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私の好きな歌 〜貧窮問答歌〜 その①



こんにちは、まりもです。


皆さんは

山上憶良(やまのうえのおくら)

という万葉歌人をご存知でしょうか?


おそらく、学生時代に
その名前を聞いた方は多いのではないでしょうか。
私も小学校の社会と国語の授業で習った憶えがあります。

子どもの頃は

「え?!オクラって!!笑」

ってめっちゃウケてたんですが、
(こういう方、多いのではないかと思います🤣)

社会の授業で出てきた彼の名歌、

「貧窮問答歌」(ひんきゅうもんどうか)

は子ども心にとても記憶に残っています。
以前の記事で述べた、「防人の歌」と同じくらい印象的でした。


↓防人の歌はこちらの記事で少し触れてます。


万葉集は第一期から四期まで分けるそうですが、
そのうちの三期の時代、
特に代表的なのがこの山上憶良と、
万葉集を編纂した一人、
大伴家持(やかもち)のお父さんで大伴旅人(たびと)でした。


この二人は太宰府(今の福岡県)で創設された
筑紫歌壇のメンバーです。
(筑紫歌壇についても以前の記事で少し触れさせてもらいました)

ここはまあいいとして、
それだけ憶良さんは万葉集の中でも有名な歌人なんですね。


そして今日のテーマの
「貧窮問答歌」ですが、
貧窮を主題とした問答になっています。
前半が問い、後半が答える形です。

問いは出だしから貧しさが漂っております。

風交り 雨降る夜の 雨交り 雪降る夜は すべもなく 
寒くしあれば 堅塩を とりつづしろひ 
粕湯酒 うちすすろひて しはぶかひ 鼻びしびしに
しかとあらぬ ひげ掻き撫でて
我れをおきて 人はあらじと 誇ろへど
寒くしあれば 麻衾(あさぶすま) 引き被り 
布肩衣(ぬのかたぎぬ) ありのことごと 着襲へども
寒き夜すらを 我れよりも 
貧しき人の 父母は 飢え寒ゆらむ
妻子(めこ)どもは 乞ふ乞ふ泣くらむ
この時は いかにしつつか 汝が世は渡る

現代訳: 
風を交え雨の降る夜、雨を交え雪の降る夜はどうしようもなく寒いので、堅塩をかじり粕湯酒をすすっては、咳き込んで鼻をぐずぐずさせ、まばらな髭を撫でては、自分を差し置いてはまともな人間はあるまいと誇ってみるものの、酷く寒いので麻の夜具を引き被り、袖なし衣をありったけの重ね着をする。
それでも寒い夜なのに、自分より貧しい父母は飢えて凍えているだろう、妻や子供達は食べ物を欲しがって泣いているだろう。
こういう時、お前さんはどのようにして暮らしているのだね。


※現代語訳は角川ソフィア文庫の「ビギナーズクラシック 日本の古典 万葉集」を参考にさせて頂きました。


長くなりましたが
以上の文は問いの部分、
貧窮問答歌の前半部分です。


今の私たちの生活と比べると、
かなり貧しさを感じます。
この頃は家も丈夫ではないだろうし、雨風も部屋に入ってきたでしょう。
暖房なんてないし、もちろん暖かいセーターもヒートテックとかもないですよね。

ただ、解説によると
この男性は貧しいと言いながらも温かい酒のような飲み物もあるし、
着る物もあり、それほど極貧生活、とまではいかないようです。
(むしろ両親や奥さん子どもの生活が気になる…)

身分は下級の役人程度という話も。

ところで
憶良さんは、筑前守を務めたという方だそうです。
そう言われると、
この貧窮問答歌に出てくる人は何となく憶良さんっぽさがありますね。


この後、
これに対する答えが続くのですが…
答えている方の人はどん底の極貧生活です。

長くなりそうなので続きは明日に。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
良かったらまた遊びにきてくださいね。

それでは!

22/11/19   まりも

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