じました。

このVision策定当時(2011年頃)は「循環経済」や「持続可能」といった言葉は一般的ではありませんでしたし、山﨑自身もあまり意識していなかったと思います。だからこそ、時代に流されて掲げたものではない、まさにTBMが目指す場所であると確信しました。

【Values】

──5つのValuesそれぞれに込められた想いや意味を聞いていきたいと思います。

Values1 非常識に挑戦しよう 

舟木:このValuesについては「非常識」と「挑戦」、それぞれに込められた想いをお話していきます。Values策定時、一番先に山﨑の口から出てきたのは「挑戦」という言葉でした。「持続可能な循環型イノベーション」を実現するために、挑戦し続ける人が集まり、挑戦し続ける組織でありたいという想いがあったようです。その上で、どう挑戦していくのかを表すのが「非常識」という言葉です。
前提として、常識があった上での非常識さであり、常識とはどんなモノや人に触れたかによって常にアップデートしていくものであると考えています。視座を高めて物事と向き合い、自分の常識をレベルアップしていくことが、非常識さの実現に繋がるのです。

羽鳥:私は、この「非常識」には2つの意味が込められていると思います。
「目標設定」の非常識さと、その目標を達成する「手段」の非常識さです。「サステナビリティ革命」を掲げるTBMでは、社会やビジネスにおける常識を知った上で、「ありえない」と言われるような高い目標を掲げる必要があります。その非常識な目標を達成するには良い意味で非常識な手段が求められます。この2つを満たした挑戦が必要だと考え、このValuesが決まりました。

Values2 両立主義で行こう 

羽鳥:「両立」というキーワードは以前からTBMの中でよく耳にする言葉でした。「エコロジーとエコノミー」「品質とコスト」など一般的には相容れない、トレードオフとして諦めてしまうところを追いかけるのがTBMなのです。Values2のポイントは、「何のために」を両立するために、「どうやって」は目的に照らし合わせて取捨選択するということです。「どうやって」は「思いつくことを全部やる」ではなく、限られたリソースを効果的に活用しなければなりません。

舟木:私は、高い目標がなければ、相容れないものは生まれないのではないかと考えています。Values1にある「非常識な目標」を設定することで、相容れないものが生まれ、両立主義が必要になるんです。

Values3 自分ゴトを拡げよう

舟木:Values3は、自分に与えられたミッションだけでなく、「自分ゴト」の感覚を会社全体にまで拡げて物事を考え、アクションすることを指しています。「自分がTBMを創っている」と思えるレベルでの「自分ゴト」を目指しており、一般的な使われ方よりも求められる範囲が広く、深度が深いのではないでしょうか。
TBMは大企業出身の中途メンバーが比較的多いので、「自分が会社を創っている」という感覚をTBMで初めて持ったメンバーも多いのではないかと思いますが、非常識な挑戦をしているTBMにとっては一人ひとりがオーナーシップを持ち、発揮するのは非常に重要なことです。

羽鳥:私の前職は世界中に数十万人も社員がいるような会社でしたが、自分が会社を創っていると感じたことはありませんでした。TBMでは、これから組織がどんなに拡大しても「自分の会社だ」という感覚をメンバー全員が持てる状態を目指したいですね。

Values4 約束への逆算思考

羽鳥:Values4には約束や目標に対して「何のために」「何を」「いつまでに」を徹底的に考え行動しようという意味が込められています。

舟木:策定時に一番議論が難航したValuesですね。メンバーの中では「誰のために」を冒頭に置いた方が良いのではという意見もありました。顧客視点・思考は間違いなく重要ですが、山﨑としては「誰のために」を先に立てると易きに流れてしまうことがあるため、まずは「何のために」を徹底して考え抜くことが大事であるという想いを持っていました。

羽鳥:「何のために」「いつまでに」を意識して行動した結果として「誰のために」に繋がるという話になりましたね。その後も山﨑含む編集メンバーで何度も議論を重ね、「約束」という誰かがいることを想起できる要素を入れ込み、このValuesが決まりました。

