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【司法試験】令和6年司法試験論文式試験問題~個別指導講師の初見検討メモ


第1 はじめめに

 この記事は、令和6年司法司法試験問題を自分が初見で解いた際に思った内容や構成のメモを転記したものです。
 これは問題の解説ではなく、あくまでも私の検討メモです。
 現時点(2024年7月13日時点)でのものであり、解説等が出回っているものではありません。解説が出る前に自分の脳が汚染される前に記載したものです。
 また、教える観点からの記載も多く、どの過去問に近いか?とかどの判例に類似するか?等の発想を書いております(これが本番で思い浮かべば大抵は受かると思いますが)。当然ですが、書籍の裏を取ったり、判例や過去問との整合関係を確認する前に、自分の頭の中にある知識でどうだったか確認しているものです。そのため、引用している問題や判例の年月日等は正確でない可能性があります。

 上記のようなもののため内容の正確性はありません。また、速報として書いている部分が多いです。

 また、本年の問題をまだ解いていない予備試験受験生や法科大学院2年生等はこの解説を見て脳が汚染される前に自分の力で問題文を読み答案を作成してみましょう。予備試験論文前で時間がない、定期試験前で時間がないという方は、ワードでの作成でもOKですし、詳細な答案構成でOKです。

 来年の司法試験を受験する予定が決まっている方は現時点での実力を図るためにはなるべく、Twitterやブログなどで答えをみて、予断により脳が汚染されていない状態で解いおくと、後1年でどの程度勉強すればいいのか?の参考資料になります。よくできていれば自信になります。

 あと、司法試験受験した人は再現を書いてから読んでください。再現の精度が悪化する恐れがあるので。

 なお、問題文は2024年7月13日時点では公式に公開されていないため、BEXAのやつ速報版を利用しました。実際の問題文はこちらを参照してください。

では以下、メモです。

第2 検討メモ

1 憲法

・職業選択の自由に対する規制(免許制=許可制)
・犬猫を販売する自由⇒職業活動の自由(何を販売するかは重要なため、選択の自由)
・犬猫を販売するためにイラスト画像動画を使う自由⇒表現の自由(情報発信であること、広告といえど、消費者に奉仕する存在のため)
・目的は「犬猫の」安全(消極的な規制ではない?)
・規制①第3免許制全体
⇒免許制自体の合理性は個別に検討する必要があるが、あまり
・規制①販売場の要件⇒動物愛護法や国際基準に従ったもので合理的?
⇒具体的な規制内容が問題文になく、これ以上議論しずらい
・感染症多作ではない=(狭義の)消極目的でない
・販売店の経営安定ではない=(狭義の)積極目的ではない
※小売市場事件判決
・規制①の需給均衡規定⇒通常であれば積極目的規制だが、本問の目的は??なので規制目的二分論ではなく規制態様加味⇒免許制で販売不可(しかも収入の半分とかになりそう)なので厳格な合理性か?⇒需給調整―犬猫の頭数の安定―犬猫の安全確保の因果関係があるといえるか?
⇒否定
・規制①シェルター要件との関係⇒上記と同じ?シェルター規制は、2の補強かも。シェルターの運用は従前と変更なしとすれば、これを理由に免許を交付するかを基礎づけることは関連するのか?
⇒現場では否定
・規制②営利的表現or職業活動。表現そのものといえる。かつ、内容規制ではある。しかし、営利的な表現で自己統治なし、かつ情報伝達の自由なので、厳格はNG。通常審査程度(合理性もありうる)
・目的購入意欲を刺激しない
⇒そもそも、広告の意図に反している。薬品やたばこ等のような危険性があるものではないのにここまで過剰な規制はどうなのか?また、目的は動物の保護でここは正当な目的。しかし、個人の権利自由を保護するものではなく、重要な目的ではない。
・規制:イラスト画像動画全面禁止
⇒過剰・他の手段でも十分。目的は過剰な動物の飼育の禁止とすれば、購入時の対面注意でも足りるのでは?広告にたばこのような「責任をもって~」とかの文言を入れればいいんじゃない?
文字情報だけでは、どのような動物か不明で購入意欲がほぼ生じない
⇒愛玩用で買うのだからこれでは購入の機会事態を奪うのでは?
 イラスト等の規制⇒十分な覚悟のない人の購入の抑止⇒動物の安全
 ほしい人はショップで見て買うのであまり意味永に野では?むしろ、動画等で見て、購入までの時間で熟考して覚悟を決めることが自然では?(何かしら物を購入する時はそうするし、衝動買いをするような性質のものではない)因果関係が雑で関連性なしNG

