もし世界が40人の村で、通貨がリングプルだったら
僕が小学4年生のとき、クラスの通貨がリングプルでした。
元から「リングプルを集めて車椅子を作りましょう」っていう活動があって、リングプルを集める文化のようなものはあったのだけど、いつの間にかクラスの中で通貨としての役割を果たすようになっていました。
鉛筆や消しゴムの貸し借り、ちょっとしたお礼なんかにリングプルを対価に支払っていて。そこにあった感情は儲け、というよりかは大人への憧れのようなピュアなものだったんじゃないかと思います。
そんなリングプルがクラスの主要通貨になった一大要因
クラスのしゅんすけくんが遊戯王カードをもじってしゅんぎおうカードなるものを手書きでせっせと書いて発売したことがきっかけでした。瞬く間にクラスの男子に大流行することに。
初めは仲のいい周りの子に配っていたのだと思うけれど、段々と参加人口が増えて、1パック5枚・リングプル5個で発売されるようになりました。
しゅんすけくんが一定量書くことができたら、休み時間に「しゅんぎおうカード発売するよー!」なんつって皆せっせと列をなして並ぶ訳です。
ひとりで書き続けてたら間に合わないペースで流行っているもんだから、ゆうすけくんやこうじくん等の協力者が現れるようになりました。(彼らは裏でリングプルもらってたのでしょうか?)
一方僕はというと
友達と一緒にしゅんぎおうカードでも遊んでいたけれど、自分でもカードを作り始めていました。
自分でやっておいて名前は忘れてしまいましたが、当時存在したカードヒーローというカードゲームをもじったものでした。
A4の紙一枚を切って16等分したサイズ。小さい枠にせっせとキャラクターを描いていました。オリジナルのキャラクターなんかも描いたりして。マックマンとかボックマンとか、今思うと意味がわからない個性あふれるキャラクターを小さい枠の中に踊らせていました。
しゅんぎおうカードに比べれば、プレイしてくれる人口は少なかったけれど、何人かはよく遊んでいてくれたからそれがモチベーションになって、夜せっせと机で描いていたのをよく覚えています。
ちなみに金のリングプル1個で銀のリングプル5個分の価値があります。面白いくらいに絶妙なバランスで供給されていて、どこか500円玉のような硬貨の役割を果たしていました。ブランドはわからないけれど、きっと金麦の好きなどこかのお父さんのおかげであります。
終わりはある日突然に
リングプルの流通が増えていくにつれ、だんだんとリングプルの価値がインフレしていって、1パック10個とか、スペシャルパックは30個とかになっていたと思います。
そこら中にリングプルがあるもんだから、先生も目を配らせるようになり始めました。冬、ついに朝の会で「貸し賭けとかがあったら、あんまり良くないから、回収します」と鶴の一声でクラス中のリングプルを回収されました。
クラス中から集められたリングプルは、大きなポリ袋がパンッパンになるほどでした。
当然クラスで一番のリングプル持ちはしゅんすけくん、ナンバー2は手伝いをしていたこうじくん。
僕もカードヒーローのおかげでそこそこリングプル持ちになれていて、2Lペットボトルを複数本持っていたから、3番目くらいにはなれていたと思います。
自分の家からリングプルを持っていった自己資本はせいぜい500mLペットボトル1本分くらいだったから、ずいぶん稼いだものです。
リングプルの多い少ないで差別があるわけでも貧富の差があるわけでもない。
多く持っているからって偉いとか、そんな世界では全くなかったんだけど、ある意味人生で一番経済的に豊かだったのであの時に戻りたいと悔やまれます。
なんでこんなこと思い出したのでしょうか。きっと、夢中でカードを描いていたときの感覚が、今noteを書いている感覚に近いものがあるからかもしれません。
日常で興味の無いことをたくさんやらなきゃいけない日々の中で、創作して発信する時間をつくるって、いいもんだなって思ってます。
いつか、カードヒーロー復刻してくれないかな。
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