【時事】ニトリ 事実検証
twitterではやたらと売国企業のような悪辣な事を言われているニトリですが、これもあまりに未検証の情報が多いと感じています。はたしてニトリはそんなに悪い会社なのか?まあ、結論を先に書きますが、私はこの会社を超優良企業だと思っております。検証してみましたのでご確認ください。
財務情報やコーポレートガバナンス等の情報が知りたい方はニトリホールディングスの「統合報告書 2022」をご覧ください。
◆功績・実績
01. 北海道にマスク50万枚寄付
2020年3月27日記事です。コロナ禍初期、マスクが枯渇していた時期、皆さんの記憶も新しいと思います。ニトリは道民にマスク支援をしております。
02. 夕張支援のふるさと納税
企業版ふるさと納税で、ニトリは財政再建を目指す夕張を支援しています。
ニトリはそれまでも、夕張市に対しては桜を植樹して日本一の名所を目指す「しあわせのさくら夕張プロジェクト」を進めてきたが、企業版ふるさと納税創設以来4年間で約5億円を寄付しています。ニトリホールディングスは「北海道の企業として地元に貢献したかった。夕張の地方創生に役立ててほしい」と語っています。
鈴木直道(当時夕張市長)が実はこれに向けて動いています。
03. 被災地支援
ニトリは数々の被災地支援をしています。義援金の他、商品の寝具類、家具、生活雑貨等、多岐にわたってです。「大きい会社だから、そのくらいの余力あるだろ」と思う方もいらっしゃるかもですが、あなたの勤務する会社はこれ以上の被災地支援をしておられますか?(私の勤務先だとNOですw)
東日本大震災の被災地支援
・義援金約12億円を日本赤十字社・各国領事館を通じ日本政府に寄付
・被災地に布団、毛布、敷物(合計60,000点:約3億円相当)寄贈
・被災者受入自治体と仮設住宅へ布団等(35,000点:約3億円相当)寄贈
熊本地震の被災地支援
・熊本県御船町へ寝具類セット(400個)寄贈
・熊本市へタオルケット2,000枚、敷き布団カバー500枚寄贈
・熊本市へ敷布団と枕3,500セット、ローボード23セット寄贈
・熊本県へ毛布1,660枚寄贈
・熊本県宇土市へ毛布500枚、座布団300枚寄贈
九州北部豪雨災害の被災地支援
・家具・家電・生活用品などを寄付
糸魚川大火災の被災支援
・義捐金として100万円寄付
インドネシアスマトラ島沖地震の被災地支援
・義援金として2億円寄付
新潟県中越地震の被災地支援
・義援金として1億円寄付
中国四川省大地震の被災地支援
・義援金として約1億円寄付
広島市大雨災害被災地域支援
・寝具を寄贈
04. 室蘭汐見団地を高値で落札
「いや、落札したからなんなの?」と思う方も少しこの経緯をご覧ください。最低落札価格の23倍の高値を付けているのです。以下引用。
実質寄付ですね。お値段以上(23倍)ですw
05. 北海道応援基金
これが凄いです。北海道の文化やスポーツ、イベント、その他地域振興に相当な支援をしています。環境保護や福祉支援も多数。なんとその数1,200以上です。リンク先に2005年度からの活動実績があるのですが、是非さらっとでもいいのでご覧いただきたいです。全部掲載はさすがに読む側も負担になると思いますので、2013年度をピックアップ。(1ページに収まるので)
06. 租税回避(Tax Haven)使わず
一般消費者にはあまり関係ない箇所ではありますが、このタックスポリシーは少し感心しました。海外事業展開している場合は、租税回避を狙う企業は多いと思います。
07. 災害時応援協定
上記03にて過去の災害時の対応についてを書きましたが、これは「今後起きる場合の対応」です。自社物流センターを、災害時の救援物資供給や配送支援に役立てるというものですね。
◆懸念される話題の検証
01. 北海道産米 (ななつぼし) 輸出
2021年11月28日のNHKニュース抜粋します。ニトリが親中企業として叩かれるネタの一つです。
これ、先に結論から言うと何も悪くないと思います。少し分解して、背景から説明する必要があるかなと思います。
❶ 米は余っていた
日本人の米の消費量は右肩下がりです。1人あたりの消費量はピーク時の半分以下。パン食が増えていたり、炭水化物を避ける傾向があったり、人口も減少に転じたりと複数の要因があるとは思いますが、ここまで下がっているとは私も思いませんでした。上記NHKニュースにもある通り「主食用米の在庫が過剰傾向」であれば、倉庫に置いててもフードロスになるだけですね。
では、どのくらい需要が減少しているかをご確認ください。国内マーケットはこのままだとジリ貧になります。
❷ 国からの委託(農林水産省)
ニトリがどうしても前面に出ちゃうのですが、これは実は国策だったりします。2017年9月に「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト(KKP)」がスタート。輸出事業者の海外需要開拓等を推進しているのです。この取組により、コメの輸出量はその後大きく増加していきます。
❷ 試験輸出
これも、前述のコメ拡大市場拡大戦略プロジェクトの続きとなります。
世界中で生産されている米の30%は中国で生産されているとの事です。生産される米の7割はインディカ米(一定年齢に達しておられる方は「タイ米」騒ぎでこれをご存知の方も多いかなと)で、残り3割がジャポニカ米です。炒飯のような中華料理には粘り気の少ないインディカ米は適しているのですが、近年は日本の高品質米も輸入しているようです。
とは言っても、中国市場でその商品が受け入れられるかは未知数なので、まずはリサーチが行われます。
02. 別荘地 / 軍事機密傍受アンテナ
