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妄想昭和歌謡 こ 「恋人試験」松本ちえこ

昭和51年 歌 松本ちえこ 作詞 伊藤アキラ 作曲 あかのたちお

1️⃣ 松本ちえこにおいて一番可愛いところはどこか。次のから一つ選んで丸をつけよ。 
 ① 耳
 ② 唇
 ③ 小さな瞳
 ④ 胸 
 ⑤ 首すじ
 ⑥ 丸い鼻

2️⃣ 松本ちえこと一緒に行きたいところはどこか。一つ選んでその理由を述べよ。
 ①  山
 ② 湖
 ③ 田舎の牧場
 ④ 広場 
 ⑤ スナック
 ⑥ 夜更のディスコ



3️⃣ 松本ちえこの一番好きな言葉は何か。次から一つ選んで丸をつけよ。
 ① 夢
 ② 思い出
 ③ 明日の希望
 ④ 愛
 ⑤ ふるさと
 ⑥ 孤独の時間

4️⃣松本ちえこが現在やりたいことは何か。一つ選んでその理由を述べよ。
 ① 歌
 ② 居眠り
 ③ 二人のテニス
 ④ お茶
 ⑤ 生け花
 ⑥ お酒を少々



どうもこのテストを解かなくてはならないらしい。そして0点は論外として100点取っても合格にはならない。わざと外して65点で合格という相当に難しい試験だ。そしてもちろんだが正答の見当さえつかない。
いくら親しみやすい路線でもアイドルだからそれぞれ⑥は間違いのように思うが、わざと外すなら“一番かわいいところは まあるいお鼻“と答えて「もう、気にしてるんだからっ!フーンだ!」とむくれて見せてイチャイチャするのが昭和的には正解かもしれない。

松本ちえこは資生堂バスボンシャンプーのCMでブレイクした。

まんまる顔の女の子はいい妻になれるって
私ってなれそう ね バスボン

太い脚の女の子は強い母になれるって
私ってなれそう ね バスボン

この歌詞はイメージガールが松本ちえこだと決まってから作られたのか?
それともこの歌のイメージにピッタリの人を選んだ結果松本ちえこが選ばれたのか?
ただマッチしていたのは事実だ。
写真を見ても本当に脚が太い訳でもアンパンマンみたいな丸い顔という訳ではないが、モデル風体型でもシャープな顔でもなく、親しみやすいほどよさで、「脚太い」レベルのことは言えそうなな愛嬌がある。
CMソングの作詞は糸井重里だと知った。

人気が出てすぐ出たこの「恋人試験」は、歌い出しの2小節くらいがほぼバスボンのCMの歌と同じで、歌詞は違うという不思議な感じ。でもすぐに流行ったように思う。
ファン層の学生に馴染みのある試験問題風にしているところが、高校生らしくて愛らしい。

松本ちえこに関してちょっとだけ不思議な気がしたけれど、CMや歌でよく出ていた頃私は小学生から中学生にかけてだったので、何が不思議なのかよくわかっていなかった。
かなり後になって上岡龍太郎さんが彼女の話題で
「会ったことないけど何とも言えず色っぽい子」
と言っていて、ああこれだ、と思った。

女性用シャンプーのCMにしては、男の子が目を😍にするのが目的みたいなのだ。
そういう色っぽさを理解できない思春期前期の女子にとっては、かわいくて好きではあるけれど、ちょっと置いてけぼり気分を味わう。
等身大っぽい女の子一人に複数の大きな男性達が憧れてかしずいているのはうらやましい気もするけれど、何がそうまでこの子を魅力的にさせているのかの説得力が多分理解できなかったと思う。
それが俗に言う「美人じゃないけど妙に色気がある」というやつだったなんて、想像もできなかった。
同じ年頃のアイドルとしては岡田奈々や木之内みどりもいて、そちらの魅力は「とてもキレイである」とか「とても魅力的だ」と誰にでもわかりやすい。
松本ちえこも十分に可愛くはあるが、画面で「太い脚の女の子」とか歌われても「こうなりたい」「買いたい 使いたい」にダイレクトにつながらない。
シャンプーの機能を謳って「キレイな髪になりたい」ならわかりやすく欲求をかき立てられるが、「男の人にちやほやされてる設定の人が宣伝しているから、このシャンプーが欲しい」となるには、昭和の、特にまだ年若い少女達には難しかった。

あれから50年近くが経っているが、私としてはその「妙に色気がある」というのがいまだにわかっているとは言いがたい。
でもそういうのがあるんだというのは経験上わかる。

案の定この「恋人試験」に続いて「恋人願書」「ぼく」「ハイ!授業中」とヒットを出し、そのファンは圧倒的に男の子だったように思う。
「ぼく」なんて周りに一人くらい一人称が“ぼく”の女の子が出てきた時期だから(令和にもいるけど)、結構口ずさんでる女子もいたけど、“ぼく”の最終的な夢が「いいお嫁さんになりたい」なので当時の私はちょっと引いていた。そっち系には自信のない女子だったのだ。
バスボンCMからして冗談めかしながらも「いい妻になれる」「強い母になれる」が押し出されているから、当時の「手の届かない美人でなくてもなんかそそられる女の子に将来の妻や母を期待する」という男子の憧れを突いていたのかもしれない。

今調べていてわかったことがある。
バスボンCMより1、2年前の昭和49年、やはり資生堂のシャンプーのCMに出ていたのだ。だから続投だったのだ。バスボンは。
記憶の中に
1 2 3 4 5 6 7 8 クリア (ジャバーン)  シャンプーしーましょ
というCMがあった。この (ジャバーン) のところで確か女の子がお風呂から急に上がるとか何かの展開があって、ヌードが見えてしまうのではというギリギリのところで消える?隠される?みたいな状況があった気がする。ハッキリとは覚えていないし、みたい?から具体的なシーンが思い出せないが、ハラハラしたしお姉さんがテレビでこんなのやるんだと結構衝撃受けた。一人でお風呂に入る時 「1 2 3 4…」を真似したようなうっすらした記憶があるのだ。
これに出ていたのが中学生の頃の松本ちえこらしい。
これがバスボン前。

そして昭和54年にはヌードグラビアを発表し、”アイドルがヌードによって過去のイメージから脱却して新たなステージへと進む“という手法の第一弾となったと”ある。(Wikipediaより)
これがバスボン後。

そうか
アイドルがその後ヌードになるってたくさんケースあると思っていたけれど、先駆者だったんだ。

バスボン前も後も、やっぱり本人が意図してなくとも滲み出る 色気 = 性的な目 がついてまわっていたのかな?

昔の鍵穴みたいな形のシャンプーボトルを持って昭和の男の子の目を❤️❤️にした女性は、まだ60歳になったばかりで4年前に亡くなってしまった。

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