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魔都金沢に闘将が舞い降りる...(ツエーゲン金沢vs.ファジアーノ岡山の会報 2019 11/10)



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金沢駅からこんにちは。初めての北陸上陸で興奮を隠せない編集部です。新幹線かがやきチョー速くてこうふんした。大宮の次が長野のワープ感、一句読めますね。


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石川県西部緑地公園陸上競技場は金沢駅西口(門の無い方)からシャトルバスで20分弱。思ったよりだいぶ近いです。

J2参入後最高成績と柳下監督の下充実のときを迎えている金沢に、昇格プレーオフ6位滑り込みを狙う岡山が挑む一戦となります。



試合情報


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能登豚のウインナー三種盛。蓮根入り・燻製・ハーブのハットトリック。外れるわけがないな…


金沢1-1岡山:10分 垣田(金沢)、81分 赤嶺(岡山)


メンバー

キャプチャ

交代
金沢:山根→杉浦(69分)、金子→大石(77分)、垣田→クルーニー(85分)
岡山:三村→山本(60分)、後藤→椋原(68分)、関戸→喜山(84分)







試合展開について


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日陰は寒くて無理でしたが日向は最高のビールコンディションでした。街に地ビールのお店がありましたがこれもよかった。



①金沢の充実と対照的だった岡山の苦境について

試合は70分近く金沢ペースで進むということになりました。要因としては金沢と岡山の双方にあったでしょう。

まず金沢は岡山のビルドアップに対してCHはCHが捕まえる前からボールを奪うのだ守備を見せていきます。タイマン上等を身上とする金沢のアグレッシブさはこの試合では試合を有利に傾けていました。岡山の選手はほとんどの時間で後ろ向きでボールを受ける窮屈な展開を強いられます。作戦勝ちということなのかなんなのかは目が肥えてないのでわかりませんが、この日の金沢は球際がめちゃくちゃ強かった。

岡山は、ポゼッション攻撃の敵陣突破を一手に引き受けてきた仲間が欠場、自陣でのバランスをとっていた喜山もベンチに下がり、これまで中盤で起点となっていたところがすっぽり無くなった状態。これが中盤争いで終始劣勢だった要因の一つではありそうです。

代わりに出ていた三村は、狭い地域での動きがSB・FWと全くリンクできず(サイドに居るときは廣木と被ってしまったり、中央に入り込むときは仲間じゃなきゃボール受けられないなという狭い場所に留まってたりで、ボールを出せるスペースが作れなかった)、CHの武田の方も自分が動いて展開を動かすタイプなので、ボールを進める余裕のない状況へと誘導されてしまう展開からなかなか抜け出せませんでした。FWの二人は駆け引きを見せてはいたものの、なかなかボールが出ず。もどかしさが募ります。

金沢は苦し紛れの岡山ボールをひっかけてからの、二列目の位置からスタートする山根永遠ドリブルで揺さぶりにきます。これがなかなか奪えなくて、かろうじて潰してもSHがサポートに来て攻撃が続き、金沢のカウンター攻撃は岡山の選手をゴール前まで押し下げることに成功しています。

大きな負傷から復帰した後藤がCBスタメンに返り咲いたこと自体はめでたかったのですが、状況を見るにCBにも負傷やコンディション不良が続出しているっぽいですかね…。チェジョンウォンとの分担が覚束なく金沢の2トップに後手を踏んでしまいましたし、攻撃面でも貢献があったとは言い難かった。

こうなると岡山の反攻は低い位置からとなるので、金沢は守備をしやすくなり、逆に金沢にボールが渡るとこちらからは遠くてプレスもいきにくくなって、金沢がボールを握り崩しにかかるシーンも増えていきます。この時の、金沢SBが幅を取ることで岡山のSHやSBを引きつけつつ2トップがサイドに出てSHが中を狙う変化によって、岡山のボランチとCBが不利になるという連動性が金沢の先制点とその後の攻勢につながることになります。山根がまあ止まらんので、流れる垣田をどうするのかもわかんなかった。ここでのボール回収問題はほとんど解決しませんでしたが、のちに驚異の力技が炸裂することになります。


②称えたいイッチの高水準安定について

そんな絶望状況で最少失点差のまま推移できたのは、ひとえにイッチのスーパーセーブのおかげです。毎試合連発し過ぎてて感覚がマヒしそうなんですが、本当にマヒしたらかわいそうにもほどがあるので都度都度称えてあげたいですね…w DAZNベストセーブの選出最多記録って何回なんでしょうかw

