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甘味の時に

今時刻はいつ頃でしょうか。
まだ間に合いますでしょうか。
幾分長く目を瞑りすぎていたようで
記憶と視界は曖昧のままですが
どうにかこうにかあの場所に戻ろうと
思っております。

いえ、行きたいとは毛頭思っておりません
しかし行かねばなりません。
雨の狂う今日という日を終わりとする可哀想なものが増えてしまいます。

人の為に生き、人の為となり、自分のために死ねと亡き母に言われておりましたが、
最後の一文だけは申し訳ないが叶いそうにはございません。
それでも私は満足しております。
人の為にということこそが自分の身勝手でございますので。


それではお世話になりました。
もう会うことはないと思いますので、
御別れに尾が引きますよう少しばかり希望を置いていきます。

無事に帰れることがございましたら真っ先にあなたの元に参ります。
その時はあのとても美味しかった桜餅を共にいただきたいと存じます。
春限定にはなりますので他の季節にはみたらし団子で構いません。
兎にも角にも甘味を思い、思いを託します。
それでは、またいつか。

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