Values5 感謝と謙虚で繋がろう

舟木:最後のValuesである「感謝と謙虚で繋がろう」には、大事にしている「人との向き合い方」が示されています。今のTBMがあるのは、支えてくださっているステークホルダーの方々がいらっしゃるからであるというスタンスはこの先もずっと必要であるという想いから制定しました。

羽鳥:Values5を実践できているかを確かめるための問いにある「どのような相手でも」がポイントで、耳ざわりのよい言葉をかけてくれる人だけでなく、厳しいことを言ってくれる人に対しても謙虚な姿勢で感謝し続けることがTBMでは求められています。

Valuesの順番にもこだわり──策定時のエピソード


──ここからは、TBM Compass策定時のエピソードを聞いていきます。TBMメンバーに知られていない裏話などありますか?

羽鳥:Valuesの順番へのこだわりですかね。
私は「自分ゴトを拡げよう」が最初に来るべきではと思っていました。人はまず物事を自分ゴトと捉えなければチャレンジしようと思えないのではないかと考えていたからです。しかし、山﨑と話す中で、ベンチャーではリソースなどの限界にとらわれずに、「どこまで行きたいのか、どこに旗を立てたいのか」を示す「非常識に挑戦しよう」が最初にあるべき、として今の順番になりました。

舟木:Values1~4は自分たちだけの目線を想起させるのですが、最後の「感謝と謙虚で繋がろう」は自分たち以外の存在も感じられると思います。自分だけでは成し遂げられないことも、社内外の仲間と繋がっているからこそできるんだという想いが込められているのです。そのため、「感謝と謙虚で繋がろう」はValues再考の当初から一番最後にありましたね。

──舟木さんは何か印象に残っていることはありますか?

舟木:山﨑の京都出張に同行した際に、パナソニックの創業者である松下幸之助の資料館へ行ったことは印象に残っています。入社間もない時期だったため、自社理解とTBM Compassを形にする作業を同時進行で進めることに苦戦していました。そこで山﨑から「松下資料館に行って日本を代表する経営者のものの見方や考え方を感じてこい」と言われたんです。

山﨑は、松下幸之助が言う「人をつくる会社」にTBMもしていきたいと話しています。そこで、急遽でしたが松下資料館へ行き、松下幸之助がどんな想いで人と向き合い、会社づくりをしていたのかを知り、自分の視野や感覚の広がりを感じました。あの時間があったからこそ、"TBMらしい"言葉を自信を持って紡げるようになっていきました。

羽鳥:TBM Compassを「代表の山﨑が決めたもの」ではなく、「自分たちが目指すもの」にするためにも、編集メンバーがより深くTBMを理解し、向き合うことが求められていましたね。

一人ひとりの判断の拠り所に──TBM Compassの位置づけ


──TBM Compassは、社内での位置づけ及び、活用方法を教えてください。

舟木:一人ひとりのメンバーにとっては、迷ったとき、困ったときの判断の拠り所、羅針盤として活用してもらいたいです。箸の上げ下ろし的なルールではなく、日々の業務の中で時々立ち返って振り返られるものにしたいという思いを込めて編集をしていました。

羽鳥:これから更に事業を拡大していくTBMには多様な人材が集うと思います。そうして組織が拡大していく中であっても、向かうべき方向やTBMらしさを見失わず強い組織であり続けるために、TBM Compassには求心力であり続けてほしいと思っています。

──私たち一人ひとり、そして組織全体にとっても欠かせない存在ですね!これからTBM Compassをどのように社内で浸透させていくのでしょうか?

舟木:人事評価の行動評価項目をValuesと同期させたり、上司との1on1の場面でもValuesに紐づけて振り返りをしてもらったりしています。ただ、浸透度としてはまだまだ足りないと思っています。

羽鳥:そうですね、とにかくもっと浸透させていきたいです。毎年実施している、組織について語り合うイベント「TBM CAMP」では全社でTBM Compassを起点に組織を振り返る予定です。

舟木:TBMとして大切にしたいスタンスを伝え続け、中途、新卒関係なく、TBM Compassを自分のストーリーとして語れる人を増やしていきたいと思っています。

──ありがとうございます!