米粉パンの仕上がりに影響するもの:水

米粉パンでは水は非常に重要で、発酵や焼成の肝になっているようです。

発酵不良や陥没、気泡が大きく膜の厚い生地になるなど、これまでの私の失敗のほとんどが水要因由来ではないかと思うほどです。

米粉の場合、メーカーが異なるだけでも最適な水分量は異なってくるので(損傷デンプン率の差などで吸水性が異なるため)、米粉を変えた時は注意しないといけないと思いました。


水の役割

酵母の活性化

酵母は製造過程で脱水によって活性が抑えられていますが、これが水によって活性化します。

生地の水分量が不足すると発酵不良となります。

デンプンの糊化

パンのふんわりしたやわらかさはデンプン由来で、この過程にも水が重要な役割を果たしています。

焼成過程において、デンプン粒は高温下で水を吸収して膨張します(糊化(α化))。
さらに焼成が進むと、糊化したデンプンから水分が蒸発して、ふんわりとした柔らかさを保つ組織になります。

ですので、ふんわりしたパンにするためには、糊化に必要な水分が提供されていることが大切です。

生地の硬さの調節

発酵過程においては、炭酸ガスが膨らんでいく力と、生地が伸びる力とのバランスがとても大事になりますが、生地の硬さはその伸びやすさに影響します。

水分不足により生地が十分に伸びることができないと、炭酸ガスが発生していく過程で膜が破れて隣の気泡と合体し、膜が厚く気泡が大きいキメの粗い生地になったり、ボリュームがあまりでなくていわゆるおもちのような重い生地になってしまいます。

生地のこね上げ温度の調節

酵母の発酵をスムーズに進めるためには、こね終了時点で生地が最適な温度になっている必要がありますが、この生地のこね上げ温度は仕込み水の温度によって決まります。

水分量によるクラムの比較(実際のパンで検証)

水分不足の生地
上部陥没、また気泡が大きく膜が厚くなっている
発酵が抑制され全体に小さい
水分量が適正な生地
キメが細かく柔らかい
発酵が抑制されていないこと
糊化に必要な水分が提供されていること
生地の伸展が妨げられていないことが重要

上記の2枚の差はわずか10mLの水分量だけです。
それだけで結果がここまで違います。
水分量がいかに大切なのかが分かります。

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