思いつく判例
・職業選択の自由で薬事法違憲判決
・白タク事件等のタクシー系が需給調整規定の問題
・小売市場判決
・針灸按摩事件?
・薬機法の最近の判例があったな…(appendixででていた)

ありそうな間違い
・犬猫の販売規制なので、所有権ではなく、職業選択で書くか?
・積極目的消極目的に無理に認定する(いつものやつ)

過去問類似性
・令和2年、平成26年、平成18年
・平成18年と令和2年・平成26年をミックスしたような問題

2 行政法

Ⅰ 全体
・配点はいつも通り
・法令の仕組みが全体で説明されているので、一から読み解くよりも楽な人もいると思う(個人的には先入観になり邪魔だった。)これまでの問題では誘導等で処理されていたので変化した。
・誘導文がほとんど構成になっている

Ⅱ 設問ごと
設問1⑴
・設問1⑴は処分性を肯定する理屈の説明
・法的効果の内容の説明
・定款変更ではあるが、事業により換価できる金額がかわる
・換価に至る経緯が平成20年判決に類似
・設問1は平成20年の土地区画整理事業の判例をベースにする。
設問1⑵
・手続き違反法16条
・手続違反が本案へ影響するか
・認可変更は法38条2項⇒19条1項⇒施行規則11条3項5号は期限につき期限の広告必須?
・法13条1項13号の要件該当性(要件裁量)
・本件事業計画変更認可の要件裁量あり
⇒土地の形状からして本来入れ丁はいけない土地を区画に入れる判断の過程を考える
・一体性の判断に際して、施行令・施行規則なども加味しつつ裁量を検討
設問2
・設問2は違法性の承継
・違法性の承継の規範は誘導文にあるためあてはめ処理のみでOK
・否定する方向としては手続きでの公告縦覧がある点で違法性が分断されるだけの法的手続きがあるといえるのではないか。
・実体法上は同一目的のため反論は難しそう
⇒肯定方向でOKな気がする

3 民法

Ⅰ 全体
・出題論点、権利関係の簡素さが予備試験・旧試験を感じる問題
・契約の解釈は少なくとても楽
・古い形式の出題で実力差が顕著に出そうな問題

Ⅱ 設問ごと
設問1⑴
他人物賃貸借契約の賃貸人の地位を所有者が相続した場合
相続により地位が並存するとして、賃借人に返還請求できるか?
=賃貸人Cの側からするとBC間の賃貸借契約をAに対抗できるか?A=Bになっている(包括承継人)であるから、認められそう。しかし、Aの中にB(他人物賃貸人)とA(本来の所有者)の地位が並存するので、Aは契約の帰属を拒絶できる。
①はNG
②の特約はBCのもの、ABに対抗できない。
SBSKを被保全債権とする留置権(牽連性あり)。しかし、他人物賃貸借で不法占拠(295条2項類推?)でNG
設問1⑵
・必要費償還請求権
・使えなったのだからその分賃料分払いすぎたからそれを返せ(請求2)
⇒一部のみ使用できなかったとして、乙建物を使えないといえるか?
・必要費はらったからその分返せ
⇒無断で行っている点、通常より高額な点を条文に即して処理する。
設問2
・GH財産分与⇒HI売買⇒HG錯誤取消⇒GF売買⇒IF明渡請求
・登記はH
・Iは所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求
・Fは所有権喪失の抗弁(GF売買)+Iの所有権否認
・動機の錯誤のあてはめ(税金の事案は判例があった)
・錯誤の取消の「第三者」の意義
・錯誤前の第三者たるIは善意無過失で保護されるか?(登記がいるのか?)
⇒改正前の詐欺の事案では登記不要だが、権利保護要件の登記必要とする見解も有力
・詐欺取消と財産分与の問題は出てこない(一身専属権などの問題はないか?)
・Fは錯誤取消の事情を知っている。
※Gにめぼしい資産がないという事情は423条424条を連想させるし、詐欺取消の代位行使等は争点になる上に、近年の予備出ているが、本問では自分で意思表示しているので関係ない。

4 商法

Ⅰ 全体
・意見書型の問題が出ている点は初めてではないか
・監査役は久々(平成24年位ぶり、令和4年予備試験で少し出ている)
・株式の併合と分割を繰り返しており、経緯が面倒…
・配点割合が設問1と2で半々
・なんとなく書くことはわかるが、経緯(会社の価値の見解の相違など)をどう答案に反映させるか難しい

