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介護で思ったこと⑥ 辿りつく

在宅緩和診療をお願いする医師、診療所を
自分達で決める。

とても難しく辛い課題。

その医療サービスを受けることになる
当事者である父は入院中。
この決定には彼の希望は反映されない。

それまでの人生、他人任せには決してせず、
大切なことは自分自身で決めてきた父。
多分人生最後になるかもしれない選択を
家族とはいえ私たちがするのです。

責任重大で荷が重かった。

△ 訪問診療医を見つけてと言われても

病院からは、

「急性期の症状が落ち着き、
自宅での受け入れ準備完了となれば、
退院できますので、
手配よろしくお願いします」

と伝えられ、家族は彼の意に沿うような、そして
緩和ケアもしてくれる良い医療機関探しを始めた。
でもそれは簡単なことではなかったのだ。

△ あなたそれでも主治医なのと言いかけた

まずはもう何十年ものおつきあいのある
家庭医に相談。

彼(医者)が言うには

「通院できるのであればもちろん診るし、
必要な時は往診もする。
ただ在宅診療はしない、できない。
おすすめの訪問診療医もない。
ご自分で決めてください。
必要ならば医療情報提供書をお出しします」

なんて冷たい医者なんだとその時は正直思い、
腹も立ち、そしてますます混乱した。

△ 幾つになっても学び、迷う

ただそれは何歳になっても知らないことは沢山あり
その点に関して私が無知、無理解だっただけのこと。

彼の拒否は、
無責任な放棄ではなく、
責任のある拒否だった


「訪問診療科」を標榜している医療機関で
受けるべき医療サービスなのだと
その後すぐ学びました。

  1. 心構え、今後起こりうることの対処法

  2. 在宅緩和ケア対応OKに医療機関の一覧

  3. 訪問看護ステーションの一覧

大切な情報満載の小冊子を病院の
医療連携室でかなり早い時期にもらい
家で何度も何度も目を通した。

リスト記載の診療所のHPを
片っ端から覗いてみても、
わからない、決められない。
電話をかける勇気も起きなかった。

△  迷い路を彷徨って、辿り着けた

どうしてそれまで思いつかなかったのか。

弱っている父の話を外でしたくない気持ちが
無意識下にあったのか、
助けを求めてもいいとの発想をもてなかったのか。

その小冊子の初めの方のページに紹介されていた
区役所の在宅医療相談窓口に相談すべき
悩みを今私は抱えているのだ、と気づいた。

すぐに区役所庁舎の上の階にある相談窓口に
直接出向いたのです。

福祉コーディネーターの担当者さんに
ゆくゆくは緩和ケアが必要になる
後期高齢者を診てくれる訪問診療医を
見つけられなくて困っている、と
話した。

彼女は静かにメモをとりながら私の
訴えのような話をしばし聞いてくれ

「わかりました。
お父様の病状に対応できそうな診療所が
数箇所あります。
(個人情報の取り扱いについての
承諾をしました)
こちらから問い合わせて、対応可と
お返事をくれた診療所をお知らせします。
少しお日にちいただきますが宜しいですか?」

と提案してくれた。

ようやく父希望の在宅療養の
端緒につけたと、嬉しくて安堵しました。

大混迷だったけれど、救いの手はあって、
辿り着けて本当に良かった。



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