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『プラント×Web』私の強み

こんにちは!2024年4月からLiLzにジョインしたテクニカルカスタマーサクセスの小堀です!
LiLzを知ってからまだ半年も経っていないとは思えないほど、とても充実した毎日を過ごしています。
半ば何かに導かれるように出会ったLiLz、当時の思いを振り返りながらお話ししたいと思います!

自己紹介

石川県出身の山好きです!最近は夏の山開きが待ち遠しく、アルプスに行きたくてうずうずしています。美味しいものも大好きで、自分でもよく作ります。趣味が高じてなぜかイベント出店したりお店とコラボしたりしていました。

初夏の立山
スパイスカレー三昧

手先が器用な方で細かい作業が好きなのですが、最近になって知った我が家のルーツ、曾祖父がなんと宮大工でした。ちなみに父と祖父は建築士で、幼い頃の落書き帳は図面の裏紙という建築家系で育っています。今思えばなぜその道に行かなかったのだろうか…笑

そんな私のこれまでのキャリアを大きな括りで分けると、『プラントエンジニア&Webエンジニア』の2つのキャリアがあります。

1st:プラントエンジニア

大学・大学院では物理(光物性)を専攻していたのですが、幼いころから自分の手で何かを生み出す喜びを体感していたので、何かしらモノづくりに関わる仕事がしたいと思い、新卒で入社した企業は一般廃棄物処理場の設計・施工・メンテナンスを手掛けているプラントエンジニアリング企業でした。
所謂、一般家庭から回収されたごみを処理する地方自治体向けのごみ処理場を作っている会社で、私はプラント設計を担当していました。

見積設計(基本設計)を担当する部署にて、主に機械・電気・配管・設備に関する仕様の選定や機器容量計算、用役収支といったランニングコストの計算、フローシートなどを作成し、全体の取りまとめなどをやっていました。当時は非常に生産性が低かったので、入札前はいつも深夜にタクシーで帰宅…早く帰りたい(無駄な作業をしたくない)一心であらゆる仕事を巻き取って効率化していったせいか、今度は受注し過ぎて人が足りず、実施設計(詳細設計)まで担当することになりました。

結果的にこれはとても良い経験になりました。実際にモノが出来上がるまでに3年もかかるほど工程が多いのですが、設計通り上手くいった時には何にも代えがたい達成感があります。幸い私は人に恵まれ、諸先輩方から教え込まれた知識やノウハウ、製図技法に至るまで細かく指導していただき、性能試験の度に現場に連れて行ってもらい、貴重な経験を積ませてもらえました。

中小企業なのを良いことに、おざなりになっていることは変えたい放題でした(笑)システムや電気設計の方と共謀協力して使用している計器類の計装記号を取りまとめ、P&ID(配管系統図)の社内基準を作成したり、実施設計で担当した灰出し設備の換気設計の見直しを図り、後に社内標準になったりもしました。プラントエンジニアの時は使命感のようなものに突き動かされて設計基準ばかり作っていました。

2nd:Webエンジニア

プラントエンジニアとして5年という月日を経て、政令指定都市の大型案件の受注が決まり、いよいよメインの炉周りの設計担当!というところで、私は人生の岐路に立ちました。30歳目前、皆さん一度は自分の今後のキャリアを考える頃ではないでしょうか。

見積設計を担当して受注できたプロジェクトなのでこのまま続けるかどうかとても悩みました。
プラントエンジニアとしてキャリアを全うするなら、メインの機械を担当できる&大規模プロジェクトの経験が積める、良いこと尽くめです。でも当時の私は、プラント設計の仕事に魅力を感じていた半面、窮屈にも感じていました。大きな仕事であればあるほど、関わる人・モノが多く、個人の力ではどうにもならないことも多く経験しており、それがフラストレーションになっていました。

もっと少人数で、何なら個人の力だけでもできる仕事はないかと考えていたところ、Webエンジニアに興味を持ちました。インターネットとパソコン1つあればできることは無限大で(人による🙃)、当時はとても夢のある仕事だなと結構な衝撃を受けました。
ハードありき現場ありきのプラント設計と違い、場所に縛られずに働けるのもとても魅力に感じました。

