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MYPの学年末評価のはなし

MYPの評価基準

「7?8?」
「これって、なんの教科?「国語」のこと?」
国際バカロレア(IB)での評価を受け取った時の保護者の間でよくある会話です。
IBでは日本の文科省基準のような「国語」「社会」「英語」といった教科名はないし、評価も学年末の最終評価は7段階。下表で言えば、左端がいわゆる教科のことで、それぞれA~Dまで評価基準があり、それぞれが7段階で、最後に教科全体で7段階の評価がつけられます。
学期中の各教科の評価(総括的評価・形成的評価)は8段階。それもそれぞれにおいて「ストランド」と呼ばれる評価基準が細かく決まっていて、それも8段階。
こうしてみると、日本の5段階もしくは3段階に慣れてきている保護者世代には、正直複雑怪奇な3D的な評価制度。
ですので小学校まで成績優秀でオール5(3段階評価であればオール3)だったようなお子さんがMYPとかに入ると、「3しかとれてない」「クラス内の順位がわからない」と、不安になるようです。

MYP評価基準(出典:『MYP:原則から実践へ』p.94)


我が家の場合

当初は面食らっていた我が家でしたが、今は慣れてしまいました。
そして、今はこの評価表の方が楽しいです。
なぜなら、こちらの方が圧倒的に話すことが多いから。

息子(中2)の場合は、3月に評価表(通知表)を持って帰ってきた時、こちらから頼みもしないのに「Accountabilityが求められるので…」と、それぞれの教科の評定について自身の見解を述べました。

「数学についてAの知識と理解はずいぶん向上したけれど、実生活の応用が弱くて。これはレポートのこの部分が甘かったからだと思う。」
「MYPプロジェクトはむっちゃ力を入れた。特に振り返りをしっかりやったからいい成績になったよね」
「理科は自然と伸びたんだよね…物理に興味がわいてきたからかな。」
「言語と文学…つまり国語がなぁ…分析ができないんだよね。これはちょっとなんとかしないと」

「来年もこのまま数学と理科をもっと伸ばしたい」と、進級後の抱負もついて、学年末の振り返りは終わり。
こんな風に本人から成績の説明を今節丁寧に聞くことは想像もしてなかったのでとても嬉しく、そして10教科×4評価項目=40のトピックから生まれる話し合いテーマの豊富さに、MYPの良さをあらためて感じました。

他者との比較ではなく、自身の成長を見る

ちなみに昨年とは何がどのくらい変わったんだっけ?と昨年のものを引っ張り出してきてみてみると、どの教科のどこが上がったのか下がったのかがよくわかる。それを本人と一緒に見てみて、あらためて我が子の成長を理解することができるという良さがあることを実感。

入学後1年目の2学期の保護者会で「評価は7段階中4でも5でもそれが悪いということではなく、その子自身が何ができて何ができてないのか、ということがわかるようになっています」という先生からの説明がやっと腑に落ちが気がしました。

他者と比較しての評定ではないんですよね。
IBの一番気に入っているところです。