僕が彼女を護る今宵の【Bar Siva】もボーイのサトシは開店準備を定刻前に終えていた。 オーナーママのリリーも定位置にスタンバイしている。 リリーは光沢のある黒の緩めのロングドレスに黒の大きめのストールを羽織っている。 耳にはキラキラと輝くピアスをつけていて、パープルのグラデーションメイク。 相変わらずの独特の雰囲気をまとっている。 ボーイのサトシは予約表を確認しながら言った。 「ママ、1番目は田川様です。 お先に呑まれますか?」 リリーは目を開けてサトシの方
アリス登場今宵はある意味で記念日になりそうな日だ。 オーナーママのリリーの実の娘である "アリス"が来店する予定である。 ボーイのサトシはいつもよりソワソワしている。 開店準備を全て終わらせてリリーに声をかけた。 「ママ、看板点けますか?」 リリーはカウンターの中で目を瞑ったまま答える。 「いつも通りで良いわよ」 「かしこまりました」 そう言うとサトシは看板を点けた。 定刻の19時である。 時間に正確であるアリスがドアを開けて入って来た。 「いらっしゃい
占い師の自覚本編にも書いてありますが占いをする時にやってはいけない暗黙のルールがあります。 死ぬ予言と受験の合否。 これは御法度。 なぜなら人は日々選択して生きているから。 このまま進むと受験の合格が見えていたとして、それを伝えた途端に人は努力をやめます。 そうすると不合格になります。 運命を変えることとなります。 死も同じことです。 確かに人には寿命があります。 しかし、選択に寄っては変わることがあります。 ですから人に死を予言するのはタブーなのです。
視えるのは何故?鑑定をやるようになってからなのか? それ以前なのか覚えていません。 それぐらい前から必ずと言っていいほど訊かれる質問事項がいくつかあります。 BAR SIVAを愛読してくださってます皆様も同じ疑問を持たれてるのでは? そう思ってこの機会を作ることにしました。 まず1つ目の質問。 『どうして視える様になったのですか?』 物語の中にも書いてありますが母親の家系で生まれたのが女性だと何かしらの能力を持っていることが多いです。 私のすぐ上の姉の様に視え
献杯今宵の【Bar Siva】は通常の19時オープンより1時間以上前に開店準備が整っていた。 ボーイのサトシは看板の電気は点けずに全ての準備を終えて待機していた。 この店のオーナーママのリリーは今日は珍しく喪服を身にまとっていた。 そこへお店のドアが開いた。 サトシは反射的に 「いらっしゃいませ」 とは言ったものの、今までに聞いたことないアルトな音で静かなトーンだった。 ドアを開けて入って来たのはリリーの同級生の鍋島だった。 リリーも鍋島から先日、里中の妹の恵
結界を張るリリーは病院に来ている。 昨夜の同級生の鍋島の来店で急遽、病院に直接来た方が良いという話になったのだ。 リリーは病院のロビーで鍋島の友達の里中を探している。 同級生の鍋島は仕事の都合で来れなくなったからだ。 すると待合室の向こうから里中がやって来た。 「リリーさん、わざわざすみません。 妹には話してありますので宜しくお願いします」 里中は丁寧に挨拶をして病室の方向へ右手で誘導してくれた。 「ぷぅさん、こちらこそ昨日はありがとうございました。 昨日の今日
働き者の死神オーナーママのリリーは今宵も独特の雰囲気に包まれている。 黒のレースのドレスに黒のジャケット、今日は少し堅めの装いである。 リリーは家を出る時に急にジャケットを着たくなった。 その心の声に素直に行動することにしている。 ただし、他の人を傷付ける事以外に限る。 自分の心の声に素直に行動したという名目で人を死傷させたり、自分を正当化させて他人を攻撃する人を見ると胸が痛くなる。 おっと… 話を元に戻そう。 リリーはいつもより堅い感じの服装で店に来ていた。
イケメンのルーティン「また聞かせてね。 気をつけて帰ってね。 ごきげんよう」 オーナーママであるリリーは左手を胸の前で小さく左右に振りながら言った。 ボーイのサトシが素早くカウンターの上を片付けると店のドアを開けて 「お待たせいたしました。 斎藤様、お入りくださいませ」 満面の笑みと爽やかな声で言った。 軽く会釈をしながら店の中に斎藤は入って来た。 リリーはカウンターの中から独特の雰囲気を身にまとったままで 「ご無沙汰ですわ。 お変わりないかしら?」 と斎藤へ