散々悩んだ挙句、当時本当によく面倒を見ていただいた先輩にも背中を押され、新しい一歩を踏み出すことにしました!奨学金の返済もあるのにいきなり無職です!笑

それから半年間、職業訓練でWebプログラミングを学びつつ、資格取得&職探し、万一決まらなかった場合は留学も視野に入れ、カナダのワーホリビザを取得し、現地の留学サポートの方とも連絡を取って計画を練っていたところ、人手不足のIT業界、拍子抜けするほどあっさり決まりました。

東京のシステム開発ベンチャーの金沢支店初採用!入社早々たった一人で事務所に勤務するという稀有な経験をしました。最初に担当したiOSアプリのプロジェクトではPM、設計、開発、テスト、保守と一連の業務を経験し、その後は開発の傍ら、飛び込み営業から企画提案書の作成、新事業のサポートや採用など、出来る出来ない以前にやらなければならず、何でもやっていました。あっという間に時間が過ぎ、気づけば独立していました。フリーランスとしてシステムベンダーのプロジェクトを担当しつつ、受託案件などをこなしていましたが、ある時ふと気づきました。これは全然自由じゃないと(笑)

会社近くの地元食材を味わえる破格の回転寿司。ベンチャー時代に社長やLABのみんなと通い詰める。
退職後になぜかホテルでスパイスカレー教室を開催し、中国のメディアで恥ずかしげもなく振袖を着て新年の挨拶をかます。

LiLzとの出会い

フリーランスといっても自由に働いている社員のような扱いで、平日はチームの勤務時間(プロジェクトが立て込むと段々と後ろに倒れる)+協力会社の営業時間に左右され、時間がズレていると朝から晩まで問い合わせがあり、土日はデザイン事務所や個人経営の方からの問い合わせに対応して…なんてやっていると流石に自分の時間がなく、このままでは体が持たないと思い業務を減らしつつ、次なる働き方を模索し始めました。コロナ禍を経てリモートワークを取り入れている企業が多く、会社員でも働き方の自由度が格段に上がっていて、良い時代になったなぁと働き方一つ取っても個人事業主でいるメリットを全く感じられなくなっていました。会社員として働くにはどういった軸で探そうか、これまでのキャリアの棚卸をしている中で出てきたキーとなるものは「プラント×Web」の掛け合わせでした。
元々プラントエンジニアを辞めてIT業界に転身する際にキャリアがリセットされるという考えはあまりなく、成長の著しいIT業界、私の経験はきっと将来プラント業界とのインターフェースとして役に立てるのではないかという漠然とした思いがありました。

私の強みである「プラント×Web」の特殊なキャリアを活かせる仕事がないかと探し始めたところ、プラント設計(永遠の人手不足)やWebシステムのPM/SE、ITコンサルなどの求人が多い中、登録だけしてほとんど見ていなかったエージェントからLiLzを紹介いただきました(すみません!)。
プラントや環境系の社内SEの方向で固まりつつあった気持ちが大きく揺らぎました。スタートアップでプラント向けの自社プロダクトを開発していて、フルリモート&フルフレックス、ポジションはテクニカルカスタマーサクセス(ナニソレ!?)…ポジションは初見でしたが、求人情報の端から端までこれ以上ないくらい希望と経験にマッチしていて、しかも20%ルールに副業OK、海外展開までも…!
紹介いただいた時は本当にこんな企業&ポジションがあるのかと、慌てて連絡を取ったことを覚えています。

ただその時は、プラント繋がりでCADアプリの基盤構築のプロジェクトを受けてしまっていたのですぐに応募することは難しく、2か月ほど経過してやはりLiLzに応募したい!と思い、書類を送ったのが2月上旬、それからCFOの高木さんから始まり、怒涛の面接ラッシュで決まったのが3月1日(in沖縄)。そして4月から働いています!笑
瞬きしている間に働き始めたと思うほど入社までがあっという間で、半ば運命に導かれるようにLiLzに辿り着いたような気持ちです。頂いたオファーレターのメッセージにLiLzのチームで働くことが「きっと楽しい旅になると思います」と書かれており、あぁすごく素敵な表現だな、私も一緒に旅をしたいなと強く思ったのを覚えています。

