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むっくんの逆襲はここからだ、と前にも言った気がするけど成すまで言う【J2第39節ロアッソ熊本vs.ファジアーノ岡山】



※サムネイルはこちらから
https://www.fagiano-okayama.com/news/p1473054369.html


約1ヶ月の負傷離脱を経てむっくんが戻って参りました。というわけで久方ぶりすぎて若干忘却の海に沈みかけた”むっくんだいすきクラブ”活動のコーナーです。

復帰となった熊本戦。J3降格圏の確定が差し迫った熊本とプレーオフ進出可能性の消滅が差し迫った岡山の意地と意地との対決となりました。早速振り返っていきます。



メンバー

★熊本


前節から6人の変更。最下位と結果が出ないことからか特にDFラインは毎試合顔ぶれが変わっています。岡山も負傷離脱の多さからDFラインが固定せず夏場苦労したのでその難しさはシンパシーがあります。



☆岡山


町田戦の勝利と右ウイング澤口の負傷により変更はむっくんの復帰のみ。むっくんは約1ヶ月ぶりの復帰です。待ちわびたぜ。

両者共に5-3-2ということでポイントは人数の揃う前にDFラインを突破する速攻か、3枚と薄い中盤をサイドチェンジで振り回す遅攻にありそうです。両者のアプローチを見てみましょう。

※メンバー図の出所はJリーグ公式サイトです
https://www.jleague.jp/sp/match/j2/2018/102810/live/#livetxt



背水の熊本の執念


ロアッソ熊本は昨季の降格圏という結果からフロントも監督も入れ替わり、新たに生まれ変わるためのシーズンと位置付けています。そのため、渋谷監督は一貫して最終ラインからショートパスで運んでいく形を続けており、それは降格圏に沈んでも尚続けてこられたと解釈しています。サッカーのスタイルは自陣でのポゼッションが特徴であり、大分・東京V・岐阜・千葉につぐ数値を記録しています。

熊本に対してはそういうイメージを持っていましたので、今節の立ち上がりは意外でした。皆川・安の前線にロングボールを当ててそのセカンドボールを狙うアプローチで入っています。立ち上がり10分ほどは蹴り合いともいえる上下動の多い展開となり、試合全般を通じてもまずは自陣でのコンパクトな守備を最優先とした立ち回りを目指していたようでした。

そういうわけで立ち上がりで両者ややバタバタしたものの無失点で切り抜けたため、岡山が持たされるような形で進行することになりました。

熊本は、岡山の最終ラインにボールがあるときは2トップから1対1を仕掛けて奪いに行きますが、自陣に運ばれれば一斉に5-3の守備陣形を深く引き込み、後半はこれを一層徹底していきます。岡山の必勝形である2トップによる速攻を封じてサイドからウイングとボランチを敵陣深くに侵入させるリスクを負う攻撃してくるところを絡めとり、そのサイドへカウンターを発動させる狙いでしょう。

これは試合を通じて奏功しており、岡山ゴール前への侵入はほとんどがこの形でした。岡山はDFラインが身体を張って辛くもしのぐ格好。むっくんもがんばっていましたね。こういう献身を見ると帰ってきたという感じがして嬉しい。



試される岡山と試されるむっくん


さて、岡山としては理屈の上では困難の予想される熊本の姿勢でしたが、2トップの個人技にとどまらない多彩な攻撃という課題はこの試合に関してはかなりの部分で解決していました。中央でのコンビネーションから幾度も熊本ゴールに迫っています。

要因としては以下の3つが考えられます。

①特に前半45分と終盤15分でセカンドボールに対する熊本の隊列に隙があったこと

②岡山の両インサイドハーフ(武田と塚川)が熊本の守備隊形の弱点となる3枚の中盤の間に立ち、ライン間の仲間隼斗とサポートしあえる関係を守ることでパスコースが用意できたこと
(利き脚とは逆のサイドに立っていましたが、それは熊本中盤守備の隙となる斜めのパスを狙うためでしょう)

③そのためカウンターに備えて高い位置を取りたい熊本の2トップと岡山の攻撃陣が気になる熊本の中盤との間で自由を得た上田康太が敵陣の隙を突くことに専念できたこと

むっくんもこの中盤の優位によって生まれた時間で敵陣をかけあがり、シュートに繋げる仕上げのクロスを担当するシーンが多くありました。2トップにインサイドハーフもゴール前に入り、ターゲットは人数も位置取りも十分でしたが、残念ながらもう少しのところで合わず...

