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ぶどう畑でさよなら【ヒプノセラピー体験談】

ヒプノセラピーで
様々な時代を見てきている私。
でも、ある日ふと
「母との関係が一度も出てきてない」
ということに気づきました。
(厳密にいえば仲良しの妹もまだなのですが)

こういうことに気づくとき、
というのは
「見つめるとき」
なのだと何となくわかります。
そこで、しっかりと
ヒプノセラピーを
してみることにしました。

★ぶどう畑のある道


過去世へと続く門へ行く道に、
ぶどう畑が広がっていました。
初めてみる景色です。

大きな石造りの門(扉はない)が
目の前にそびえています。
向こう側にも道は見えています。

門をくぐり抜けると、
私は痩身の青年になっていました。
白い肌、高い鼻、あまりにも細い足。

着古した粗末な服に、
ボロボロの短いマント(ポンチョみたい)をはおり
棒の先に布を縛り付けて
荷物をまとめています。

たとえるならば、
愛嬌があって朗らかなスナフキン、でしょうか(笑)

明るく楽観的で、
丸くて大きな瞳は
希望と好奇心でキラキラ。
ボロをまとっていても、
動作や口調に品があります。

彼は今、
森の中の古い遺跡を調べ、
ノートのようなものにしたため、
汚れてボロボロになって
出てきたところでした。

「やっぱり、この遺跡にもぶどうの柄がある!神々とぶどうは、関係があるに違いない。面白い、一体どんな意味があるんだろう!」

そんなふうにワクワクしながら、
見聞きしたことや考察を書きとめています。

私もいわゆる考察が好きな人間です。

★もともとは貴族の生まれ

彼は、もともとは
とても裕福な家の
生まれだったようです。
白と金があるような
広い建物に暮らしていました。

社交界へ行くのに忙しい
父母に代わり、
祖父が彼の面倒を見てくれました。

芸術品が多くある家だったので
(祖父が主に収集していた様子)
彼は常にそれに囲まれて育ちました。
興味を持つとなんでも祖父に質問し、
祖父もそんな彼を可愛がっていました。

年の割にとても賢く、
絵画や彫刻の裏に隠された意味などを
考えるような子どもでした。
「もっと知りたい!」が高じて、
結局彼は成長すると家を出ました。

貴族の生まれ、
しかも両親は芸術品に
興味はありません。

勘当同然で家を出る彼を、
祖父だけは
「あの子は言い出したら聞かない、頑固で賢いからな(笑)」
と、ため息交じりに
見送ってくれたのでした。

★きっかけは不審な目

その日も彼は薄汚れた格好で
神殿の跡を調べ、
ガサガサと森の奥から出てきました。

独り言を言いつつ
満足げにノートに書きつける彼を
不審な目で見るおばさんが一人。

「……そんな森から出てきて。……何してんだい、あんた。怪しい奴だね」

ぽっちゃりとした体格のいいおばさん。
(フェルメールの「牛乳を注ぐ女」によく似ている)
その目はあからさまな不信感でいっぱい。

そりゃそうです、
小汚い格好で森から出てきて、
独り言を言いながらノートに書きつける、
その内容は神話がどうたら、とか
そんなぶっとんだこと。

と思いつつも、見ている「私」は、
これは現世の母だ、と気づきます。
なんとなくわかるのです。

彼は、自分は怪しい者じゃない、と
来訪(旅)の理由や汚れている訳を
説明しましたが、
ますますおばさんは不審がる。

「なんだってあんな古い建物なんか。
地元の誰も見やしないのに。
意味わからないよ、なんの腹の足しにも
なりゃしないじゃないか」

それを聞いて、彼(セレバなんとか、という名前だった)は黙りました。

彼は、父母にも理解して
もらえなかったこともあり、
「自分の感性は変わっている」と
自覚していました。

また、たいていの人々は
その日食べるものを得るために
働いているということ。

確かに、自分にとっては重要なことでも、
だいたいの人にとっては無意味な行動だ。
理解されないのも無理はない。
言葉を尽くしても無駄なのはわかってる。
生きる世界、見ている世界がそもそも違うんだ。

詰られる前に立ち去ろう、
と背を向ける彼を、
おばさんは呼び止めました。

「まあ、待ちなよ。あんた、腹減ってるんだろ?ここから町は遠いし、もう暗くなるし。ちょっと手伝いくらいしてくれたら、食事くらい出すよ」

それを聞き、彼は思いました。
(ああ、この人は言動通りのいじわるな人じゃない。きっと表現というものが苦手なんだ)

★農家での暮らし

彼、セレバは、
決まった収入があるわけではないので、
立ち寄った町で時々仕事を手伝い、
もらった報酬で食事をする、
というような暮らしをしていました。
(だから衣服には頓着しない)