この物語の生まれたわけ実際にあった占いをベースに【Siva】というお店の設定で占い師Lilyとお客様の占い内容を本人確定は出来ない程度のフィクションを入れて小説化してあるストーリーもの。 お店のオーナーママであるLily。 彼女の生まれ育った家は女系にのみ視える能力が大なり小なり受け継がれている。 Lilyは四姉妹の末っ子として生まれました。 姉妹の中でも多くの能力をもらい、それを使って悩める人たちの手助けになればという気持ちと夜にうごめくモノを同じ視るならと夜働くB
始まりは金縛りオープンの時間は夜の7時である。 ボーイのサトシは定刻前に準備を終了させて予約表の確認をしていた。 「ママ、本日のご予約の方は7時30分からになります。 先に呑まれますか?」 オーナーママであるリリーはカウンターの中でスマホを触りながら答えた。 「お願いするわ」 リリーはメールチェックを終えるとタバコに火をつけてゆっくりと吸った。 サトシが厨房からビールを持って出て来てリリーに手渡しながら口を開いた。 「そう言えば僕の友達が金縛りにあうらしく悩んで
執着と諦め【Bar Siva】の出来るボーイ代表であるサトシは今夜は開店準備に追われていた。 夕方に酒屋オーナーの小堀と話が盛り上がりいつもより準備が遅れている。 そこへオーナーママであるリリーが店のドアを開けて入って来た。 リリーは黒のヒラヒラとしたドレスを身にまとい、煌びやかに光るクリスタルのロングピアスを涼しげに着けている。 メイクは濃いブラウンとゴールドのラメとのコラボレーションが美しく、ボーイのサトシも一瞬目を奪われた。 「おはようございます。 もう少しで
永遠に愛する今夜もオーナーママのリリーは独特の雰囲気を醸し出してカウンターに立っている。 黒のドレスに黒のストール、ゴールドのネイルがゴージャスで存在感がある。 今日は濃いブルーのメイクで妖艶さが増している様に感じる。 ボーイのサトシは厨房から出て来てリリーへ言った。 「ママ、開店準備出来ました。 1番は山岡様です。 先に呑まれますか?」 「もう来ると思うから同時でいいわ」 リリーは目を瞑ったまま答えた。 サトシが返事をする前に店のドアが開いた。 「いらっしゃ
想いは紙一重今夜も【Bar Siva】は後5分で定刻を迎える。 ボーイのサトシはオーナーママのリリーに向かって言った。 「ママ、後5分で定刻です」 リリーは目を閉じたまま口を開く。 「お願いするわ。 すでにイライラしてきた」 「かしこまりました。 すぐご用意いたします」 サトシは即、厨房へ入った。 リリーはゆっくりと目を開けてタバコに火をつけた。 大きく息を吸ってタバコの煙を吐く。 リリーのモヤモヤは少し落ち着いた。 このモヤモヤは今から来る1番目のお客の
予約なしのお客様「いらっしゃいませ〜」 ボーイのサトシが反射的にだが爽やかに言った。 【Bar Siva】は予約制が主だが珍しく予約をしていない突然来店のお客様が店のドアを開けた。 オーナーママのリリーは入って来た女性に軽く手をふりながら声をかけた。 「あら? 珍しい人のご来店ね。 元気にしてたの?」 その女性は右手を振りながら笑顔で近づきながら喋る。 「さっきまで三浜さんの店にいて突然は無理かもしれないと思いながら来てみました」 「どうぞ、お座りになって。 雅
血筋と能力「ありがとうございます」 【Bar Siva】のボーイのサトシは安定の爽やかさで言った。 オーナーママのリリーはカウンターの中から軽く左手を振っている。 お客がドアから出るのを見送った後にリリーはタバコに火をつけた。 カウンターの上のグラスを片付けながらサトシが話し出した。 「ママ、今夜は今の方が最終予約でした。 お店の閉店時間まで呑まれますか?」 リリーはタバコの煙を吐き出しながら答える。 「いただくわ。 誰か来る気配がするし…」 「かしこまりまし
視える種族オーナーママのリリーは店で予約のキャンセルが出た。 約2時間の空き時間を得ることが出来た。 これがチャンスと珍しく友達の店へ遊びに出掛けた。 リリーはその店のドアを開けて中へ入った。 「いらっしゃいませ」 その店のオーナーママのるみはそう言って出迎えてくれた。 るみはリリーの顔を見ると 「あら? ご無沙汰じゃない? お店どした? 大丈夫なの?」 と立て続けに聞いた。 リリーはニコニコしながら席に座って答えた。 「キャンセルが出て少し時間が出来たか