米粉パンの仕上がりに影響するもの:モルトパウダー

モルトパウダーを使うきっかけは、フランスパンの製法を知ってからです。

ですが、モルトパウダー添加は味は良くなるんですけど、米粉パンの発酵原理に反している気がしてきました…

発酵ガス/水相界面をデンプンが安定化させているから、パン用の米粉は損傷デンプン率が低くなるように製粉されているのに、これをアミラーゼで分解してしまうと発酵が不安定になる気がしたんです。 

ただ、アミラーゼと反応するのは主に損傷デンプンのみで、健全デンプンはそれほど影響を受けないなら、米粉パンでもモルトパウダーを問題なく使えるかもしれません。

もし生地の保持力が弱くなるなら、イースト量を減らすとか温度を下げて発酵ガスを抑える必要があるかもしれません。
でもあまり発酵を抑えると今度はパンの高さを維持できなくなります。

同じ食パンでも、HBのように縦方向に発酵しないといけないのは難易度が高い気がします。
市販の米粉パンがパウンドケーキ型の小型のものが多いのは、縦方向の発酵がそれほど必要なくて安定して作れるからなんでしょうか…

※モルトパウダー/モルトエキスの働き

大麦が発芽する際には大麦のデンプンを分解するアミラーゼが活性化しますが、この大麦の麦芽を乾燥させ粉末にしたものがモルトパウダー、糖化して濃縮したものがモルトエキスです。

主成分はアミラーゼで、主な働きはデンプンを麦芽糖に分解することです。

麦芽糖は酵母の栄養源となるため発酵や釜伸びの促進のほか、焼き色がつきやすくなる、風味の向上、パンの保水性向上などの効果があります。

但し使用量が多過ぎると生地が緩んでしまうため、適正量を使用することが大切です。

※モルトパウダーはグルテンフリーですが、小麦アレルギーの方には注意が必要な食品です。


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