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岡本太郎が信楽で作った10の代表作をまとめました

こんにちは。

lilo(リロ)の堀です。liloは、「道具へのカンシャ」が芽生える体験を届けるライフスタイルブランドで、伝統ある信楽で生まれたダッチオーブンを取り扱っています。

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このnoteでは、信楽のこと、道具のこと、liloのことなどについて深く掘っていくことを目的としています。さて、今回は「巨匠・岡本太郎と信楽」をテーマに書いていきたいと思います。

「芸術は爆発だ!」という名言で知られるあの岡本太郎と信楽には、実は深い関係があります。岡本太郎という人はほとんどの方がご存知かと思いますが、岡本太郎が信楽町の名誉町民であることはあまり知られていない事実です。

岡本太郎は1911年に神奈川県川崎市に生まれ、1996年の84歳でその生涯を閉じました。彼の芸術活動の前半は絵画作品が多いのですが、1964年以降の後半は大物の作品(パブリックアート)が増え、陶土で作られた陶板作品を多数発表しています。実はこの後半で作られた陶板作品のほとんどが、日本六古窯のひとつとして知られる滋賀県・信楽で作られたのです。

ではなぜ、全国に数多ある陶磁器産地の中で、岡本太郎はこの信楽で作品を作ることを選んだのでしょうか?

その疑問を解くと「赤」という色がキーワードになっています。岡本太郎の陶器製の作品を見ると鮮やかな色彩が用いられています。この色彩豊かな色は、陶器を焼き上げる前の素地に塗る釉薬(ゆうやく)で出している色なのですが、彼は特にこの「赤」という色に強いこだわりを持っていました。そしてこの鮮明で深みのある赤色を出す技術というのが信楽にしかできなかったため、彼は信楽の地で作品を作ることとなったのです。

そして岡本は、1964年から1996年の約30年の間に、10の代表作をこの信楽の地から作り出しました。今回は、そんな岡本太郎が信楽で作った代表的な陶器製の作品をご紹介したいと思います。

①《坐ることを拒否する椅子》(1963年・52歳)

岡本の人気作品のひとつ《坐ることを拒否する椅子》は、その名の通り椅子の真ん中に眼や顔があり「どうだ座れるなら座ってみろ!」と言わんばかりの椅子です。そのデザインとカラーのバリエーションは全部で35種類あると言われています。

坐ることを拒否する椅子

引用:http://we-wanna-be-tower.hatenablog.com/entry/2018/01/23/222506

②国立代々木競技場第一体育館に《競う》など8作品(1964年・岡本53歳)

日本を代表する建築家、丹下健三が設計したことで知られる吊り構造の国立代々木競技第一体育館の中に8点の陶板作品を見ることができます。競技場とあって、人間や競技に関するテーマにした作品となっています。ここで気になるのは、異なる作品なのに同じ作品名が付けられていることです。岡本は、作品に人一倍のこだわりを持ちましたが、作品名にはあまりこだわりがなかったのです。そのため、全く別の作品なのに、同じ名前の作品をいくつか発表しています。

《走る》

走る

《眼》

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《競う》

競う

引用:https://note.com/masumiyutaka/n/n39e5b5d66257

《足》

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引用:https://www.mirainoshitenclassic.com/2018/05/9a.html

《足》

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《手》

手

引用:https://ameblo.jp/3819tune1224/entry-11469632878.html

手_2

引用:http://106season2.blog15.fc2.com/blog-entry-2649.html

《プロフィル》写真なし

③大分県・別府駅前サンドラッグ・ビルの外壁に《緑の太陽》(1969年・岡本58歳)

JR別府駅西口を出て正面に見えるサンドラッグ・ビルの外壁に作られた作品です。当時ビルのオーナーが岡本に直談判して作品が作られたと言われています。しっかりと「TARO」のサインも入っています。

緑の太陽

引用:http://9tabi.net/oita/oita00/oita097.html

④日本万国博覧会で《太陽の塔・黒い太陽》(1970年・岡本59歳)

