「どうせ無理」をやめれば世界は平和になる~宇宙を目指す社長さん、植松努さんのお話

突然ですが、僕の尊敬する方のひとりに、植松努さんという方がいます。

僕が植松努さんを知ったのは、この『TED』の動画がきっかけでした。

植松さんは北海道にある町工場の社長さんで、彼はその工場でロケットを作り、宇宙開発の研究をしています。

宇宙開発。とても夢がある話です。ロケットの打ち上げに人工衛星――あまりに壮大すぎて手の届かないお話と思うかもしれません。しかし、この植松さん曰く「宇宙開発はあくまで手段に過ぎない」と仰られます。

じゃあ、彼は何の為に宇宙開発の研究をしているのでしょうか。

植松さんは「どうせ無理」という言葉を失くす為に宇宙開発をしているのだそうです。

「どうせ無理」という言葉自体を無くせば、世界からいじめや暴力、ひいては戦争がなくなるという事を、植松さんは語っています。

例えば家族や友達、あるいは職場の同僚が「宇宙に行きたい」と本気で言い始めたらどう思うでしょう。

きっと僕だったら「いや、それは無理なんじゃない?」と言ってしまうと思います。みなさんもそうなんじゃないでしょうか。きっと今の時代では、それが普通の感覚だと思います。

ロケットの打ち上げには国家規模のお金と時間がかかる。宇宙飛行士は肉体的にも精神的にも強い人間で、かつ世界でトップレベルの頭の良さがないとなることはできない。

今の時代だと、選ばれた人間しか宇宙に行けないと言うて考えが、大きな壁として立ちはだかっています。

「どうせ無理」という言葉は、この壁から生まれたのかもしれない。でも、本当に無理だなんて事は、一体誰が教えてくれたのでしょう?

それは「やったことがないひと」つまりは宇宙に行った事が無い人が言っていることなのです。やったことが無い人が適当な事を言って「やらない言い訳」を教えてくれるのだと植松さんは言っています。

例えば本当に宇宙に行ったことがある人、例えば宇宙飛行士さんに「宇宙に行きたい」と聞いてみたら、どう答えを返してくれるでしょう。

何を勉強すればいいか、どう進路を取ればいいのか。何かしら、宇宙に目指す為の助言を授けてくれるんじゃないでしょうか。

自分たちが頑張って宇宙を目指し、出来ないことを出来るようになる事で「どうせ無理」という考え方を無くしていこう。どうせ無理を無くせば、社会はどんどん良くなっていく。植松さんはそんな思いで宇宙を目指してるのだそうです。

僕たちはいつの間にか、色んな事を諦めて生きています。進学、就職、結婚、そして老後――自分の人生を良くするはずのステップのはずなのに、年を重ねるほどに大切なものを切り捨てて、僕らは生きています。

「もう大人だから」「社会人らしく」「子供のため」「老後のため」。一生懸命生きる為に選択が必要なのは確かです。それでも、いつしか言い訳を並べて諦めることに慣れてしまっている。生まれた時から諦め方を知っている人はどこにもいないのに。

だから「やったことないことをやってみる」ことが、自信を取り戻すステップだと植松さんは言います。

確かに、失敗したら恥ずかしい。嫌な気持ちになるかもしれない。でも、失敗したら逃げればいい。恥ずかしいと思ったそんな時こそ「成長中」だと思えばいくらでもチャレンジできる。

そんなチャレンジから生まれた小さな火を育てていけば、いつしか大きな自信につながるかもしれない。いま出来ないことを出来るようになることが、人間として素晴らしい事なのです。失敗とは、よりよくするためのデータに過ぎないのだから

植松さんは「思うは招く」という事を言っています。思い続けれればできるようになる。自分の夢を信じていればチャンスが来るというのが、植松さんのお母さんがいつも言っていた教えだそうです。

幼いころから飛行機や宇宙が大好きだった植松さんは、学校の先生に「どうせ無理だ」と言われており、しかし諦めずに夢を持ち続けていたら、本当にその仕事ができるようになった。だから「思うは招く」という考え方を信じているそうです。

しかし「どうせ無理」という考え方に、どう立ち向かえばいいのでしょう。

植松さんは「だったらこうしてみたら?」という言葉を僕たちに教えてくれました。

例えば「宇宙に行きたい」と誰かが言ったら「じゃあこんな本を読んでみたら?」「昨日テレビであんな事言ってたよ」と言ってあげる。

「どうせ無理」の代わりに「だったらこうしてみたら?」が広まれば、みんなの夢がかなうようになる。世界で諦めと絶望がなくなり、虐待や暴力が無くなるのかもしれない。それは植松さんだけの力では無理なのかもしれないけど、僕たち一人一人の心がけで可能な夢なのかもしれない。

植松さんの動画を見て、僕は衝撃を受けました。なぜなら僕の中にも、「どうせ無理」という考え方が常に付きまとっている事に気付いたからです。

小さいころから少しずつ積み重なった「どうせ無理」という呪いは、体の内側に染みついて離れない。だけど「だったらこうしてみたら?」と、考え方の向きを変えるという事なら、僕にもできるかもしれない。

いま僕たちが暮らしている社会を少しでも風通しの良いものにするために、僕たちが出来ること。特別な事は必要ない。「どうせ無理」という言葉を「だったらこうしてみたら?」という言葉に変えてみること。

それが、北海道の小さな町工場から宇宙を目指す社長さんが考えた、世界の平和への道筋であり、夢を叶えるための魔法なのでした。

植松さんがTEDスピーチで語ったことや、彼の半生が、小学生や中学生にも分かり易い言葉でまとめられた本です。動画を見て植松さんの考え方をもっと知りたいと思った方には、是非手に取っていただきたい一冊です。

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