命をかけて伝えた あの日【ヒプノセラピー体験談】
父とのことに触れるのは、私の中では怖いものでした。
ある意味タブーに触れるような、そんな怖さがありました。
でも、ヒプノセラピーはあくまでイメージ。
勇気を出してみることにしました。
※「私」は今の私のこと。
「」のない私は、この時代の自分のことです。
★地中海?あたたかい地方のどこか、古い時代
石組の壁。遠くに青い海。深いのが分かる色。
庭の向こうに続く階段を上がり切り、木の扉を開けると、そこには……。
石をくみ上げて造られた巨大な建物。
まるでコロッセオのよう。
私はサンダルのようなものを履いています。細かな砂利でその足がすべるのです。乾いた暖かい土地なのだと分かりました。
なぜか「父」(※今世の父親)は、ここにいるのだと分かります。
でも、私は何をしに来たんだっけ?
しっかりと筋肉のついた太く逞しい足。
鍛え上げた体には鎧のようなものを身に着けています。
ウェーブのかかったような黒い髪に、彫の深い顔立ち。
体格のいい背の高い青年……それが私。
なにか重要なことが、ここである気がします。
でも、まずは滑りを良くするために、幸せなシーンを目指すことにしました。
★育ててくれたのは召使い
「幸せ」のはずのシーン。
私は(当時の)実の父と母に抱かれていましたが、すぐに乳母?召使い?へと渡されました。
父は「なんとしっかりした体つき!立派な体格!顔立ちもよい!これは王も喜ぶ戦士となるに違いない!」と喜んでいました。
でも「私(今世の)」は、ちゃんと聞いていました。
召使いに私を渡すときに「これで私も気に入られ、良い立場(役職)をもらえるはず……」と父が言っていたのを。
私は召使いの女性「バオブー」に育てられました。
おばさんに見えましたが、おそらく当時40歳くらいだったのではないかと思います。
私はわんぱくで元気で、力が有り余っている子どもでした。
木や高い壁によじ登ったり、言いつけもあって剣技を習ったり、とにかくそこらじゅう走り回っていました。
素直だったせいか出自が貴族だったせいか、とにかく周りに可愛がられました。とりわけ育ての親であるバオブーが大好きでした。
実の父母は一切姿を見せませんでしたが。
ある日のこと。
私はバオブーに「夕食を一緒に食べよう」と持ち掛けます。
でも「できない」の一点張り。
何故かと問うと「召使いだから」と言われます。
納得がいきませんでした。
世話の一切を任せられているバオブーが、自分と食事もともにできないこと。
顔すら見に来ない父が、そのバオブーを辞めさせるかもしれないこと。
私は徐々に親に不信感を募らせていきました。
★強くなるということ
ある日。
剣が強くなった、と喜ぶ私を、
バオブーは辛そうな瞳で見つめます。
私は、父だけでなく、王や「戦い」という在り方に疑問を持つようになりました。
なぜ、わざわざ戦わねばならないのか。
戦いで勝つことを「良し」とするのか。
そんな私の態度の変化に、父は不信感を持ったのでしょう。
ある日のこと。
剣の演習を終えて部屋へ戻ると、そこに待っていたのは見知らぬ若い召使い。
私は慌てて父の住居へ行き、あらんかぎり抗議しました。
しかし、何をどれだけ言っても無駄でした。
それきり、バオブーと会うことは、二度となかったのです。
★決意の優勝
それから数年が経過しました。
思うことあれど、
私はその後もずっと体を鍛え続けました。
体を強くすること自体は悪いことではないと思ったし、そうするより他に道もなかったからです。
めげそうになるときはいつも、バオブーの言葉を思い出しました。
「体を強くされること、元気でおられることは、バオブーの幸せです」と。
もちろん、昔からの思いはずっと持ち続けていました。
人を傷つけたくはありませんでした。
そして数年の間に、私は戦争の理由を様々考え続けました。
「当然」と言うけれど、本当にそうだろうか?と。
戦士仲間からそんなことを言われるほどに、私は強くなっていました。
背高く体格よく、容姿もよいせいか、町の娘たちからの憧れの視線を無数に感じました。
そんなことを仲間にからかわれもしましたが、私は逆に残念に思っていました。
戦争に勝てる男。そういう「外見」だけで好いてくる者が多い、ということに。
その日は闘技大会でした。
国中から腕に覚えのある者が集められ、優勝者を決める、実に下らない(と私は思っていた)大会です。
しかし、私には勝たねばならない理由がありました。
私は見事、優勝しました。
優勝者には国王(当時は宗教同一だったようで法王でもあったようです)から直接お言葉が下され、なんでものぞむ褒美をもらえるのです。
会場すべての、羨ましさと憧れが混ざった視線の前で、私は王に直接声をかけられました。
私はそれに対し、周囲によく聞こえるように、はっきりと大きな声で返答しました。
★望むもの
会場は水を打ったように静まりかえりました。
それはそうでしょう。
この国一番の強者が、戦争に勝てる男が、戦争をやめろと言ったのですから。
会場、特に観覧席にいる貴族どもが騒ぎ出しました。数々の怒りと蔑みの暴言が降ってきます。
そして国王も、怒りに満ちた顔で言いました。
国王をまじまじと見て、「私」は気づきました。
この人こそが、今の私の父だ、と。
王は真っ赤になっている。
そのとき、貴族の観覧席から悲鳴のような罵声が飛んだ。