大阪・万博公園に力強くそびえ立つ「太陽の塔」は、みなさん一度は見たことがある岡本作品ではないでしょうか。その岡本の最も有名な作品「太陽の塔」の裏側にある《黒い太陽》は信楽で作られた陶板レリーフなのです。直径約8mもある本作品は、たくさんの信楽焼のタイルを貼り付けて作られています。

黒い太陽

引用:https://www.e-shigaraki.org/taro/

⑤新幹線岡山駅に陶板壁画《躍進》(1972年・岡本61歳)

「ひかりは西へ」のキャッチフレーズでお馴染みの山陽新幹線開通に伴い、岡山駅に作られた陶版レリーフです。山陽放送(RSK)が「岡山の街の躍進」をイメージして、岡本に作品の制作を依頼しました。実はこの作品、山陽放送の企業広告扱いである点が面白い。

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引用:https://ameblo.jp/tetsudotabi/entry-11297403951.html

⑥京都外国語大学構内カフェに《眼と眼(コミュニケーション)》(1979年・岡本68歳)

京都外国語大学の学生食堂「カフェタロー」の壁一面に設置されている陶板作品です。この作品は向かい合った2人が、言葉よりも先に眼と眼でコミュニケーションをとる様子が描かれています。

眼と眼

引用:http://hotozero.com/enjoyment/kufs_cafetaro/

⑦徳島県・大塚製薬徳島研究所に《いのち踊る》(1983年・岡本72歳)

徳島県にある大塚製薬徳島研究所の建物の壁面に作られた陶板作品です。赤いクネクネが動脈、青いクネクネが静脈を表しています。この作品のようにピシッと平らに陶板を焼き上げるのは、相当高い技術が必要だったそうです。作品名は岡本と親交が深かった瀬戸内寂聴(せとうちじゃくちょう)さんが付けられました。

いのち踊る

引用:https://tr.foursquare.com/v/%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%A1%E8%BA%8D%E3%82%8B-%E5%B2%A1%E6%9C%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E/565f9bdf498ee1809f029801

⑧長野県・松川村役場に《安曇野》(1988年・岡本77歳)

長野県の松川村役場の村役場庁舎玄関のロビーにある陶板作品です。真ん中の木は松川村の松を、その下には高瀬川をイメージして作られています。

安曇野

引用:https://ameblo.jp/artony/entry-12403683530.html

⑨大阪府・ダスキン本社ビル2階に《みつめあう愛》(1990年・岡本79歳)

大阪・江坂駅前にあるダスキン本社ビルの2階テラスにある作品です。岡本がダスキンのCMに出演したことがきっかけで、この作品が作られたそうです。《みつめあう愛》という作品名から、上が男性、下が女性を描いているのでしょうか。企業の施設内でありながら、開放時間であれば一般の人も利用できます。

みつめあう愛

引用:https://esaka.osaka.jp/objet/48

⑩川崎市・入江崎総合スラッジセンターに《水火清風》(1993年・岡本82歳)

川崎市のスラッジセンターという施設の会議室にある作品です。実はこの作品は、川崎市役所第三庁舎の1階ロビーにある岡本の絵画作品を焼き付けた陶板レリーフです。陶版作品の中で最も新しく、最新技術で忠実に拡大複製した作品なのです。

水火清風

引用:http://playtaro.com/blog/2019/04/24/oosugi6/

まとめ

今回は、日本が誇る現代美術の巨匠・岡本太郎が信楽で作った代表作について探ってみました。日本全国さまざまな都市でインパクトを残す岡本の陶板作品が、滋賀県の信楽で作られたと思うと非常に誇らしく感じます。そこには信楽でしか作ることができない技術があったのですね。今回ご紹介した多くの作品に、信楽でしか出せなかった「赤」が用いられていることが見て取れます。

liloではそんな伝統ある信楽で生まれたダッチオーブンを取り扱っております。多くの方に土の力が生み出すワンランク上の”食”を楽しんでいただきたいと思います。


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