不可逆性自分軸

引き算は嫌いだ
嘔吐は嫌いだ

一度でもこの身に取り込んだものは
離したくはない
欲しくないものは最初から受け入れない
そうすることで生きてきた

人生を通して自分の軸を確定させること
それが我が人生の最上命題

混ざり合い黒に近づく絵の具のように
複雑に絡み合い二度と解けない糸のように

私の心の終わりの姿は見えている
あらゆる色に染まり黒となる
もしくは
カラフルでありながらも分離することのない一個となる

姿形は違えどその本質は両者共に同様
あるのは他者からの見え方
そう見え方

自己認識と評価は不可分
いかようにしても避けられぬ運命なら
せめて自分の思うままに生きよう

愚鈍なるものどもの声など聞く必要はない
私は私の欲しいものだけを
遍く貪り己が血肉とする
決して別れることはない
決して忘れることもない
そこにある価値観は
そこにある基準は
そこにある芸術は
そこにある信念は
そこにある意思は
そこにある記憶は
そこにある全ては
私が果てまで持っていく
そして私も誰かの心の一部となる
繋ぐこと
我々が繰り返してきた
ただ無心に
意識の外で繰り返す
終わりなき行為
ならばなるべく善くあろう
なるべく広く届けよう
私と同じく
別れざるもののために