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ミャンマーの乾杯の話

ほとんどの人にとって、ミャンマーにいったい何があるというんですか、って感じだろうけど、ミャンマーの乾杯の話をしたい。

30度を超える暑さが毎日続き、1年の最も暑い時期には40度にもなるミャンマーのヤンゴンは、本当に暑くて湿度が高くて、朝起きたら冷蔵庫を開けてビールが飲みたくなるような暑さだ。

学校に通っていたとき、遅刻して午前中の授業に間に合わなくなってしまい、学校に行く道すがらにあるビール屋(開放的なスペースに机が並ぶ生ビールを出すスタイルの店)に入ってビールを飲んでそのまま家に帰ったことがある。

ミャンマーで人気のビールと言えば、断然ミャンマービールで、緑のパッケージに金色の伝説の鳥があしらわれたデザインは、全国で人気を博している。クセがなくて飲みやすく、世界でも評価の高いビールだ。ミャンマービール自体は随分前からあったのだが、ミャンマーの民政移管後、ミャンマービールを製造しているのは日本のKIRINで、ミャンマーでは麒麟一番搾りが「イチバン」として売られている。

最近はオシャレなお店も増えていて、ルーフトップバーで、ミャンマー最大の仏塔であるシュエダゴンパゴダが金色にライトアップされる眺めながらお酒を楽しむこともでき、外国人には人気のスポットとなっている。

でもそんなオシャレなお店ではなくて、どこにでもあるようなミャンマーの普通のビール屋で、のんびりとビールを飲んでいるミャンマー人を見ているのが楽しい。よく観察していると酒のつまみにお茶を食べている人がとても多いことに気づく。ん?ビールとお茶?

ミャンマーでは伝統的に、お茶の葉を発酵させて油であえたものを食べる習慣があり、接客用のお茶請けにもおかずにも酒の肴にもなるという優秀な一品だ。揚げた豆やニンニク、ゴマ、干しエビ、トウガラシ、青いトマトやコーンと合わせて食べる。お店では一皿100円ほど。これで何時間でも座って酒を飲み続ける。

酒をのむと言えば、ビール党はビールを飲み続けるが、イギリス植民地だった影響か、ビールより安価に飲めるからか、ミャンマーではウイスキーが主流で、3人もいればウイスキーのボトル1本空くのは当たり前。ほとんどの人が氷を入れた水割りで飲んでいる。寒い国では強いお酒がのたくさん飲まれるというのを聞いたことがあるけども、寒くなくても関係ないみたいだ。ボトル一本500円しない国産のウィスキーと氷を注文し、会話に花を咲かせながら、はたまた無言でスマホのゲームをしながら夜が耽るまで飲む。

そして南国独特のお酒がヤシ酒だ。ヤンゴン郊外に出ると店とも呼べないようなヤシの葉で葺いた小屋に、仲間と輪になって座って、音楽をかけながらヤシ酒を飲む人たちの姿が見られる。ヤシ酒は高いヤシの木にはしごをかけて集められる。常温でなまぬるくて酸味があって決して飲みやすいとは言えないが、カルピスを飲んでるようななんだか穏やかな気持ちになるのは不思議だ。


週末になればいつもの仲間と郊外まで行ってゆっくりと酒を飲む。週末が待ち遠しくて仕方がない。

今週もまた週末が来た。ピクニックの準備をする。

よく冷えたミャンマービールをクーラーボックスに詰めて、バックには赤ワイン、飲みかけのウイスキーのボトル、カリフラワーとミニトマトのピクルス、チーズ、サラミ、干したヤギ肉と玉ねぎのサラダを入れ、レジャーシート、ワイヤレススピーカー、ワインオープナー、ワクワクする気持ちも一緒に詰め込み郊外へと出発する。

灼熱の日差しの下、木陰を見つけて仲間と座り、生暖かい風を受けながらゆったりと酒を飲む休日は最高に至福のひと時。そんな日が戻ってくることを密かに心待ちにしている。

#ここで飲むしあわせ

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