Ⅱ 設問ごと
設問1⑴
・手段を論じる問題(本案は論じなくてよい)
・監査役による差止の問題384条あたり?
・裁判所の許可を得ているため、その点がどう影響するのかを条文を確認しながら検討することになる。
設問1⑵
・原告適格と出訴期間検討
・商品券の提供が利益供与といえるか?
⇒利益供与として招集手続きの法令違反となる1号
※利絵供与の認定は丁寧にする必要がある。
※クオカードの判例があるため気づけると思う
・招集通知をはしなかった点は招集手続きの法令違反1号
・乙社有利の提案が承認されているうえ乙も議決権を行使しているから特別利害関係人の~にあたる3号
⇒3つあり、重大なため取消OK
設問2
・株式併合無効の訴え
・株式併合の差止事由があるか検討する
・特定の株主を排除する目的で行われる⇒著しく不公正といえるか?
⇒支配権維持目的のためライブドア事件等を参照しつつ、あてはめる
・本件臨時株主総会決議の取消事由はなさそう
※併合⇒分割⇒割当てという流れを踏む計画をどう評価するか疑問

5 民事訴訟法

Ⅰ 全体
・管轄や文書などの細かい論点の出題なし
・当事者適格、明文なき任意的訴訟担当、
・固有必要的共同訴訟の部分は課題から除かれている
・設問1は予備試験令和4年、設問2は司法試験令和元年民事訴訟法設問2に近い部分がある。設問3も基準事後の形成権の行使は予備試験平成24年に近い。
・ヘンテコ問題がないため取り組みやすい
・賃貸借契約の要件事実の理解が前提となる

Ⅱ 設問ごと
第1 設問1課題1
・任意的訴訟担当の要件
⇒ここは論証パターン
※課題1つで要件論を聞いているので理由付け(弁護士代理の原則などとの関係)は丁寧に
第2 設問1課題2
・本問の事案との関係の違いを踏まえたあてはめ
・判例は組合という権利能力なき社団的なもの
・本問は相続財産を遺産分割協議の後、共有状態で管理を任せたものである
⇒社団に近いかが異なる
⇒選定当事者や弁護士一人立てればよいので、その点踏まえると認める必要がない。
※とはいえ、代理違反にはなりそうにないのでX1単独でもよい気もするが
第3 設問2
・裁判上の自白になるのか?訴訟物との関係での請求原因の整理をしたうえで、問題の所在を示す。
・そのうえで、先行自白、裁判上の自白の意義とあてはめをする
・自白の撤回が許されるかを検討する
・「本件陳述がされた場面や該当手続きの目的等」を踏まえるとあるため、弁論準備の意義の一般的な意義を本問に即して(自由闊達な意見交換を経ての争点の整理するための期日だった)を説明
⇒そうした場面での陳述は主張といえるのか?を検討する。
※弁論準備手続調書に本件陳述について記載されていれば原告にかなり不利になると思われるが、そのような事情はないのであいまい。
第4 設問3
・純粋な既判力の問題
・基準事後の発覚と形成権の行使
・賃貸借契約の終了に基づく明渡は解除原因ごとではなく一つの訴訟物
⇒そうすると個々の解除原因は攻撃防御に過ぎない
⇒用法遵守義務違反も無断転貸も同じ訴訟物の判断となる
⇒そうすると、既判力により、基準時よりも前の用法遵守義務違反は主張できないはず。
※事実審の口頭弁論終結時まで手続き保障がある
ここまでが原則論
・本問の事情に照らして用法遵守義務違反に基づく解除権の行使を認められるかの理屈付けをする
⇒既判力の縮減、信義則による既判力援用の否定(自己矛盾)等が考えられる。反対の立論は原則論を維持するべきとする形式論を貫けば一応OK
※既判力の問題の中では比較的容易な部類になるのではないか?
※形成権の行使は近年あまり出ていない(平成24年予備の相殺と瑕疵担保責任解除とか以来?)のため、書けない人も多そうではあるが。

6 刑法

Ⅰ 全体
・設問形式
・設問の指定がやけに細かくて面倒
・聞いている内容は過去問の焼き直しが多くてわかりやすい
・設問1はどことなく平成28年司法試験、設問2は正当防衛と共同正犯の典型例やフィリピンパブ事件を題材にしたもの(旧司法試験の問題や刑法事例演習教材に問題があったはず)
・設問2の理論面の指摘は結構難しい
⇒違法性の連帯はもともと難しい。共犯者で誰を基準に判断するかは明確に検討したことがない問題のため、難しい。