これも幾度も出回る「新千歳空港近辺の中国人向け別荘地」の話です。パラボラアンテナが、近隣の航空自衛隊千歳基地の軍事機密を傍受しているのでは?という形で流布されています。
産経新聞まで未検証でこれを掲載している始末…
さて、この現場を見てみましょう。Google Streetviewです。
画像も数枚貼ります。
黄色い枠で囲んであるのがパラボラアンテナです。おそらく同系統のアンテナと思われるものも併せて貼っておきます。
Amazonで検索したけど、同様のフォルムのものはヒットしませんでした。なので、Alibabaで検索すると出てきます。おそらく「1.5m前後の直径の、海外衛星放送受信用アンテナ」です。アルミメッシュタイプで、風の抵抗を流せるので耐久性的にディッシュタイプよりもいいのかもしれません。
さて、パラボラアンテナの特性として「指向性」があります。この住宅に設置しているものは南に向けられています。ところが「自衛隊千歳基地」はこちらの方向ではないのです。
下記のMAPの赤の箇所が別荘地、黄色の箇所が千歳基地です。軍事機密の傍受に「南向き」の「パラボラアンテナ」は不向きではないでしょうか。小野寺氏や産経新聞が「パラボラアンテナの特性を知らなかった」もしくは「位置関係を把握していなかった」のが起因ではないでしょうかね。
私の結論は「ただの衛星放送受信用」ですね。
03. 政治献金
えりアルフィヤさんの関連で「ニトリが親中議員に政治献金」という話題が持ち上がりました。これの発火点はDAILY WILLのようです。論調としては「親中のニトリが自民党や親中議員に献金をして(えりアルフィヤ議員のバックアップとして)推したのではないか?」という形です。
実際に放送で出てきた表は下記のような表です。皆さんもご存知の大物議員が名を連ねています。
さて、DAILY WILLではこの件を少しミスリードしているように思います。
◆そもそも違法性や不正行為はない
ここはまあ、問題ないと思います。
◆えり候補を献金されたから「自民の大御所がこぞって推す」のであれば、菅前総理、麻生元総理の名前が連なっていないのは不自然
◆ えりアルフィヤさんのお父さんは「執行役員」
ここがミスリードだと思います。代表取締役会長、社長、専務、常務などの役員クラスは「経営陣」に位置します。が、執行役員は「役員と名が付くけど、実際は労働者側のトップであり、経営には参画しないと思われます。
(小さい会社なら執行役員の経営参画もあるとは思いますが、大企業だと考えにくい)
では、時系列をさかのぼって昔のニトリの献金先も見てみましょう。
安倍さんも麻生さんも献金やパーティ券購入で関与されています。似鳥氏はこの件に関してこう述べておられます。
04. 合弁会社の件
中国にビジネスで進出する際は、現地で中国政府との合弁会社を設立する必要があります。ですから、現地で活動している会社は「合弁会社」です。そして言わずもがなではありますが、中国とビジネスをしている企業はかなり多く、日本でも「有名な大企業」は軒並みそのような形態です。えりアルフィヤさんの時に「中国に進出しているなんてニトリとTOTOは親中だ」という論調のツイートが散見されましたが、別に珍しい事でもないのですね。帝国データバンク2022年6月データでは「13,000社くらいは中国に進出している」ようです。
ユニクロ、無印、ニトリ、TOTOあたりがよく叩かれていますが、トヨタ、ホンダ、日産、パナソニック、NEC、富士通、東芝(撤退)、日立、SONY、他あれこれあれこれ…
日本企業が利益を得るのは「売国」ではないですね。私の感覚だとこうです。わざわざ言う程の事でもないけど…(たとえ日本に利益があっても)少しでも中国と関わると売国奴扱いする方が結構いらっしゃるようで…。
・日本だけがデメリットを被る
→中国の国益、日本の損失
・中国だけがデメリットを被る
→日本の国益、中国の損失
・日中の双方がメリットを享受
→WinWin
05. 小樽・銀鱗荘と小樽芸術村を取得
これも「海上保安庁などがある土地(侵略に有利な場所)で、洞爺湖サミットに来た習近平の奥さんが銀鱗荘を欲しがっていて、現地の反対もあって買えなかったが、最終的に中国の言いなりになっているニトリが購入した」という謎の論調で語られています。ソースはDAILY WILLです。(再生数増やすのはアレなので観なくてもいいです)
ニトリは断っていたのと、観光レジャー会社から持ち掛けた事がお分かりいただけるかと思います。
こちらに関しても、まあ健全な文化支援活動でしょう。軍事的な要所を押さえたというよりは、観光客集客以上の意味があるようには…。
06. 似鳥会長「我々の先祖は中国人」
少し前に話題になったもので、覚えておられる方も多いと思います。まあ、元々のインタビューが中国サイドなので、先方を立てたに過ぎないと思います。
ビジネス相手に、少し大げさな社交辞令言っただけかな。
◆私見
私はそもそも「中国相手に商売する」を悪だと思っていません。
国益に反して、日本の技術を横流ししたり、中国のみに一方的にメリットがある取引をしたりしたら、そりゃ文句も言うかもしれません。国益に反してそんなことをやってて、日本人としての矜持はあるの?と文句の一つも言うかもですが、中国という巨大マーケットで勝負して、結果的に日本人が潤うなら何の問題もないでしょう。
そして、出た利益を国に、被災地に、地域に還元しているのは上記の通り。
私の結論は「問題なし」です。それどころか、地域貢献応援しております。
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