数えるのを放棄しそうなほど、金沢が絶好のポジションを取れている状況でのカウンターを許しイッチが1対1を迎える、という状況になってたのですが(5回はあったんじゃないかと思います)、全部止めた。驚愕。今節はキャプテンマークを巻き、緊急事態のチームを一人で支えていました。キーパーは並の神経では務まらないと言いますがこの精神力は言葉にならない。サンキューイッチとしか言いようがない。


③山本投入以降の好転について

イッチのプライドのおかげもあって、厳しい状況の中でもなんとか出来うる最善の結果をという動きが徐々に見えてきます。目に見えるチャンスは山本投入まで70分近く待つ必要があったのですが、攻撃も守備もうまくいかんという中で気持ちだけは切らさず形を作ろうという、なんというのでしょうか、意地とでもいうべきものがそこにはありました。

まずはビルドアップの工夫ですが、武田君がより上下動するようになります。これは諸刃の剣で、中央に誰もいないぜ状態になることしばしばだったので、カウンターが火の油じゃんという展開もあったのですが(もちろんイッチが止めることになる)、最終ラインに下がって敵陣のサイドに投げていく頻度を増やして自ら敵陣に突っ込んで細かいつなぎを狙うパターンと使い分け、金沢の一人一殺守備の照準をずらすという狙いは出せていました。

山本の投入によって、前線でボールを呼び込む選手が3人になったことで、シンプルなサイドへのフィードもようやく具体的なチャンスになってきます。むっくんも意識的に蹴ってましたね。同点ゴールはチェジョンウォンのフィードからサイドでタイマンを制した山本の突破という形。その直前にチェジョンウォンがタイマンで負けて同じ形の決定機を作られていたので、そちらを決められていたら0-2で終了していたことでしょう…ほんとよくワンチャンスを掴みましたね…

めためたにされていた後方の意思統一は、なんとむっくんがCBに入ることで解決を図っています。むっくん(173cm)と垣田(187cm)でマッチアップとか正気か…と心臓飛び出ました。ヒジョーに危なっかしかったとはいえ、驚くことに一定の成果を上げます。これについては後述。

一方の金沢は岡山の交代後の変化に困ってしまったのと、交代選手が効果を上げられず、逆に金沢のサイドが空いてきて岡山の攻勢に結びつきます。同じ陣形ゆえの表裏一体が最後の10分ほどでようやく出てきました。上田のFKチャンスもあり得点の匂いを感じさせましたが、残念ながら時間切れ。痛み分けという結果になっています。



FOCUS:闘将むっくん降臨の驚きと効能について


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名物ヤサガラス劇場は特撮のノリがJリーグでは異彩を放つ面白さ。連作になっているのでこの試合だけ見ても筋書きがさっぱりわかりませんでしたがホームに通う人たちの特権でしょうw なお、ヤサガラス氏はスタジアムの外ではジェントルマンで子供に超人気でした。ヤっさんの力のおかげでギリ引き分けたところはありますね。


編集部的には今節のポイントは久しぶりのまとまった時間の出場となったむっくんなわけですが、まさかのCBでの出場となりました。

昨年のアウェイ町田戦◯3-1とか同じく水戸戦●0-3なんかはありましたが、緊急策といえどやっぱ本職の動きができないのでキツイんじゃないかな~、というのが当時現地で見ての感想でした。意外とCBの位置だと相手FWのプレッシャーに負けてボール運べないというのが大いにネックなんですよね。身長や非本職ゆえの駆け引きの不利がそのまま赤字になってしまうので。

今回の出場も確かにそういう面が出て二度ほど大ピンチを迎えてしまったのですが、三度目の正直とでもいうべきか、トレマの成果でしょうか、曲がりなりにも守備が安定してくるとは…恐れ入りました。可能性は無限大です。

むっくんはこの試合でほとんど出来てなかった2トップへの背後からのチェックでしっかりボールを捉えていて、その後の守備の流れ…ボランチがサポートしにいく…がスムーズになりチームを助けることができていました。投入後最初のプレーくらいのポストに降りる垣田を後ろからすくってマイボールになりそうだったボール奪取なんかすげえびっくりした。CBとして大事な仕事をやってのけた驚きに一人叫んでしまった。超ビッグプレー。クルーニー(193cm)にも空中戦で完勝してて笑ってしまった。(それ以上に奪いきれなくてピンチというとこもあって武田・上田・喜山各位に救ってもらったのは内緒)