しかし、元は貴族の生まれ。
生活のいっさいは、
お手伝いのような人が
やってくれていました。

しかも、農家に泊まるのは
生まれて初めて。
言われたことはまるで出来ない。
力も弱くて、使い物にならない。

失敗ばかりで、
おばさんの罵声が飛んできます。
「本当にあんたは、何にも出来ないんだね!それでも男かい!呆れたね、全く」
そう言ってこき下ろす。

でも、セレバは
しばらく厄介になるうち、
おばさんの言葉は
それほど本心ではないと気づいていました。

大きな農家、ぶどう畑、
牧場(牛がいた)、麦畑。
朝暗いうちから起きて、
夜暗くなるまで働く日々。

町からは遠いし、
おばさんはあんな口調だから、
人も来ない。
旦那さん(超無口で不愛想)と二人、
子どもはいない。

喋り相手もいないのだから、
言葉遣いも乱暴になるだろう、と。

でも、おばさんは働き者で、
口は悪くとも、なんだかんだで
面倒見が良かったし、正直者でした。

セレバは思いました。
社交界に行くのに忙しく、
一切自分を顧みなかった実の母より、
こういうほうがずっと
「母親らしい」気がする、と。

★冬が来る

口の悪いおばさん、
不愛想でほぼ喋らないおじさん、
それと牛たち。

セレバはその家で
数か月過ごしました。
ぶどうの時期からだったから、
2か月ほどかもしれません。

いつもは、どれだけ長くとも、
一か所でそんなに長居しないのに、
居心地が良かったのでしょう。

「ぶどうは手間がかかるんだよ。
たくさん枝を間引かなきゃだし、
収穫も大変だ。
でもその分、美味しくなるんだよ。
なに? あんた、
ワインも飲んだことないのかい!?」

そんな風に夕日の中で
話したこともありました。

手間暇かけて、寝かせた飲み物。
「そりゃあ、神も好きなはずだ」
セレバは、そう思いました。

冬が本格的に来る前に、
セレバは
重くなった腰を上げました。

ここは居心地がいいけれど、
自分には目的がある。
それを果たさねば、
ここまでやってきた意味がない。

重い口を開き、
おばさんにそう伝えました。

「……そうかい。行くんだね。ああ、行きゃいいさ」

相変わらず、つっけんどんに
おばさんは言います。
セレバは思いました。
「ここに居ながらにして、好きなことができれば、どれだけ良かったか」と。
でも、おばさんと自分の
人生の目的や喜びは違う。

★ぶどう畑でさよなら

それからしばらく、
おばさんは少し静かになりました。
前はうるさいくらい
しゃべりかけてきたのに。

でも、口の悪さは相変わらずで、
セレバはそれに救われていました。
彼は湿っぽいのは苦手だったのです。

旅立ちの朝。
いよいよ出発、という時。
おばさんは、
セレバに何かを手渡しました。

しっかりと織り込まれた、
厚手で丈夫そうな綿織物。
広げてみると、マントだった。

「あんたのマント、ボロボロだったろ。
これで少しはマシだろう?
……これから寒くなるからね。
……体に、気を付けて」

セレバは思わず号泣しました。
おばさんが、
自分をどう思っていたのかを、
今さら理解したのです。

おばさんも、
ドアの向こう側で、
泣いていることでしょう。

泣きながら、
でも心にはしっかりと
あたたかいものを持ちながら、
マントを羽織って
セレバは出発しました。

母は器用で、
ニット工場で働いていたり、
縫製も得意です。
よく私たち子どもに服や小物を
作ってくれていました。

私は、子ども心に
それがすごく嬉しかったのを
覚えています。

★その後

その後、セレバは
色々な見分と研究を重ね、
どこかの街で本を書き、
それなりの生活を送ったようです。

おばさんとは、その後
二度と会うことはありませんでした。

でも、忘れたことは
一度もありませんでした。

願わくば、
彼女が母親だったなら、と。
セレバはその後もずっと
思い続けていたのでした。

★死後の世界にて

死後の世界で、
私はセレバと分かれて
「ふたり」になりました。

彼は本当に朗らかで明るく、
いつも楽しそう(笑)
たぶん、変人扱いされやすいけど
話すとめちゃくちゃ面白いタイプです。
かなり好きなタイプです(小汚いけど)。

「ねえ、君、今は神霊と繋がるような仕事してるんだろう? いいな、すごく羨ましいよ!」

と食い気味かつ
すごい勢いで話しかけてきます。
若干、引きます(笑)

彼は、自分の人生に
ものすごく満足していて、
不満も特になく、
しっかり生ききった人でした。

そのため、私は
特になにも手放す必要もなく、
笑顔で別れました。

ガイドさんが二人、
笑っています。

彼が思ったように、
「今度は親子になろう」と
互いが決めたんだよ。

そういうことが分かりました。
あの後、おばさんも
セレバをずっと
忘れなかったのだと分かりました。

いつも人に邪険にされるのに、
セレバはたくさん話を聞いてくれた。
「子どもがいたら、こんな感じだったのだろうか」
と思っていた、と。

できれば引き止めたかったけど、
彼にはどうやら目的があるから、
それはできなかった、ということも。

そういうことで、
今回の人生では
私を一番最初の子どもとして
産んだのだそうです。
なんだか、泣けてきます。

ただ、とガイドさんは言いました。

ただ、お前たちの縁、
今世の一緒になった目的は
それだけだ。
それ以上、お互いに
干渉するほどの学びはない。

どういうことですか?と聞くと

母親、そして父親の人生の目的は、
お前とは違うのだ、ということだ。

過去世でセレバや
おばさんが言っていたことにも
繋がります。
具体的に聞くと、

母親と父親は、今世、
「自分で気づく」ということを
人生の目的(のひとつ)にしている。

だから、
「自分で」気づかなければ
意味がないのだ。
お前には、これ以上
何もできることはない。

なんだか、腑に落ちるものがありました。

ここからは、長くなるので
次回へ続きます。

余談①
これで私の家族で
関係を思い出していないのは
妹だけになりました。
一番仲がいいのですが(笑)
特に見ることがないほど
仲良しなのかもしれません(笑)

余談②
母のハイヤーセルフとも
会ったのですが
やはりハイヤーセルフはさすが
素晴らしく気高かったです。


最後までご覧いただき、
ありがとうございます!

続き↓

この後、
変化した母が感じられる
後日談↓


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