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MYPの重要性

国際バカロレア(IB)というと、海外大学へ行くための資格と見られがちで、つまりはDP(Diploma Program)がとれないと意味がないと思われがちだ。実際に私もそう思っていた。だが世間にはIBの精神を取り入れながら、DPコースのない学校もある。そういう学校ではMYP(Middle Years Program)って何の意味があるのだろうか。

先月、IBに関する保護者勉強会で、この疑問に対する答えが見つかった気がした。坪谷ニュウェル先生による講演会で、先生ははっきりと「MYPこそ重要なのだ」と言い切っていた。

MYPこそ、探究を通して自分の志向や興味ある分野を発見し深堀りできるという。DPになると大学入試が視野に入ってくることから、かなりいわゆる「受験勉強」に近くなる。MYPなどで自身の志向をきちんと掘り下げずにいきなりDPに進むと、自分の興味と関係なく、科目選択は高得点を狙えそうか否かで決めるような本末転倒のことが起こると。
「自分の進みたい方向がわかり、そのためにはこの教育機関に進む必要があり、そこに入るためにはこの勉強が必要なのだ」という、内発的な動機からくるDPならば、どんなに苦しくても乗り越えられるという。だから、DPの前にMYP課程で学ぶことはとても重要なのだという話だった。

それは、講演会で挙げられた数々のIB生の進路の事例、単なる大学名ではなく、何を学びたいからその大学を選んだのかの話を聞くとうなづけた。
進路に関する三者面談時に自分の志望について説得するためにプレゼンテーションを用意した生徒。
国立上位大学を狙える実力があったのに、特別なプログラミング技術を学ぶために台湾の大学へ進学した生徒。

実際のところ、MYP最終年の次女のPersonal Projectの話を聞いていると、確かに、入学時には思いもよらなかったような課題に関心を持ち、進路もそれを基準に考えようとしている。自分に関心のある事項だから、勉強させられてる感がなく前向きなのがよい。

IB=DPではない。
IBにMYPがある意義を知って、なるほど、IBはよくできていると感心した。
そしてやっぱり、頭が柔らかく、思考力がぐっと伸びるこの年代で、自分の興味あるテーマをじっくり探究するということが、その後の人生において大事なのだとわかった。

こうなるとますます、大学入試のための勉強で時間を費やすのがもったいなく見えてくる。