個人撃退以上に良かったのは、最終ラインの4人がしっかり下がってからボールを狙おうという意志統一を見せていたところ。多分ベンチからの指示があってそういう声掛けがあったのだと思います。むっくんのステップが遅れてバタバタしたり、逆に早く下がりすぎたところを垣田の駆け引きやSHのカットインで狙われることが増えてピンチは相変わらずあったのですが、最低限シュートやラストパスの最後のタイミングには間に合ってどフリーの決定機自体にはなってなかったと思います。増谷との受け渡しで怪しくなった垣田の決定機がありましたが、シュートには間に合って枠外に打たせることができました(そのままぶち抜かれてもおかしくはなかったのも内緒)

やや後ろに重たいながらも4バックと4人の中盤が守備で団結できたので成果といってよいのかなと、ひいき目には思います。おそらく増田も濱田も出られない後藤もコンディションが戻ってない緊急事態でこういう交代になったのだと思うのですが、むっくんの闘魂がなんとか勝負の行方を繋ぎ止めていたと思います。置かれた場所で咲くむっくん。その闘将ムーヴに勇気づけられました。



未来へ


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水戸、甲府、京都とライバルが勝利して9位に後退。残り2戦は横浜・水戸と上位との直接対決ですので、連勝で文句なしのPO進出となりそうです。まだ自力のチャンスがあります。


岡山の負傷者続出と金沢の充実がクロスしてしまい、この試合は金沢の大優勢で進んでしまいました。それでも出場した選手たちの意地と交代選手の闘魂注入、現実的な作戦変更によって0-4くらいの試合を1-1の勝ち点1にまとめ上げたと言えるでしょう。

もちろん昇格を争うには甘い内容と結果になってしまったわけですが、不本意な内容でも投げてしまうことなく出来うる最上の結果のためにできることを熱く、冷静に続けていたことは見えました。それもまた強さを見せたということだと思います。

残る二試合の横浜と水戸は前半戦で完敗を喫したチーム。昇格POへの望みを、この1年の全てをぶつけていくには最高の舞台です。二連勝すれば文句なし。とりあえずはとにかく出来るだけ良い状態で臨めるよう願っています。

苦しい時こそ励まされるむっくんの闘志も今度は本職で見られればいいのですが。さすがに超ミスマッチ状態のCBは心臓に悪すぎた…w 




編集後記


ここからは金沢の思い出コーナーとなります。金沢は恐ろしい魔都なので、来てはいけません。



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ちょうど紅葉の時期に来ることができ、特に観光地でも何でもない通りですらすでに雰囲気がある。なんかずるいですね。



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兼六園にて。こじんまりとした日本庭園かなとたかをくくっていたらウン百年ものの大木ひしめく原生林(と呼ぶのは定義上どうなのかは置いといてください)でビビるの巻。呪力とか働いてるのでは(フィクションの悪影響だ)



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雪吊りされた見事な唐崎松。四方に蠢く枝は丁重に杭で支えられていて、最終ボス的な威容を誇ります。攻撃できるのは雪吊りされている4か所(RPGの悪影響)



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そのへんに生えてる樹が全部「古刹…!」という感じなのでいくらでも時間が経ってしまいます。魔境です。苔むした老体から鮮やかな紅葉が伸びているのがとてもSEXY



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兼六園で時空のはざまにハマってすっかり夜になってしまったので全然見れなかった茶屋街。ほんとにハイヤーで乗り付ける客とか芸者がいてディズニーくらいフィクションっぽさがありますね。昼にきたかった。



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夜は夜で綺麗で良かった。ただ、寒さがあはれをやや勝りつらいです。



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実は前日昼食をとろうとしてあまりの人の多さに惨敗していた近江町市場で朝食リベンジ。素泊まりの辛いところ(満面の笑み)



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朝7時から回転寿司とはなんて恐ろしい…いけないぞそんなことでは…退廃…総括…進歩…(いそいそ) 甘味の化身となった海老、豊満うまみボディのぶり、あっさり溶けたズルいオンナののどぐろちゃんの近海三種盛りでお送りしました。あら汁は私の母になってくれるかもしれなかった女性くらい包容力がありました。



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シャトルバス側出口のゆるキャラ。隙がないなと思ってたら意外な所で緩急使ってくる。



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まだまだ見たいものも食べたいものもいっぱいある恐ろしい都でした。別の季節にまたいかなきゃ…こわいこわい...