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【映画】ヴィーガンズ・ハム

いやー、変わった映画でした。簡単に言うと「精肉店の夫婦がヴィーガンの人間をうっかり轢き殺してしまいましたが、肉をさばいて店頭で売ったら大ヒット」という、とんでもないお話なのです。人道的な観点から見たらえげつない事この上ないのですが、私の場合は「フィクションなら別にいいじゃん」という考えなので「こういう映画を褒めるのは倫理的によろしくない」という苦言はスルーしますのでよろしくです。

連続大量殺人、カニバリズムという題材を取り扱っているのにもかかわらず、終始カジュアルな感じで展開するブラックコメディw

物語

ヴィンセントとソフィーの中年夫婦は精肉店を営んでいます。経営が厳しい中、過激派ヴィーガンに店舗を襲撃されたりもします。

ある日、二人が車を運転しているときに、以前襲撃してきたヴィーガンの一人を発見し勢いで轢き殺します。死体を店に持ち帰り、証拠隠滅のために死体をバラバラにします。で、その翌日から肉屋は「美味しい肉が手に入る店」として大繁盛。まあ、お察しのとおりその肉は人肉なんですが、味を占めた夫婦は、新たなハムを調達するため、ヴィーガン活動家たちを次々と…

カニバリズムについて

そもそも人肉を食すという禁忌は、映画や小説では「趣味嗜好のために食べる」と「遭難などの極限状態で、他に口に入れるものがない」という2種類の形で描かれることが多いです。前者は言うまでもなくハンニバル・レクター博士ですね。後者は「ひかりごけ」「雪山の絆」「グリザイアの果実」などかな。この映画はそのどっちでもない、珍しいパターンです。

よく考えたらヴィーガンって「草食動物とほぼ同じような食生活」なのですよね。そもそも人間の肉は美味しいかどうか(まあ、そういう機会が訪れない事を願いますが)については、カニバリズム系の書籍を読んでいた時に2つ相反する説を読んだ事があります。
1.雑食の生き物の肉は美味しくない(=人間は美味しくない)
2.鶏より豚、豚より牛と、細胞が人間に近くなればなるほど美味しい
実際はどうなんでしょうかね…。私は「哺乳類は大体美味いんじゃね?」という大雑把な思い込みを持っておりますが。どっちなんだろう…

ネットで検索したら人体の組織から検証した方が出てきましたw

別に私はカニバリズムを推奨している訳ではないので、くれぐれも変な気を起こさないようにお願いします。

ポリコレ的にどう?

強いなぁと思ったのは「ヴィーガンの過激な言動」も描かれているし、レストランのシーンでは「ヴィーガンも結局肉食いたいんじゃね?」みたいなツッコミもしてるし、人肉食は出てくるし、カジュアルに殺人しまくってるしで、PTAの奥様方やどこぞの有識者様が「こんな作品けしからん」的に言いそうなのですが、本国(フランス)の方々は騒がなかったのかなぁ。

「フィクションだからOKっすよ」って割り切りが出来ない層って、X上ではかなり散見されるのですが…

感想

まあ、コメディタッチなので「物凄くカジュアルに連続殺人」するんですね。普通は殺人の罪の意識とか、警察にバレたらどうしようとか、カニバリズムに対する心理的葛藤とかあるんでしょうけど、この映画の場合はそういうの一切なし。気軽にサクサクと犯罪を重ねていきます。「めっちゃ肉売れるやん!もっと調達しなくちゃ!」というぶっ飛んだ感覚。価値観がぶっ壊れる過程とかないんですよ。青空の下、爽やかに笑顔で犯行。何それw

終盤はとある人物とバトルになるのですが「いやもう、共倒れしてくれ」と願わずにはいられない。君ら、どっちも大概やぞ…という。

奥さんの最後のセリフは「あの味が忘れられない」って意味なのかなぁ。解釈が分かれそうだけど、コメディ的にはこれが正解じゃないかなと思います。

予告編貼りますけど、なんでこのシーンなんやwwww





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