テクニカルカスタマーサクセスの業務は、社内の業務効率化やLiLzのサービスを利用いただいているユーザーのサポート、APIを利用した外部サービスとの連携など、営業やエンジニア、パートナーやベンダーの方々とコミュニケーションを取って進めていく守りのカスタマーサクセスです。
やらなければならない業務が山積みで、問い合わせが多い時は集中しすぎて息をするのも忘れそうになりますが、日々学びながら楽しく働いています。

LiLzに入って感じていることは、面接でも伺っていましたがみんな本当に良い人!そして個々人が会社のミッションを実現するために同じ方向を向いて真摯に取り組んでいるそんな組織だと思っています。リモートワークなのでまだ会えていない社員の方もいるので、これから会えるのが楽しみです。

琉球大学の食堂でランチ! - キャンパスはジャングルでした(笑)

おまけ話

そもそもプラントってどうやってできるの?と思っている方も多いのではないでしょうか。最後のコラムとして実際にプラントエンジニアがどのように考え、設計していくのかについて、せっかくなので最後に紹介したいと思います。興味のある方はぜひ!

世の中には様々なプラントがありますが、ごみ処理場は環境プラントに該当します。規模によっては発電設備もあるので、発電プラントや化学、セメント、非鉄金属系の廃熱回収のプラントとも類似している設備もあるかと思います。ごみの熱量を利用して発電するのでエネルギープラントと呼んだりもします。
廃棄物処理場の目的は適切にごみを処理することなので、地方自治体から公表される要求水準書と呼ばれる分厚い資料に記載されているOUTPUT(焼却残さや排ガス、排水、熱回収率など)の条件を満たすべく、INPUTであるごみの処理量や成分の割合、可燃分の元素組成、熱量(caℓ)から燃焼計算と呼ばれる化学反応式を元に、燃焼反応に用いる空気の量や温度、有害物質を除去するための薬品の量や冷却水の噴霧量などを決定していきます。
燃焼計算の結果を基に機械のスペック(搬送量や容量など)を計算し、ランニングコストを弾くための用役収支(水、燃料、薬品、電力など)を計算します。
これらが終わってようやく仕様書に落とし込んでいけるわけですが、条件に沿った機器配置図や計装フローシート、車両の動線計画や啓発設備・見学者通路などの建築図面の作成も必要です。他にもかしの範囲や法令等検討すべきことは多々ありますが、入札前の見積設計ではこのような作業を何度か行い最終入札に参加します。

入札を経て受注したプロジェクトの詳細設計は実施設計と呼ばれます。見積設計の計算根拠を基に具体的な仕様を詰めていきますが、大まかに内製品の製図それに伴う配置図の見直し、断熱計算や構造計算、他設備(配管や電気、建築)との取り合いやシステムフローの検討、購入品や各種工事(鉄鋼・塗装・保温工事等)の見積、品質検査、試運転、性能試験になります。
客先や製作工場、現場にも足を運んで自分の設計した機械一式、据付や動作に問題がないか、引き渡してから設計のかしの期間までトラブルがあれば面倒を見ます。見積設計以上に、現場の施工担当や運転員、製作工場、他部署とのコミュニケーションが大事な仕事です。
毎回フルオーダーメードになるので、ある程度流用はできても同じ機械はありません。そして設計する度に何かしらアップデートしています。内製品にしろ購入品にしろ設計の意図を注ぎ込みます。私は本当に細かいのでさぞ鬱陶しかったことでしょう!(笑)ただ、納品後のトラブルが全くと言ってなかったので、いつもはここまで言われない!とブツクサ言っていた長い付き合いの協力会社のおじいちゃんから最終的に感謝されたのは良い思い出です。

私は見積設計を担当しながら実施設計の経験も積むことができ、もちろんすべてではありませんが、今LiLzのサービスで測定しているような設備や計器についての知見があります。特に計装機器に関しては、P&IDをまとめた経験から、図面を見ればどこにどんな計器が設置されてどのように制御されているかが分かるので、現場に行って見せてもらえる機会があれば嬉しい限りです。
カメラの設置治具などについても、プラント設計の経験を活かしてアドバイスしていければと思っています!何かお困りごとがあればお気軽にご相談ください!

焼き(LiLz式BBQ)中の熱分布 - It's HOT and COOL!