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ホストクラブは…

去年、世間からだいぶ遅れて、TikTokを始めた。
父が入院中だったから、不安な夜は気を紛らわすにはちょうど良かった。
そこで最初にオススメに出てきたのは歌舞伎町ホストさんの配信だった。
ホストなんて私の人生で一番、縁遠い存在だから、興味本位で見始めた。
そしたら、リスナーさんが少ない枠はたくさん話せるから、楽しくて、すぐにハマった。
しかし、これが嫌な方向に向かうとは思ってもなかった。

店に来れないと知ると、露骨に冷たくなる人もいたし、配信中のコメントに女同士の嫉妬が渦巻いてるのが分かってしまい、それで何度か嫌な思いをした。
今は
「初回指名、待ってます」
って書いてある配信は見ない。
私はホストクラブには一生、行かないから。

父の介護で、家を空けられないという事情もあるけど、発達障害から来る感覚過敏がある。
感覚過敏というのは説明が難しいから、分かりづらいと思う。
私の場合は特に聴覚が敏感で、ちょっとした音に反応してしまう。
子供の頃、数えきれないぐらい、中耳炎になったのは今となっては学校生活の中で、自分には耐えがたい音のストレスがあったんだと思う。
そのことについて書くと、長くなるので、それはまた別の機会に。

そんな私が、ホストクラブに行くのは大げさかもしれないけど、拷問だと思う。
大音量のBGM。
やたらと近距離に、知らない男の人。
突然のシャンパンコール。
激しく変わる照明の光。
YouTubeで営業中の動画を見るだけで、うるさいと感じて、音量を最小にしてるし、時には途中で見るのをやめる。
そんなんで、実際にお店に行った時、パニックを起こすなという方が、無理だ。

子供の頃は雷とか大きい音がすると、耳を塞ぎながら、布団に潜ったり。
テーブルの下に潜ったりり。
ふすまに隠れたり。
そこで、怯えて泣きながら、ひたすら、終わるのを待っていた。

今はまず、過呼吸になる。
そして、子供の頃と同じように暗くて、音がしない場所を探して、手当たり次第、逃げ惑う。
結局、だいたいがトイレに行き着くが、過呼吸を起こしてトイレにこもるというのも、はた迷惑になるので、普段はそうならないように気をつけている。

自分自身も、パニックを起こした時、治まったらなんでもないのかと聞かれたら、そんなわけはない。
その日は何もできなくなるし、メンタルもやられて、2~3日は言いようのない不快感が付きまとう。
だから、私も含め、感覚過敏の人はそうならないように工夫しながら、生活している。

他にも、知らない人や場所に過剰な緊張を感じてしまい、緊張を通り越して、恐怖になったり。
知らない人が、隣に座って、ひたすら話しかけられることにストレスを感じる。
一時的に過剰なストレスがかかる状況というのはどんな人にとっても、良くないはず。
だからと言って、無言のまま、接客するわけにもいかないだろうし。

だから、TikTokの配信は見ても、お店には行かない。
勇気を出して、行ったとしても、迷惑をかけることになると知っているから。
私だって、普通の人間だから、配信でずっと喋ってて、仲良くなれたら会ってみたいって気持ちになるに決まってる。
だけど、それはお金で解決できることじゃない。

お金どころか、今のところ、感覚過敏に対して、根本的な解決方法はないに等しい。
ただ、自分がパニックを起こさないように、工夫しながら生活するしかない。

なのに、仲良くなればなるほど、会ってみたい気持ちが募る。
なのに、思うようにはいかなくて、この自分の個性がこれまでにないくらい、忌々しく思えた。

でも、それはなるべく、考えないようにして、仕方がないと、割り切ろうと今も、葛藤する時がある。
この個性を活かせる時だって、たくさんあるから、それを忘れないように。

そんなわけで、私は一生、ホストクラブには行かないけど…
推しの配信を見るのは楽しい。

変に同情したり、腫れ物に触るみたいにしなくていいけど…
全国のTikTokで配信をしていて
「なんでこいつ、配信だけで店に来ないんだよ」
と思ってるホストさん達に、こんな人もいるんだよってことを知ってほしかった。

発達障害から来る感覚過敏についてはまた別の機会に詳しく書くので、気長に待っていてください。

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