実の父でした。私はそれを見つめ、冷えた心で応えました。(このとき初めて名前を知りました)
大騒ぎになり、私は捕まりました。
元より覚悟のこと。
私が逆らえば無駄な血が流れます。それは嫌でした。
★刑場で見た空
牢に捕らわれ判決を待つ私を、兵士仲間がかわるがわる見舞いに来ました。
多くは同情と、私を助けたいという思い。
ありがたかったけれど、私は最初からこうなることを見越して決めていたのです。
私の意思が固いと知ると、皆は一様に顔を伏せ、何も言えず立ち去るのでした。
死刑が決まりました。
私が優勝したあの場所で、私は死ぬのです。
棒の上に括りつけられ、私は一番天に近いところで皆を見下ろしました。
戦力になる私を失いたくないのでしょう、上官が聞くのに、私は首を振ります。
これを聞いていた王の顔が赤黒く染まりました。
顔を赤くして叫ぶその顔には、怒りではなく恐怖が張り付いて見えました。
大衆の面前で、まともに答えられないこと。
自分には理解できないことを、目の前の兵士に説明されること。
それが信じられず、そして自分の立場を脅かす存在が恐ろしかったのでしょう。
それが見て取れ、私の心はすっと冷めた気持ちになりました。
私は民衆を見回しました。
高い所にいたので、よく見えたのです。
王同様に、憤っている者が多い。
自分の考えは、ここまでも理解されないのかと、悲しい気持ちになりました。
しかし、よく見ると、私と同じ表情の者たちもいたのです。
切ないような、つらいような、でも言い出すことが出来ないような。
それでも何か心にせまるような表情の者たちがいて、私はふっと強張りがとけました。
私の胸に、何本もの槍が突き刺さりました。
不思議と痛みはありません。
私は、満足していました。
青すぎるほど晴れた空の下、私は満足して命を終えました。
★「私」はあなたに伝えたかった
大きくて青い空が迫ってくるように見えて、気づけば不思議な庭園にいました。
まるで高山にいるように、白い雲が足元をときおり流れていきます。
緑の上に白い雲が流れる、遠くに空が見える美しい景色です。
「私」はまだ、シャンジャさんの中にいました。
ふと、前に白髪で白髭をたくわえた男性と、私のガイドさん?が現れます。
私であるシャンジャさんは「あなた方は神さまですか」と尋ね、いかにもという応えを受けてひざを折りました。
そこでようやく「私」は彼と分かれ、挨拶をしました。
自分が未来から来たということ、ずっと生き様を見守らせてもらったということを伝えます。
そして、どうしても伝えたかったことも。
私が彼の手を握り、心からそれを伝えると、シャンジャさんは涙を流しました。
そう言って涙を流すシャンジャさんの姿が、するすると縮みはじめました。
筋骨隆々だった体はほっそりと、勇ましい表情だった顔立ちも、すっきりと優しげに。
そうか、と私はその時ようやく気づきました。
彼は今まで、自分を奮い立たせていたのだと。
そして今、その必要がなくなったのだと。
自分の心を鎧う必要がなくなって、肩の荷も下りたのです。
そこにバオブーさんが現れました。
シャンジャさんは涙ながらに駆け寄り、抱きつきました。
バオブーさんは微笑んで首を振ります。
それを聞き、シャンジャさんは再び泣きました。
今度は癒しと浄化の涙だと分かりました。
彼は私に片方だけの耳飾りをくれました。
三日月に星がついているような金色の耳飾り。
「お前に必要なもの」と言われます。
なんだか、以前に別な過去世さんからもらったものに、とてもよく似ています。
これ↓
そう言って、二人は消えました。
どこかの時代で、二人は親子になるのだろう、となぜか分かりました。
★そして知る、父とのこと
いつの間にか白髭が消えたガイドさんに
「ワザとでしょう?」と聞くと
「そうそう、そのほうが【らしい】でしょ」
とおどけられます(笑)
でも、続けて教えてくれたのは、とてもまじめなことでした。
現在の「父」と共有している過去世は、いくつか見ています。
確かに、そのどれも……どの人物だったときも、「父」は私にとって壁のような存在でした。
強い圧迫感と、自分の人生を生きると決めるタイミングで、大きな選択を迫る存在でした。
きっと、自覚できないほどの深層意識、ハイヤーセルフ同士で、そういう約束をお互いに交わしているのでしょう。
父は今世、戦争を嫌っています。
敵味方という観念は抜けてはいないかもしれませんが、少なくとも平和を望んでいる人です。
だから、今回見てきた国王のような考え方ではありません。
すべての人は、成長しているのです。
まだ10歳にも満たない頃に、父に聞かれたことがあります。
私はそのとき、「命」と答えました。
父は「うん、命も大事だな。でも、もっと大事なものがあるんだよ」と笑いました。
私たちはそうやって、心を学ぶために生まれ、心を鍛え、そして輝かせているのかもしれません。そしてそれが、命の輝きに繋がっているのかもしれません。
私は、まだ父のすべてを許せてはいないし、丸ごとを受け入れられてはいません。
でも少しずつ少しずつお互いが成長しているのなら、いつかの時代でしっかり受け入れられる日が来るのかもな、と思います。
【※もう許せました笑 意外に早かった笑(2022年12月追記)】
関連記事↓
どうぞサポートのお気持ちは、ご自分へのご褒美に使ってあげてください♡