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【review】ファジアーノ岡山vs.水戸ホーリーホック...有馬ファジの初陣にむっくん復活のシナリオを見たり



さてさてJ2も開幕。「有馬ファジ」の初陣ということで、先日お気持ち表明した注目点(※)に応じて試合の振り返りを進めていこうと思います。むっくん復活のイメージがこんこんと湧いてきたぞ。

こちらでpreviewとしてしたためています



試合記録


●0-1 得点:27茂木(水戸、51分)



岡山:1-4-4-2
13金山
2廣木、8田中、20ジョンウォン、6喜山
25久保田(→17関戸)、16武田、14上田、19仲間
9ヨンジェ(→18斎藤)、24赤嶺(→10レオミネイロ)

水戸:1-4-4-1-1
50松井
13岸田、5伊藤、4ボニフェイス、7志知
27茂木、6平野(→18白井)、8前、10木村(→45浅野)
32黒川
14清水(→11村田)


試合概要

①FWの力量差でペースをつかむ岡山
開幕ということでまずは落ち着こう、ということからか両者FWに向けて蹴っていくところからスタート。敵陣にボールを落っことしそこへプレスをかけちゃるけんのう、みたいな感じでしょうか。そこで岡山が優位に立ったことで、試合の序盤は岡山のペースで進みました。
優位に立てたのは24赤嶺と9イヨンジェによる駆け引きの妙によります。ロングボールに対して赤嶺は引き、ヨンジェは裏を狙うという位置取りで水戸のDFラインに迷いが生じていましたし、またなにより純粋な競り合いの強さの差でマイボールにしてしまいました。このあたり2人とも流石でしたね。
この両FWの競り勝ちを合図にシャドウ(サイドの選手というよりもトップ下と言った方が適切でしょう)の25久保田・19仲間が集結し、それにより空くサイドのポジションを2廣木、6喜山の両翼が駆け上がることで岡山の攻撃が流れていきました。CHの14上田と16武田もまずはSBがフリーで上がっている逆サイド、ということを意識した配球をみせていたので、この辺りは作戦通りだったということでしょう。
クロス攻撃の準備も3バックのときよりも人数をかけられるので、うまくチャンスになっていました。仲間がやれるのはわかっていましたが(去年と同じ役割なので)、久保田がいきなり中央への飛び込みでもカウンターをさせない守備でもいい感じだったのは良かったですね。鹿島でおんなじことをやってるからでしょうか。


②前からの守備に適応した水戸
そのまま先制できればよかったのですが、残念ながらチャンスを逸しているうちに水戸が上記の岡山の「メカニズム」に慣れてしまいました。ロングボールのタイミング(最終ラインから両FWが動いたら飛んできます)にあわせてCBがしっかりついていき、こぼれ球は人口密度の低いサイドへ逃すことで、岡山の前から人を捕まえる守備の裏をかく時間と気持ちの余裕が出てきたことによります。
具体的な動きとしては、左SH10木村祐志が中盤へ落ちる動きをしながら木村の裏へST32黒川、木村の横へ左SB7志知が動くことでフリーの選手を作りに行きます。
岡山の守備としては黒川と木村(さらにそれにあわせて逆サイドから茂木も中央に来ます)を優先してみないといけないので中央に寄るわけですが、サイドに開いた志知を誰が見んねんという状態になりました。岡山が苦手なのはこういう木村みたいな自分が影になって周りの選手をフリーにするような選手なのですよね。今節もそういう形になってしまいました。
これらの変化をパスによって結果に結びつけているのは水戸のCH8前であることが多かったので、岡山としてはそこをFWかCHが常に見れるようにブロックの位置を調整するという連携が必要でしたでしょう。(5-4-1ですと物理的に不可能ですが、4-4-2であればFWが二手に分かれるので理論上は可能性があります)
もちろんそのつもりはあったと思いますが、FWとの受け渡しがうまくとれてなかったので(おそらくSHが行く予定だったのでしょうが、SBを見ないといけなく不在になりました)やられてしまいました。



