介護で思ったこと② 年齢が病気
晩年父親の通院付き添いで診察に何度も同席した。
大学病院で複数の診療科にお世話になっていて、
色んな科の専門医と話す機会があった。
長年お世話になっているある科の医師は
人間味のある、そしてさっぱりとした性格の中年男性。
付き添いが母から私に変わった初めての診察の時は
『あれ〜、奥さんどうしたの?具合悪いの?」
と心配してくれた。
彼とは父も相性がよく、楽しそうに話していた。
そして
「年齢の割には元気」と言われていた。
でもある時彼は、現状維持だけで基礎疾患の
根本的治癒が望めないことに不安を感じる父に
明るく言った。
「〇〇さん、
男性の平均寿命をはるかに超えているよ。
それにその年齢がもはや病気だからね」
命を落とすことになる病気が発症するのは
そのずっと後。
それでもあなたの体を劇的に治す術は
現代医療にはないです、
と高度最先端治療をする大学病院の医師から
高らかに宣言されたわけです。
私は聞いて驚きました。
同時に老親の晩年に寄り添い過ごすのに大切な
心づもりを教えられた気がした。
父はどう感じたでしょうか?
あなたはもう充分生きたでしょう?
それだけ生きたら残された時間は短くてもいいじゃない、
とはっきり言われたにも等しい。
不老不死の薬も医療も未だかつて見つかっておらず、尤もなこと。
でも親しくない医師から言われたら、激怒していたと思う。
「患者を治せなくて、それでも医者か〜」ってね。
最近読んだ本「Scale」でも引用されていたSteve Jobsの言葉です。
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