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#88 父の日・母の日

【往復書簡 #88 のやりとり】
①(6/10):くろさわかな〈プレゼントが難しすぎる〉
②(6/13):及川恵子〈何が欲しい?〉
③(6/15):泖

何が欲しい?

父は15年ほど前に他界していますが、それ以前を遡ってみても父の日の出来事がまったく思い出せません。
何をプレゼントしたのかわからない。
どんな日を過ごしたのかもわからない。
いや、シャツとか靴下とかあげたのかな。
もう何もかもがわかりません。思い出せない。

となると母の日の思い出です。
これもごくごく普通の、どストレートな、ありきたりなプレゼントを贈ってきました。
洋服、旅行、ちょっといい食事、母の日のデコレーションを施したケーキ。
そんなもんです。
というのもうちの母、我が強いためか(もしくは人の心を慮れないのか)プレゼントされたものでも気に入らないとまったく受け付けないという、「それ、人が一番嫌がるだろ」ということをいとも簡単にやってのける性質があるんですよね。姉がプレゼントした服すら、受け付けないことがあったくらいですから。
だから冒険をせず、無難が一番。サプライズなんて考えるんじゃあないよ。
何なら誕生日だって「何が欲しい?」と聞くことで最適解を見つけにいっています。

だからくろさわさんがお父様に贈ったプレゼントの個性が羨ましい。DMCを送ろうと思ったくろさわさんも、受け取って「なぜこれを…?」と仰ったとはいえページをめくっただけでもお父様ステキ。うちの母なら気に入らないプレゼントは定位置であるソファの横に置いたまま、開くことも触ることもないでしょう。

ちなみに今年は、ショップチャンネルを見ていた母が「これいいわ〜!」と気に入っていたバッグをプレゼントしました。コンパクトなのに、ポケットがいくつもあって収納抜群!な、いかにも年配の方が好みそうなショルダーバッグです。商品を渡すと母、大喜び。ありがとうショップチャンネル。
これが我が家のプレゼントスタイル。先に言ってもらって大助かり。一件落着。

とはいえ、「孫が選んだ」という前振りを効かせて姉からプレゼントされた洋服はニコニコしながら受け取っていました。孫パワー恐るべし。

及川恵子