③明るみになった組織力の差
こういった状況は大なり小なりどの試合でも起こることで(Jリーグの強豪は言うまでもなく欧州のビッグクラブにだって起こることでしょう)、中央でのシュートにつながる所だけはフリーにしないと割りきって、こぼれ球からカウンターを打ってもう一回高い位置から守るぞ!という仕切り直しができれば上手くいったとは思うのですが、残念ながら一番通させてはいけない「CBとSBの間」を守る準備が水戸と岡山とでは雲泥の差となってしまったので「仕切り直し」を許してもらえませんでした。
まーしかし、「CBとSBの間」の攻略を追求してきたチームである大分トリニータの13岸田翔平とベガルタ仙台の27茂木駿佑のコンビに綺麗にやられてしまったのは、ちょっとうまく出来すぎでしょう…水戸の中長期ヴィジョンの勝利だ、という感情が沸いてしまいへこみます…w
10レオミネイロや18齋藤和樹のパワーで引っくり返そうする岡山でしたが、先生して守備に専念できる水戸はSBが狙われたらボランチとSHで守ってあげるんだ、という「スライド(有馬監督)」が出来ており、最後まで守備をはがせなかったので、セットプレーを除けばシュートはGKの守備範囲内にとどまってしまいました。こういう時のための上田康太のセットプレーがきっちりチャンスとなった上でそれでもゴールにならなかったわけですので、これはもうしょうがないでしょう。



お気持ち:変化に乏しかった新体制



さて、「有馬ファジ」の新体制は厳しい幕開けとなってしまいました。当記事における今節の注目点は「昨季からの変化」でしたので、そこに関してはどうだったかな?という部分を記していこうと思います。


1:前のボールホルダーに強く当たれる選手を優先
これは有言実行と言うべき部分で、どの選手も頑張っていましたね。3バックでも4バックでも変わらない岡山の良さとして継続しそうです。

2:最終ラインにもパスと攻撃参加も求める
昨季から最も大きく変わった部分はCB人選の基準でしょう。1の条件を大前提としながらも、左足のフィードに持ち味のある20ジョンウォンとSBを本職としているため自ら持ち上がってパスコースを生み出せる8田中というチョイスでした。
(一応そういうアプローチ自体は2017年にやってはいますが、どちらかというと苦しい台所事情による結果という感じでした)
FWが競り勝ってボールサイドでキープしている間にSHとCHが押し寄せるという形で相手を押し込み、それによって逆サイドが空くので、そこをSBが使って崩しに行く、という攻撃の形がすでに明確になっていました。ヨンジェ、上田といった昨季のキーパーソンを活かしつつ、廣木、久保田といった新戦力も躍動していたのはプラス材料でしょう。

3:実戦ではロングボール突貫に終始してしまった攻撃
ただ、残念ながらそのような「最終ラインも含めて全員が関わる攻撃」を見せることのできたシーンは限定的…ほとんど立ち上がりの時間帯のみ…となってしまいました。「相手のあること」ということで、水戸の攻撃に対して「自分たちの攻撃がうまくいって人数をかけられた状態」以外でボール奪う算段がもてなかったことが大きな要因でしょう。もちろん、「先制されて引かれたときにどうするか」という部分もありますが、そこに関しては、セットプレーが健在であることや物量をかけるという形でチャンス自体はあったという成果があるにはあります。
いずれにせよ、結果としては前体制と同じような苦しみ方、失点の仕方、そして負け方、という風になってしまいました。結果で見ればもちろんマイナスですし、変化という面でも良いものを見せられなかったマイナス面がちょっと大きいかなと感じました。


4:4バックでより厳しくなってしまったサイドのコンビネーションへの対応
もうすこし掘り下げていきますと、捕まえたい相手が目の前から離れてしまった場合にどうすればいいのかという部分…それが近年思うような成績を挙げられない主要因であると思われるのですが…に適切な処方箋が出せなかったことがあります。「新体制への変化」という部分では今の岡山に最も必要とされている部分ではないかと思われますので、有馬監督がここにいかなる解答をはじき出してくれるのかをこの先の注目点としていきたいです。



未来へ…


次節の相手は金沢。開幕戦で見た感触ですと、水戸よりもより岡山に近いスタイルと言えそうです。というかヤンツー氏は4-2-2-2の大家みたいな存在ですのでね...水戸戦に引き続き組織力の土俵だと厳しいという可能性があるかもしれません。

良く言えば昨季の持ち味となるFWの個での打開力とセットプレーでの決定力は出せていますので、それによって試合を優位に進めることで、「パスを繋いで優位に立つ」という目標に近づける猶予を戦局的にも精神的にもつくっていきたいところです。

その中でむっくんの果たすことのできる役割は結構大きそうな気がしています。2017年の広島では荒廃しきったサイドの守備をほぼ一人で立て直していただけなく、ビルドアップに関しても技術による落ち着きと堅実な判断で助けてくれました。コンディションが整ってくれればこの初陣で苦しんだ部分に関してかなり貢献できるのではないかと思います。

控えめに言っても超楽しみ。超燃える。できれば岐阜戦くらいでスタメン争える状態まで復活しててほしい(非常に個人的な願望)


それでは!