本人も気にしている通り流れのなかで相手を押し込んでのクロスでゴールになったシーンがまだ今季ないのですよね。2つのアシストと1つのオウンゴールはいずれもカウンターで駆け上がってのクロスでした。これはむっくんの課題であり、岡山の課題でもあり。それを乗り越えるべきシチュエーションとなった試合でした。 



執念実らず


勝ち点3以外の結果は全くの不要という背景から、時間を追うごとに両者の執念とも言うべき激しい攻め合いが繰り広げられました。

ゴールにはもう一手足りないと熊本は上村→伊東俊の交代で2トップにトップ下気味に関わることで攻撃の人数をかけにいけば、岡山もほぼ同時に赤嶺→ジョンチュングン、武田→斎藤の交代によって3-4-2-1に切り替えて対応。オープンな展開となっていきます。

スペースが生まれたのでサイドで自由に仕掛けられるぞと熊本は田中を左サイドに、岡山は斎藤さんを右サイドに張らせる形でゴールの可能性を高めますが、サイドで仕掛ける間に急いで守備が戻りこじ開けられず。熊本は巻、岡山は大竹によって最後の最後をこじ開けにかかりますが、最後は岡山が圧倒的に押し込んだものの、むっくんのファークロス合わせ(30試合連続30回目くらいまた入らなかった...)、セットプレー連撃も実らず試合終了。

岡山、熊本共に「なんの成果も得られませんでした」という涙の痛み分けとなりました。






むっくん逆襲のラストシリーズへ


目標への正念場となるタイミングでの離脱、離脱中のチームの苦境、帰ってきたときには時すでに遅し...あれ、去年パクさんのときに見たぞ...という展開になってしまいました。非常に残念です。

とはいえ、むっくん自身は負傷明けとは思えない攻守の躍動感であったと思います。クロスはやや右足の振りがぎこちなかったように見えましたので、もう少しコンディションがよければ合わせる側の選手は質量共に良かったのでピタリと合っていたやも、と思うと惜しいのですが、待望のクロスの入れやすさであったのでここから上げていければ結果は自ずと出そう。


今年はすごく悔しい思いをしたし、今日も点をとれず勝てなかった。残りの試合も、自分たちのサッカーを最後まで貫き通していきたいし、変わらない姿勢を出し続けていきたい。あとは勝って、サポーターの皆さんと喜び合いたい。
自分自身も今年1年間、ウイングバックにチャレンジしてきて、これまでやってきたものを出せるようにしたいし、怪我をして一番いなくてはいけない苦しい時期にいられなかったので、その分を残りの試合で取り返したい。
https://www.fagiano-okayama.com/news/p1473054369.html


既にチームも分かってて行動を起こしていることを何度言っても詮ないですし、出来上がりを待つのみです。行動を起こしていることは、今節のチャンスの数とボールに関わった人数の多さが証明しています。

結果は残念でしたが、今節の岡山のサッカーは今までのサッカーと一線を画しつつあって面白かったですし、その中心で新卒的な位置付けである塚川と武田が躍動していたというのもなかなかエキサイティングな出来事だったのではないかと思います。

あとはベテランがしっかり試合を決めるだけですね。ベテランとしてのむっくんに期待しています。クロスのアシストを残してウイングとしての手応えを掴んでシーズンを締め括ってほしい。クラブとしては昨シーズンとの違いを見せなければならないでしょうし、チームもそう望んで力を尽くしていることでしょうからね。


それでは。