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【効いた曲ノート】Gガブリエリ:ピアノとフォルテのソナタ



せっかくのプレミアムなフライデーなのに暑くて死にそうなので心だけでも静謐にしようのコーナー。今回は教会音楽です。







とはいっても初めから教会音楽と知っていたわけではなく、金管アンサンブルのレパートリーとして有名で(金管アンサンブルを一大ジャンルに押し上げた超スター集団PJBE:フィリップジョーンズブラスアンサンブルがカバーしたので)、中学生のコンクールでむっちゃ聴かされる曲なんです。非常にシンプルな曲であるがゆえに初級者に選曲されやすく、しかし非常にシンプルということでごまかしがきかないわけで、地区予選rだとまあ酷いパフォーマンスになるので、最悪な印象の曲でした。



記事用に探したらこんなものが。全国ナンバーワンレベルの演奏はさすがにすごいけどお気づきの通り長い音符が多いので本当に細心の注意と鍛錬を持ってちゃんと組み立てないと地獄のお経になります



ガキンチョなのでドーンと来てガシャーンやないとおもんない、大艦巨砲主義というか、そういう若さがあったころにはわからなかったのですが、時が経って amazon prime music とかいう魔族のアイテムを漁ってみるとロンドン響のガブリエリ曲集があったので聞いてみたらこれがまあしみじみと拝みたくなるええ演奏。だいぶ時間差ではまってしまいました。改めて超遅ればせながらで本家を聴くと音のブレンド感覚がすごい。やっと凄さがわかった。




youtubeになかったのでニコ動で。本家。



メロディを交互に掛け合いさせると強い

強弱のメリハリをつけると強い



というシンプルな音楽の法則を"わからせてやる"曲。音の力みなどの雑味を取り除きその味だけを出してやるとこんなに響くんだなーとしみじみと気持ち良くなります。麺通の友人に連れられてはじめて塩ラーメンを旨いと思った時と似たような気持ちになります。

そういう"法則"を初めて楽譜で再現可能な形に残したのがガブリエリだったということのようでわりと歴史上重要な曲だそうな。秘伝のレシピや。楽器の指定だとか、pとかfとか書くようになったのはここからと分かるのもまたミステリーハンターめいていてわくわくする。

バッハやハイドンなどの、いわゆるクラシック音楽の有名人たちが登場するバロック時代よりも前の時代の音楽であるガブリエリの音楽は、発展途上のミニマルさともっともっと表現ができるんだという真っすぐな明るさを感じます。とても多くのカンツォーナや合唱曲が残っておりそれらも底ぬけに陽のエネルギーが出ていてよいです。当時の楽器で演奏しようというムーブメントが起こっていて楽しい。



器楽合奏曲(カンツォーナ)から。当時のラッパは角笛みたいだしトロンボーンもちんまりしていてかわいい。



ガブリエリは教会でする人だったので当然こういうガチの讃美歌が強い




祭礼のために書くわけなので明るいのは当然といえば当然なのかもしれませんが、器楽曲勃興期で音響も楽器もどんどん改良されて音楽が変わっていくぞという勢いがありますし、遠い未来にカバーされることによって再評価されるというストーリーも熱い。


ガブリエリの良さに気づいて初期レパートリーにぶっこんできてたPJBEって改めて化物なんやなと震えた次第です。他のアレンジを聞くと力任せのピアノとフォルテのソナタばかりであるので尚更。生誕90周年でまたCD出るみたいですしまた聴こう。