Ⅱ 設問ごと
第1 設問1
1 甲について
・Aに対する暴行⇒傷害⇒強盗
・当初財物奪取目的がないため、後で財布を取った後に声をかけた行為を実行行為とする必要がありそう
・強盗致傷までいけるかの検討が必要
⇒強取行為前に暴行をしておりその点時点で強盗の故意がない?ので一応検討するべきと思う
・乙が甲からキャッシュカードと暗証番号を聞き出した点については共謀の射程を論じる。
⇒さすがに射程外ではないか。
・乙がATMで引き出そうとした点は共謀無で成立しない
2 乙について
・甲のAに対する行為との承継的共犯⇒傷害結果は因果関係なしで否定
・3万円もらっているので強盗まではいけるが、強盗致傷までは難しい
・乙が独自にナイフを見せてキャッシュカード&暗証番号聞き出し⇒2項強盗
⇒暗証番号聞き出しについて「財産上の利益」といえるか丁寧に検討(設問の指定)
・暗証番号が違った点は既遂未遂に影響しない?引き出せる地位を渡していないが…(ここ迷う)
・ATMからの引き出しはコンビニに対する窃盗罪で処理
第2 設問2⑴
・正当防衛の成立方向での検討
・丙は特に積極的加害意思等なく、急迫性等も問題なし
・2回目の部分は過剰っぽいが、1回目と2回目を一体とみる方がよい
⇒実質丙VSなので相当性はいけるとする
※そのあとの設問との関係でも、
第3 設問2⑵
1 甲の罪責~問題文指定の②共同正犯
ア 誰を基準に判断するか
・共同正犯においては双方正犯のためどちらかということはない。
・違法性は連帯するため正当防衛の要件についてはどちらか一方が認められれば成立する。
イ 違法性の判断の異なる点
・異なるということもありうる。
・主観的違法性(防衛の意思や急迫性の判断の際の主観要素等)は連帯しないとすれば連帯しない。
ウ 結論
・本問では甲の主観的違法要素を見ると正当防衛は成立しない

2 丙の罪責~問題文指定の①幇助
ア 誰を基準に判断するか
違法性は連帯する⇒正犯者を基準にする
イ 違法性の判断の異なる点
あり得ない
∵狭義の共犯の因果性は構成要件・違法の連帯のため
ウ 結論
・丙に正当防衛が成立するため、丙に犯罪は成立しない

3 結論の整合性
・甲と丁はともに丙の共犯であるため、同じ結論になり整合する。
・主観的違法が連帯しないとして甲に犯罪が成立するとしている場合には、甲と丁で異なることになる。しかし、これは、狭義の共犯と広義の共犯で異なるため、結論が整合しないことは問題ない。
※難しい。ここまで現場で検討できないと思う

7 刑事訴訟法

Ⅰ 全体
・設問1に証拠の問題がでるのは平成22年くらいぶり?
・証拠法の割合が少なく、ほとんど捜査
・判例&過去問まま

Ⅱ 設問ごと
設問1
・違法収集証拠排除法則のうち派生証拠の問題
・令状なしの捜索⇒違法重大?違法捜査抑止の見地はどうか
・令状なし捜査の部分は米子銀行事件に近い
⇒職務質問としては適法でも所持品検査として同意なしで行うことはNG、チャックを開けている点も、空いたチャックを一瞥した米子銀行事件よりも強度。どちらかといえば、バックの中身で一応身体ではないが、ポケットに手を入れた事案に近いと思う。
・違法捜査で発見したものは注射器で、鑑定書は覚醒剤のため、密接関連性について確認を検討する
・覚せい剤発見については令状を用いているため、令状審査による希釈化を検討する必要がある。

設問2
・ビデオ撮影の適法性
・強制処分&任意捜査の規範定立
・強制処分は捜査①ではない。②は微妙なので深めに検討
・捜査①は平成24年予備試験の問題が非常に近い
⇒喫茶店も人が入れる場所なので隠し撮りでもいい
※防犯カメラ等で撮影されることは許容されるため、期待が弱い
・捜査②はマンションの通路部分の撮影のため①と違う利益である点を示す必要がある
⇒とはいえ、一応、向かいのマンションから見える範囲ではあるし、室外に出たところであるから、憲法35条の住居に親友されない権利と同じとまでは言えないと思う。また、任意捜査としても、薬物事犯の組織犯罪である点、手首のタトゥーの確認という、一見して判断できない部分である点等を加味すれば、適法ではないか?

第3 おわりに

以上です。

 最初に書いた通り、あくまでも自分が最初に見た感覚での徒然なるままに書いたものです。参考にしてください。

あと以下記事はないのですが、投げ銭してくれると助かります!ということで有料ライン設定しておきます。

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