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優しくなれない自分 【在宅看取り日記②】

おはようございます!
今朝の新聞によると22年度卒の大学生・大学院生の採用人数を減らす企業は11.6%だとか・・・来年の就活生の不安を煽る記事ですね
就活生の皆さんにはストレスを溜めすぎず頑張って欲しいと思います

さて、今日は在宅介護や看取りに関して私がネガティブな感情を持ってしまった経験を話したいと思います

「悲しいけれど最後の時を大切に一緒に過ごす」
「大切な人の最後を良いものにしてあげたい」
「ありがとうと言われると報われる」

介護や看取りにはそういった「人と人との繋がり」を映す美しい一面もあります
もしかしたら大半の方はそういった優しい気持ちしか感じないかもしれません
でも実際私にとってはそんな感情ばかりではありませんでした

入院してくれて良かった・・・

祖父が入院した2020年8月の朝、私は祖父に会いませんでした
母が突然病院に連れて行くと伝えてきたのは朝の5時台
またいつもの様に体調不良で受診するのだと、
わざわざ起き出すこともないか、とそのまま眠りに戻りました

それから1ヶ月後の面会まで一度も祖父の顔を見ることはできませんでした
(本来は面会禁止ですが頼み込んで5分程度面会した)

正直入院が決まってホッとしました
入院が決まるまでの1ヶ月間の祖父は一日中
「ここが痛い」「お腹が張る」「辛い」と家族みんなに訴えており
私たちが「お腹温めたら?」「マッサージしようか?」と問うと
「いい、大丈夫」しか言わない

何度も何度も病院にも連れていきましたが、状況は変わらず

家族も疲れてノイローゼ気味になっていました

本来であれば入院したということは病気の状態が悪化しているということであり、心配するのが当然です

でも、私は「これで祖父の話を聞かなくて済む」と思ってしまいました
ようやく家族と祖父の病気以外の話ができるのも嬉しかったのです

なんで私だけ・・・外出できないストレス

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そして祖父が2ヶ月振りに退院し、自宅療養が決まりました
この時はまだ、自宅療養が何を意味するのか分からず

歩けなくなって車椅子で帰ってきた祖父を見て
「介護が始まる・・・」
まためんどくさいことになったなと思ってしまいました

毎晩ベットの脇でする食事
呼ばれたらすぐに祖父の元に駆けつける毎日
介護のために仕事を辞めて尽くす母の姿

「この生活がいつまで続くんだろう・・・」
「なんで祖父中心の生活をしなきゃいけないんだろう」

そんな気持ちでいっぱいでした

そして祖父は77歳という年齢もあり
この状態でコロナに罹れば大変なことになってしまうから
と、私たち家族は不要な外出を一切控える様になりました
外食は愚か、スーパーやホームセンターにも必要な時以外行きません

Instagramを見れば同級生は飲みに行ったり、旅行に行ったり
当たり前の様に友達と遊んでいます
本来であれば大学最後の年は思いっきり旅行ができる年です
私は年に3回は海外旅行をするくらい、旅行が大好きでした

コロナの流行で海外旅行ができないとは言え
友達は皆、Gotoトラベルを利用して国内旅行を楽しんでいます

でも、私はできない

じいちゃんにイライラする

外出できないストレスもあってか
私は次第に祖父に優しくなれなくなりました

病気の話ばかりの祖父の話を聞くのが嫌だ
なんでもかんでも母を呼びつけているし
食べ物も好き嫌いしてばかり

ありがとうと言われても全然嬉しくありませんでした
ありがとうの言葉では全く救われませんでした

あんだけ大好きだった祖父なのに
あれだけ私のことを大切にしてくれてた祖父なのに

頭では優しくしなきゃいけない、優しくしたいと思っていました

でも優しくなれなかったのです

そんな自分がもっと嫌になる

そんな態度ばかりとってしまう自分を何度も責めました

献身的に尽くす母を見て、
どうして私も優しくなれないのかと毎晩悩みました

優しくしようと決意しても祖父の側へ行くとできない

5歳年の離れた弟は、深夜の祖父のおむつ交換や
隣で一緒に寝たりしています
そんな弟といると祖父は本当に嬉しそうで。

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なんで23歳にもなって高校生の弟みたいに優しくできないのか
私が側に行けば「ありがとう」と申し訳なさそうにいう祖父。

小さい頃のアルバムを見ればいつも祖父が隣に居て
私は祖父に育ててもらった様なものなのに
そんな大切な人が大変な時に優しくなれなくて
自分のことが嫌いになってしまいました

漫画に救われた

そんな私を見かねてか、母が漫画を買ってくれました

広田奈都美さんの
「おうちで死にたい〜自然で穏やかな最後の日々〜」

在宅での介護や看取りについてのエピソードを
訪問看護師の立場から描いた作品です

その中には私の様に優しくなれなかったり、ネガティブな感情を持ってしまったり、そんな自分を責めてしまったりする介護者や家族の姿がありました

この漫画を読んで初めて
「優しくなれないのは私だけじゃないんだ」と
心が軽くなりました

さらに、優しくなれずに自分を責めてしまっている家族に対して

「あなたはその人がとっても好きで大切なんだね。
きっと大切な人を失うことが物凄く怖くて、
まだ受け止め切れてないんだね」


と訪問看護師が声をかける場面がありました

私は祖父が退院してから在宅ホスピスや終末期医療、末期癌に関する本を読み漁り祖父の看取りに関して覚悟ができていると思い込んでいました
人一倍知識をつけて、分かった気になっていただけでした

まだ受け入れられていなかったんです
きっと今も受け入れられていないんです
本当は死んでなんか欲しくないし、ずっと一緒に居て欲しい

祖父がいなくなることなんて想像もしたくないのです

そんな気持ちに気づいてからは少し祖父に優しくできる様になりました
こうやって自分の気持ちを書けるようにもなりました

私が漫画に救われた様に、今優しくなれなくて悩んでいる人がいたら
そう思うのは珍しいことではないのだとわかってもらえたらいいなと思ってこのnoteを書きました


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