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素直な気持ちを大切にする

noteも久々に更新。ここ数ヶ月間は心が乱れて何もできなかった。妻と別居して数ヶ月。現実を受け止めていたようで、どこか受け止めきれない自分がいた。乱れた心は文章に反映される。いくら書いても公開したいとは思えなかった。

一定のラインを超えると心の回復は極端に遅くなるらしい。これ以上エネルギーを削るなと身体から強烈なサインが送られてくる。休日もやりたいことは特に浮かばず淡々と過ごしていた。振り返っても何をしたかは覚えていない。

今の自分が何をしたいのかもよく分からない。未来なんて見えたものでもないし、今あるすべてのものを捨て去ってしまいたいという気持ちでいっぱいだった。

しかし、人間不思議なもので、ずっとこのままでいる自分にも嫌気がさしてくる時がくるようだ。身体は外に出たくないと言っているのに、心ではいい加減外に出ろとサインを送ってくるのだ。

この矛盾が苦しくもありながら、ちょっぴり嬉しかったりもする。そろそろ何かしらのアクションをしようと、そんな気さえも思えるようになってくる。

「何か変えたい」

次第にそんな感情が少しずつ湧くようになってきた。

今いる環境から少し離れてみることで、気づくことや感じることがあるかもしれない。自分自身が変わるきっかけが得られるかもしれない。とにかく行ったことのない場所に赴き、自分の心の動きを感じてみよう。

そう思い、僕は一人旅をしてみることを決めた


一人旅する上でルールを置いた。

それは、必ず”カメラ”を持って行くこと

なぜカメラかというと、人は”自分が良いと感じた情景”しかシャッターを押さないと思ったからだ。自分自身が何に対して喜びを抱くのか、その素直な心に触れることができるのがカメラだと思った。

旅した場所は北陸、九州、関東と様々だ。自然豊かな場所を中心に、何にも縛られず、行きたい気持ちだけを優先して旅先を決めた。

北陸は富山の立山黒部アルペンルート。九州は福岡と長崎の中心地から郊外まで。関東は千葉の房総半島南部の自然豊かな地域。

興味が傾いたらとにかくその場所まで足を運んだ。

大自然に身を置きながら旅していると、心の動きにも敏感になってくる。

穏やかな気持ちで撮った写真は、撮影したその時の感覚すらも反映させてくれる。その感覚がとても心地良かった。


実際にカメラを持って旅してみると、写真を撮りたくなる瞬間というのはネットで宣伝されているようなメジャースポットばかりでもなかった。

撮りたくなるのはむしろなんでもないふとした瞬間ばかりだ。自分の気持ちに従って写真を撮り続けていると、段々とその感覚にも確信が持てるようになってくる。

そんな写真は旅後に振り返ってみても心地良かったりする。その場所で感じた余韻が身体に残っているのだろう。

写真を見るだけで、その場所の情景が頭の中で蘇ってくる。何気ない場所1つでも、ちょっとだけ特別なものに変わったりするものだと感じた。

日常を深く味わってみたり、少し余白を置いて別の角度から眺めてみたり、ちょっと見方を変えるだけで目の前に見える景色も、自分自身が感じる幸せの尺度も変わってくる。

心地良いと感じる瞬間は、案外身近に転がっていて、僕はそこに目を向けてこなかっただけなのではないか?

旅をする中で、僕は次第にそう思うようになってきた。


写真を撮りつづけていると、緊張状態が続いていた心もいつしか穏やかになってくる。未来に対する焦りもなく、目の前に広がる光景にただ夢中になっていった。

この「夢中になる」ということが幸せを定義する上で大切なことだと思う。自分の心に素直な状態なのだろう。時間を忘れ、子供のように夢中になれるというのは幸せなことだと感じた。

大人になるにつれて知恵がつくと、いつしか感じることより頭で考えることの方が得意になるのかもしれない。僕は頭で自分の気持ちに蓋をしつづけてしまっていたのだろう。

本当はもっと正直な気持ちを主張して良いし、目の前にある自分の幸せに目を向けても良いのかもしれない。

もちろん社会で過ごす以上は最低限のことはやる必要はあるが、そこに過度に肩入れしなければならない必要もないのだろう。

それ以上に、自分の素直な気持ちに従って選択することや、そこに自分の時間とお金を使うということの方が、生きる上で大切なことなのではないか。

そう感じた。

当たり前と言えば当たり前のことなのだが、その当たり前に気づけたことは、僕にとってはとても大きいことだった。

今年はコロナも含めると苦しさを伴う激動の1年だったが、長い人生を考えると良い経験ができたのかもしれない。

幸せの追求は僕に撮っての永遠のテーマだが、今年は1年を通してそのヒントを見つけられたような気がした。

2020年も残り1ヶ月。

皆さまの日常も、充実したものになりますように。


お読みいただきありがとうございました。

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