見出し画像

現行の法律婚と戸籍制度の関わり。戸籍制度を知ろう!

本日はタイトルの通り、法律婚と戸籍制度の関係性について書こうと思う。

Twitterで選択的夫婦別姓について検索すると、導入を反対する人たちの声で一番多く書かれている様に思うのが「選択的夫婦別姓は戸籍制度の破壊だ」という声だ。

私はそれを目にする度に、反対派も賛成派も、戸籍の制度自体をよく知らない人がとても多いように感じていた。そりゃそうだろう。主に自身や家族の結婚や離婚、出産や死亡時、パスポート申請くらいしか戸籍に触れる機会がないのだから。

これから様々な角度から選択的夫婦別姓について書いていくにあたり、まず私なりに、戸籍制度をまとめてみた。

ーーーーーーーーーーーーーー

日本の法律婚と戸籍制度の関わり

そもそも戸籍制度とは?

戸籍制度は、日本国民の国籍とその親族的身分関係(夫婦、親子、兄弟姉妹等)を戸籍簿に登録し、これを公証する制度です。また、人の身分関係の形成(婚姻、離婚、縁組、離縁等)に関与する制度でもあります。

法務省HPより出典

現在の戸籍は一組の夫婦と姓を同じくする未婚の子を単位につくられます。つまり「自分・娘・孫」等の三代で同じ戸籍に入ることはできません。戸籍は戸籍法に基づく届出により記録され、本籍地の市区町村役場に保管されている。

ーーーーーーーーーーーーーー

戸籍全部事項証明(戸籍謄本)って何?

戸籍には「本籍」「筆頭者氏名」、同じ戸籍に記録されている者の「名」「生年月日」「父、母の氏名」「出生地」「婚姻日」などが記録されています。それらが記載されたものを戸籍全部事項証明書といい、本籍がある市区町村役場に請求し取得する事が可能。

戸籍全部事項証明書の見本はこちら。

東京都北区区役所から画像をお借りしました

ーーーーーーーーーーーーーー

【本籍とは】

戸籍の所在場所のこと。戸籍の証明書を取得したい場合は、本籍として登録している市区町村に請求手続きをする。新しい戸籍を作る際に、本籍地も決める必要があります。

本籍を置く場所には特に決まりはなく、日本の土地台帳に記載してある場所であればどこでも設定できます。多くの場合、婚姻届を出す時に新しい戸籍を作りますが、居住地ではなく思い出の場所を本籍にすることも可。

東京タワーにしても、皇居にしても良いそうです。面白い。

ーーーーーーーーーーーーーー

【筆頭者とは】

戸籍の1番最初に記載してある人のことです。筆頭者は死亡しても変わりません。現行の法律では、婚姻の際に夫の氏を名乗ることとした場合は夫が、妻の氏を名乗ることとした場合は妻が戸籍の筆頭者となります。

現在の戸籍は”一組の夫婦と姓を同じくする未婚の子を単位につくられる”と説明しましたが、同じ戸籍に記載される家族は、筆頭者の姓を全員が名乗る事となります。よって戸籍全部事項証明の見本画像のように、個々の名前が記載されている「戸籍に記入されている者」という欄には、「名前」しか載っておらず、個々に姓の記載はありません。

ーーーーーーーーーーーーーー

何故夫婦は同姓なのか

上記に記載した通り日本における法律婚とは、婚姻届を提出し、同じ戸籍に入る事を言います。同じ戸籍に入ると筆頭者の姓を全員が名乗る事が戸籍のルールである為、法律婚を選択した場合、必然的に夫婦同姓となります。(日本国籍の方と外国籍の方の婚姻の場合は例外)

事実婚の場合は婚姻届の提出はしない為、夫婦が同じ戸籍に入ることはありません。その為自ずと別姓のままとなります。各自が現在の戸籍から抜ける事もなければ、新しい戸籍も作成されません。戸籍上にも、事実婚をした事実が記載される事もありません。

※事実婚の場合、市区町村役場にて「世帯変更届」を提出し、続柄は「夫(世帯主)」「妻(未届)」または「妻(世帯主)」「夫(未届)」と住民票に表記されます。事実婚は、法的には夫婦であることを証明できないので、この様な世帯変更届の手続きをされる方が多くいます。

ーーーーーーーーーーーーーー

おまけ:戸籍で先祖を辿る方法

戸籍(戸主)制度が始まった頃の戸籍までを、代々遡って取得する事が可能です。家系図もこの様に戸籍を辿って作る事が多いそうです。

婚姻届を提出し夫婦で新たな戸籍を作るまでは、殆どの方が自身の両親と同じ戸籍に所属しています。婚姻等で戸籍を抜ける事になると、今まで所属していた戸籍には「転籍日」「新本籍」「送付を受けた日」「受理者」が記載されます。見本はこちら。


こちらのHPから画像をお借りしました

そして新しい戸籍には、いつどの戸籍から移動してきたのかがわかるように、転籍枠に「転籍日」「従前本籍」が記載されます。

こちらのHPからお借りしました

そして各個人の婚姻の欄にも「従前本籍」「前戸籍の筆頭者」の記載がある為、この見本でいうと「日本五郎は婚姻によって、筆頭者が日本四郎となる戸籍から平成25年11月11日に転籍した」「佐藤花子は婚姻によって、筆頭者が佐藤春雄となる戸籍から平成○年○月○日に転籍し、日本花子となった」という事がわかる様になっています。

自身の父、祖父、曽祖父、母、祖母、曽祖母等の戸籍を見てみたい、先祖の歴史をたどってみたいという場合には、請求したい戸籍の「本籍地」「戸籍の筆頭者」を一枚一枚辿っていくことで、残っていれば150年程前まで遡って請求する事が出来る様になっています。

(私は父の死を機に辿れる限りの全ての戸籍を請求し、会った事のない先祖に触れられた気がして嬉しかったです。この戸籍の機能には大感謝!)

ーーーーーーーーーーーーーー

まとめ

今回は簡単に、日本における法律婚と戸籍の関わりについて書きました。

選択的夫婦別姓導入を訴えるにあたって、現在の法律婚と強く結びついている戸籍のあり方やルールを知っておかなければならないと思う。私自身は、先祖を120年以上も遡れる戸籍制度の優れた点は継承しつつ、戸籍を残したまま夫婦別姓選択が可能な未来を強く望んでいます。

この記事を元にあらゆる選択的夫婦別姓制度導入における問題点への私の考え方等を書き残していこうと思うので、このテーマに関心がある方もそうでない方もぜひまた読んでください。

法務省「選択的夫婦別氏制度」について

TOKYOレディ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?